日本学術会議任命拒否問題「岸田首相の説明責任」求め任命拒否の教授ら訴え

弁護士JP編集部

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日本学術会議任命拒否問題「岸田首相の説明責任」求め任命拒否の教授ら訴え
会見を行った岡田正則教授(中央)ら(11月8日霞が関/弁護士JP編集部)

菅義偉前首相が日本学術会議の会員候補6人の任命を拒否した問題(日本学術会議会員任命拒否問題)で、8日早稲田大学法科大学院岡田正則教授ら6人が8月21日付で内閣官房、内閣府に提出した審査請求書について理由を追加した補充書、口頭意見陳述書の提出について会見を行った。

補充書(審査請求書理由補充書)によれば、主な問題としては「6名の任命拒否を実質的に判断した者が杉田和博内閣官房副長官であるということが明白であるにも関わらず、その判断の根拠となった行政文章が、なぜ内閣官房において一律に『保有していないため不存在』との理由で全部不開示とされるのか」についてのもの。

弁護士らは今年4月、内閣官房と内閣府にそれぞれ文書の開示を求めたが、「情報を保有していない」などの理由で不開示とされ、これを違法だとして、8月に行政不服審査法に基づく審査請求を行政不服審査会(審査会)に対して申し立てていた。

会見で岡田正則教授(任命拒否当事者・早稲田大学法科大学院)は、「菅さんの後を引き継いだ岸田さんは、負の遺産を解決し、違法状態を解放する必要がある。105人の中から6人を見せしめに選ぶという違法行為をなぜ行ったのか、岸田さんは伝え聞いているのか。引き継いでなければ職務怠慢だし、引き継いでいれば違法。すべてにおいて説明責任がある」と述べ、「このような状況は、日本の学術の危機。世界的に見ても低下傾向にある日本の学術を立て直し、自由な発想を底上げしなければならない」と訴えた。

また、小澤隆一教授(任命拒否当事者・東京慈恵医科大学)は、「岸田首相は先だって、総裁選の最中に学術会議の任命拒否問題に関する認識を表明していた。せめて総理に指名されてからなされるべきではないか。この段階での発言は憲法の軽視ではないか」と語った。

学術会議の任命拒否問題をめぐっては、9月に岸田文雄首相(当時・自民党新総裁)が「任命拒否の撤回はしない」と述べ、10月に加藤勝信官房長官が「首相が最終判断したものであり、一連の手続きはすでに終了している」との認識を示していた。

情報公開請求人共同代表の三宅弘弁護士は今後について、「補充書は審査請求の段階から同時に出ているものではないので、すみやかに諮問したい。処分取り消し訴訟を検討することもできるが、可能な限り審査請求で進めていくことにまずは注力したい」と述べた。

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