家庭内で起きた性被害は泣き寝入りするしかない? 告訴する方法
性犯罪に対する一般的なイメージとして「暗い夜道で変質者に襲われた」というケースを想像する方は少なくないでしょう。
しかし、令和2年版の犯罪白書によると、強制性交等罪の被害者と被疑者の関係は、15.5%が「親族」、53.6%が「面識あり」でした。この結果をみると、性犯罪の加害者は「見知らぬ誰か」よりも「よく知っている身近な人」のほうが多いことがよくわかります。
性犯罪は、家庭内で起こり得る犯罪です。家庭内で起きた性被害で問える罪や責任を追及する方法を解説します。
1. 家庭内性被害で告訴したときに問える罪と罰則
家庭内における性犯罪の被害は、外部に情報が漏れにくいうえに、被害者が口をとざしやすいため、深刻化する傾向があります。
たとえ家庭内で起きたことであっても、性犯罪は許されるものではありません。むしろ、家庭のなかでの関係を悪用しているという意味で、厳しく罰せられます。
(1)監護者わいせつ罪
刑法第179条1項は、18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者を「監護者わいせつ罪」で罰するとしています。
「現に監護する者」とは、実親・養親・養護施設の管理者など、子どもと生活を共にして身の回りの世話をする人のことです。
「わいせつな行為」とは、性欲を刺激・興奮・満足させる行為で、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為だと解釈されています。無理やりにキスをする、乳房をもてあそぶ、性器を触るといった行為がこれに当たります。
罰則は、強制わいせつ罪と同じで6か月以上10年以下の懲役です。罰金の規定はないため、有罪になると必ず懲役となります。
(2)監護者性交等罪
刑法第179条2項は、前条と同じ条件で「性交等をした者」を「監護者性交等罪」とし、5年以上の有期懲役を科すことを定めています。
「性交等」とは、性交・肛門性交・口腔性交を指します。平成29年の刑法改正によって新設された考え方で、改正前の「強姦(ごうかん)罪」の適用範囲が拡大され、罰則が強化されたものです。
有罪になれば、最低でも5年、最長では20年の懲役が科せられます。3年を超える刑罰には執行猶予がつかないため、必ず実刑となり、刑務所へと収監される重罪です。
2. 一番重要なのはひとりで抱え込まないこと
監護者わいせつ罪・監護者性交等罪は、いずれも家庭内で起きる犯罪です。
加害者と被害者との間に扶養関係があることが多く、被害者となる子どもは「訴えれば生活させてもらえない」「自分が我慢すれば家族がバラバラにならなくて済む」と考えてしまいます。
幼いころから被害に遭い続けていると、自分が性犯罪の被害者であることさえ気づかないままでいるケースも少なくありません。
被害を深刻化させないためには「なにかがおかしい」「誰かに相談したい」と感じたときにひとりで悩みを抱え込まず、誰かに相談することが大切です。
3. 被害に遭ったとき相談できる場所
家庭内の性犯罪被害に遭ったとき、相談できる機関を挙げていきましょう。
(1)警察
監護者わいせつ罪・監護者性交等罪は犯罪です。厳しい刑罰が規定されている重罪であり、逮捕され、厳しく処罰されます。
法改正前の性犯罪は被害者からの刑事告訴を受けて正式な事件受理とされていましたが、新設された監護者わいせつ罪・監護者性交等罪は刑事告訴を必要としません。
警察に被害を申告すればそれだけで捜査を進めてもらえるので、勇気を出して警察に相談しましょう。
(2)24時間子供SOSダイヤル
子ども自身が虐待などを24時間・365日いつでも相談できるのが「24時間子供SOSダイヤル」です。
専門の相談員が対応し、警察や児童相談所などとの連携によって解決を目指すことができるので、警察への相談が難しい場合はまず利用してみるのもよいでしょう。
(3)弁護士
警察への届出に先だって「これが犯罪被害にあたるのか」「届け出をした場合にどうなるのか」が不安に感じたなら、まずは弁護士への相談をおすすめします。
弁護士に相談すれば、状況を整理したうえでどのような犯罪にあたるのかを正確に判断できるだけでなく、警察への被害申告の付き添い、代理も依頼できます。
監護者わいせつ罪・監護者性交等罪は親告罪にあたらないため被害者による刑事告訴は不要ですが、加害者を厳しく罰してほしいという意思を示すためには刑事告訴が有効です。弁護士費用はかかりますが、つらい被害を想起して精神的苦痛を感じる事態を防ぐためにも、弁護士にサポートを求めるのはひとつの手です。
- こちらに掲載されている情報は、2022年02月11日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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