出産から子育て支援まで…「未婚の母」として生きていく人が安心できるフル活用すべき各種制度

弁護士JP編集部

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出産から子育て支援まで…「未婚の母」として生きていく人が安心できるフル活用すべき各種制度
シングルマザーを支える制度は豊富にあります(miyuki ogura / PIXTA)

もしも体を壊して働けなくなったら、リタイア後の蓄えが尽きたら、あるいは親の介護が必要になったら…。高齢化は健康寿命の伸びが伴うなら決して悲観することはない。だが、単に加齢で衰弱していく人が増えるのだとすれば、不安しかないトレンドだ。

本連載では、貧困問題に詳しい作家の雨宮処凛氏が、将来への不安から、自らの知識を補完も兼ね、お金や介護、死などについて、各専門家へ取材。弱者目線でかき集めた情報を、「もしも」に備え、厳選して共有する。

知は力なり。こんな仕組み・制度があったのか…。知るほどに、孤独や老いによる不安が和らいでいくはずだ。

第2回のテーマは、「未婚の母として生きていく」。さまざまな事情から、女手一つで子育てしていくことを決意したシングルマザーが生活に行き詰まらないためのノウハウを紹介する。(全3回)

※ この記事は雨宮処凛さんの書籍『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』(光文社《光文社新書》)より一部抜粋・構成しています。

収入に不安のシングルマザーも頼れる入院助産制度

「未婚の母」になる。強い覚悟と不安が入り混じる状態かもしれない。

例えば未婚の友人が妊娠し、産むと決心した時、 使える制度にはどんなものがあるだろう。相手の男性にも家族にも経済的には頼れず、本人も余裕があるわけではないなんて場合だ。

「収入が一定の金額を下回っていれば、出産の際、入院助産制度が使えます。これは出産費用のサポートが受けられるものです。また、国民健康保険か会社の健康保険に入っていれば、出産育児一時金50万円が支払われます。それ以外にも会社の健康保険に入っていれば、出産前後に会社を休んで給料が支払われない場合、出産手当金も受け取れます」(社会福祉士・横山北斗氏)

他にも産前産後のサポートには「産前産後家事・育児支援サービス」がある。一定期間、家事や育児の支援をしてくれる制度だ。

また、産後の母子が受けられる制度には「産後ケア事業」もある。産後に 心身の不調や育児不安があり、サポートが必要な人とその子どもが、短期入所や通所、居宅訪問という形でサポートを受けられる。

そのような窓口として「子育て世代包括支援センター」がある。妊娠や出産、子育てに関することが相談できる場だ。保健師や助産師、看護師、社会福祉士などのアドバイスが受けられる。

満額だと一人目が4万4140円の児童扶養手当など

「それ以外にも、ひとり親であれば、さまざまな制度が利用できます」(同前)

どういうものがあるのだろう?

「まず児童扶養手当ですね。ひとり親の子どもが 18歳になるまで支給されます。収入が多ければ少なくなったりもらえなくなったりしますが、満額だと一人目が4万4140円、二人目が1万420円、三人目以降が一人につき6250円、月額でもらえます」(同前)

それ以外にも使える制度はあるそうだ。

「ひとり親家庭等医療費助成制度も使えます。これは一人で子どもを育てている親と子どもが医療費のサポートを受けられる制度です」(同前)

また、ひとり親に限らず使える制度に「子育て短期支援事業」がある。病気や仕事、リフレッシュなどの際、子どもを一時的に預かってもらえる制度だ。ショートステイやトワイライトステイがある。

他にも登録すれば使える制度に「ファミリー・サポート・センター事業」がある。子育ての手伝いを受けたい人がサポートを受けられる制度だ。

こう見ていくといろいろな制度があるので、フル 活用を勧めたい。

  • この記事は、書籍発刊時点の情報や法律に基づいて執筆しております。
書籍画像

死なないノウハウ~独り身の「金欠」から「散骨」まで~

雨宮 処凛
光文社(光文社新書)

「働けなくなったら」「お金が無くなったら」「親の介護が必要になったら」……。
「これから先」を考えると押し寄せる不安。頼る人がいなければ、最悪しぬしかないのか? そして自らの死後、大切なペットは? スマホやサブスクの解約は? 
この先が不安で仕方ないアラフィフが各界の専門家に取材。社会保障を使いこなすコツや各種困りごとの相談先など、人生の荒波の中で「死なない」ための無敵のサバイバル術を一冊に。

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