ブラック校則とは? 定義や問題点について解説
子どもの多様性が重んじられるなかで、近年は「ブラック校則」の存在が問題視されています。人気アイドルが出演する青春映画のタイトルにも用いられて「ブラック校則」という用語の認知度は急激に高まっていますが、実際のところ、どんなルールがブラック校則にあたるのでしょうか?
ブラック校則の意味や問題点などを解説します。
1. ブラック校則とは?
「ブラック校則」という用語について、耳にしたことはあるが意味はよくわからない、そもそも聞いたことがないという方もいるでしょう。ブラック校則の定義や例を解説します。
(1)ブラック校則の定義
「ブラック校則」という用語は、学校に通う子どもたちが作り出した造語なので正確な定義が存在しません。一応の定義としては、一般社会からみれば明らかにおかしい校則や学校独自のルールを指すと考えればよいでしょう。
主に1980年代を中心に学校に通う生徒の校内暴力や非行が問題視され、校則の整備による指導の強化が図られた時代があり、その一部がブラック校則として残っているものと考えられています。
(2)典型的なブラック校則の例
教育目的を達成するために必要とされる範囲を超えている、社会通念に照らすと合理性を欠くといったルールは「ブラック校則」にあたるといえるでしょう。
- 生まれつき茶色っぽい頭髪なのに「校則だから黒色に染めるように」と強要する
- 縮毛・巻き髪などくせ毛がある生徒に「地毛であることを証明しろ」と求める
- 運動中の水分補給を禁止する
- 下着の色を指定し、規則が守られているのかをチェックする
など
学校は教育のために存在する場なので、華美な頭髪・服装が許容されるわけではありません。しかし「男子生徒は丸刈り、女子生徒は肩まで伸びたらポニーテール」といった指定が教育目的に直結しているとは言いがたいでしょう。運動時の水分補給の禁止は、生命の安全を欠くため明らかに不合理です。
これらは、指導の範囲を超えたブラック校則にあたると考えられます。
2. ブラック校則の問題点とは?
ブラック校則が存在しつづけることは、さまざまな問題を引き起こします。
(1)人権侵害につながる
生徒の教育は学校に課せられた使命のひとつですが、その達成のために生徒の基本的人権が侵されるようなことがあってはなりません。たとえ子どもであっても、自己決定権や幸福追求権、思想・良心の自由、信教の自由などは教育に優先して守られるべきものです。
とはいえ、これらが一切制限されないわけでもありません。過去に校則をめぐって人権侵害の訴えを起こした事例は数多く存在しますが、裁判所は学校の裁量権を広く認める傾向が強いので、自由を制限するすべてがブラック校則にあたるとはいえないでしょう。
(2)個人の尊厳を傷つけるおそれがある
毛髪の色や質に個人差があるのは当然です。黒髪や矯正を強いる校則は、生徒の身体的特徴や容姿を指摘するものであり、個人の尊厳を傷つけるおそれのあるブラック校則にあたるといえます。
(3)ハラスメントにつながる危険もある
下着の色指定などの校則は、校則が守られているかをチェックする行為そのものがセクシュアルハラスメントにあたると考えられます。当然、チェックを受ける生徒は精神的苦痛を感じるし、強いトラウマとして記憶に残る生徒も少なくないでしょう。
(4)教員がルールと保護者との間で板挟みになりストレスを抱える
ブラック校則の存在を疑問視しているのは生徒だけではありません。「なぜこんな理不尽なルールが設けられているのか?」と感じながらも、体制に逆らうこともできず生徒に校則を守るよう指導を強いられている教員も少なからず存在するはずです。
それなのに、保護者からの抗議や問い合わせには「必要な規則だ」と説明しなければならない立場なので、教員がルールと保護者との間で板挟みになってしまい、強いストレスを抱えてしまう結果につながります。
3. ブラック校則に対して生徒と保護者側でできることは?
ブラック校則が存在しつづけることは、生徒にとっても、学校・教員にとっても不利益しか生みません。生徒・保護者のサイドから改善を図るためには、どのような取り組みをすればよいのでしょうか?
(1)生徒・保護者が連携して学校に意見を述べる
ひとりの生徒が不満を述べるだけでは学校という大きな組織を動かすのは困難です。ブラック校則の存在に悩みや疑問を感じている複数の生徒・保護者と連携して意見を述べることで、生徒・保護者の全体から問題視されているという意識を与えられるかもしれません。
もっとも、生徒・保護者の意見があったからといって、ブラック校則の廃止・改正という判断に踏み切る学校は少数でしょう。
(2)教育委員会などの窓口に相談する
学校の腰が重たいなら、教育委員会や教育相談窓口といった外部の窓口に相談することで事態が改善されるかもしれません。教育のために必要な範囲を超えており、社会通念に照らしても合理性を欠いたブラック校則が存在していることを外部に知らしめれば、学校側も方針を転換する可能性があります。
とはいえ、教育委員会などは学校に対して強制力をもたないので、運営方針の転換やブラック校則の廃止・改正まで指示できるわけではありません。考え方も学校に近いので、相談しても大きな成果を期待するのは難しいでしょう。
(3)子どもに深刻な影響が出ている場合は弁護士に相談する
ブラック校則によって子ども自身の尊厳が傷つけられ、精神的な不調を訴えたり、不登校になったりするなど深刻な影響が出ているなら、弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。
実は、国や自治体が校則の実態を調査した際には、地方の弁護士会が意見を求められることが多く、弁護士会が提出した意見書は各地の教育委員会による校則見直しの通知に活用されています。
弁護士といえば借金問題や離婚問題、刑事事件などのトラブルで登場するものだというイメージが強いかもしれませんが、学校における諸問題も取り扱っているので、ブラック校則に関する悩みやトラブルでも対応可能です。
学校や教育委員会とは異なり、トラブルの当事者の立場から意見を述べることができるので、ブラック校則の廃止・改正が期待できるでしょう。ブラック校則によって受けた精神的苦痛に対する賠償請求、ハラスメントの責任追及なども一任できます。
ブラック校則に関するお悩みは弁護士にご相談ください。
- こちらに掲載されている情報は、2023年05月05日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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