桜満開「目黒川」花見客300万人以上に“近隣住民”の意外な本音…騒音・雑踏・ポイ捨て不安も「大きな混乱なし」
4月1週目の週末、当初の予想より1週間ほど遅れて満開となった東京・目黒川沿いの桜並木には多くの花見客が訪れていた。
両岸の桜が川を抱くように咲き誇るさまを一目見ようと、最寄り駅のひとつである中目黒駅だけでも、期間中の乗降客数は例年300万人ほどになる。一方で周辺には民家も多く、騒音、交通安全対策、ゴミのポイ捨てなどのマナー違反が問題視されることも少なくない。
目黒川の桜は「立ち止まらずに楽しむ」
目黒川周辺は民家も多く、桜の木が植えられている川沿いの道は生活道路であることから、周辺で宴会をすることはできない。川沿いのベンチなどもロープが張られて使用できないようになっており、立ち止まらずに歩きながら花見を楽しむのが基本だ。
目黒区および目黒警察署は雑踏事故にも細心の注意を払っており、警備強化、混雑区間における順路看板の設置、交通量の多い橋の上で写真撮影などのために立ち止まらないよう注意喚起する看板の設置など、対策に力を入れている。
その効果もあってか、久しぶりの制限なしの花見だったにもかかわらず、週末に訪れた際には混雑の一方で大きな混乱は見られなかった。しかし細部に目を向けると、「飲酒禁止」と書かれた広場で堂々と飲酒、民家前や近隣店舗の敷地内で立ち食い、また、乗らずに押してはいるものの電動キックボードのまま人ごみに立ち入る人など、マナー違反とも思えるシーンも少なからず目撃した。
目黒川沿いの住民の本音は…
実は、花見シーズンに目黒川がにぎわうようになったのはここ10年ほどのこと。雑誌やテレビなどで人気に火がつき、都内有数の花見スポットとして知られるようになったという。しかし盛り上がりの一方、花見客の急増によるマナー違反も目立つようになった。
この状況について、住民はどう感じているのだろうか。川沿いに住む女性に聞くと、「そこまで酷いと感じる場面はありません」と意外な答えが返ってきた。
「ここでは立ち止まってお花見することができないため、多くのお花見会場で問題視されるようなゴミの散乱もなく、どんちゃん騒ぎするような人もいません。周辺で飲んだ人たちが深夜に大声で話しながら通り過ぎていったり、時には立ち話をしている声が聞こえたりするのも、この季節は仕方のないことかなと受け入れています」
ただし、個人的に嫌だと思っているのが「路上喫煙」だという。
「周辺の道路は立ち止まり禁止となっているものの、橋の上やちょっとしたスペースで休憩と言わんばかりに一服始める喫煙者が毎日数人は見受けられます。
これは花見シーズンに限らないのですが、やはり人が増えると遭遇する頻度も上がるように感じています」(同前)
また今年については、開花が遅れたこともあり、例年(コロナ前)より花見客が分散された印象だという。
「この数年、自粛が呼びかけられる中で花見を敢行していた人たちに比べたら、人が増えて混雑していたとはいえ、今年はかなり穏やかな花見の光景でした。
外国人観光客や数年ぶりに来たという人たちもたくさんいたように思いますが、結局はどんな状況でもお祭り騒ぎがやめられない人たちが、マナーの悪い花見客の正体なのではないかと思います」(同前)
規制を厳しくするばかりが“正解”ではない
目黒区は、花見マナー向上のために掲げた「めぐろの桜 keepグッドマナー」のひとつとして、「路上での飲酒飲食は控えましょう」と呼びかけている。しかし現実問題として座れる場所がない以上、周辺店舗や出店で購入した飲食物は路上で歩きながら飲食しなければならず、民家前や近隣店舗の敷地内で立ち食いする人が一定数出てくる原因となっているようにも感じる。
これについて目黒区は「マナーについて『こうでなければいけない』と具体的な例をあげて仕切ることは難しい」と明言を避けたものの、各自が周囲に気を配って花見を楽しんでほしいとの思いをにじませた。
花見に限った話ではないが、何事も規制を厳しくするばかりでは楽しさや盛り上がりが失われてしまう。そうならないためにも、参加するひとりひとりがマナーを守ることが大切なのではないだろうか。
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