校則の法的根拠とは? 理不尽な教師を訴えることはできる?

校則の法的根拠とは? 理不尽な教師を訴えることはできる?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

学校の校則では、髪型の指定、髪の染色・脱色の禁止や下着の色の指定などを定めているものもあります。一見合理性がわからない校則が、俗に「ブラック校則」と呼ばれていますが、このような校則に理不尽さを感じて不満を抱いている学生の方も少なくないでしょう。

そもそも、学生が校則に従わなければならないという法的根拠はあるのでしょうか。また、校則にまつわる困りごとを抱えている場合には、どんな対処方法が考えられるのでしょうか。

今回は、校則の法的根拠と、困りごとがある場合の対処法について解説します。

1. 校則に法的根拠はある?

実は、校則は、明文の規定に基づいて制定されているわけではなく、その法的根拠については、さまざまな見解があります。

最近の裁判例の傾向をみると、学校教育法に基づいて設立された学校は、国・公・私立の別を問わず、生徒の教育という目的を達成するため、必要な事項を校則などによって一方的に制定し、これによって生徒を規律する包括的権能を有すると考えるのが一般的な見解です。

2. 合理性のない校則に従う必要はあるか

学校は、前述の包括的権能に基づき、校則を自由に決めることができる裁量を有しています。

しかし、この包括的権能は生徒の教育目的の達成のために生じているにすぎません。また、校則の制定によって生徒に不利益を生じさせる可能性があるわけですから、裁量はけして無制限ではありません。一般的には、校則が教育目的に基づくものか、教育目的達成のため社会通念上合理性があるかという観点を検討し、合理性が欠ける場合は、校則は裁量の逸脱・濫用があるものとして違法となります。この場合、生徒は当該校則に従う必要はありません。

ただし、上記の校則の合理性の判断は、各学校の理念、教育方針及び実情等を踏まえてなされるため、校則が裁量を超えて違法と認められる例はあまり多くはありません。校則が違法であるというためには、妥当ではないというだけでは足りず、さらに越えなければならないハードルがあるということに留意する必要があります。一般的には校則には従わなければならないことが多いといえるでしょう。

一例ですが、最近、公立高校における茶髪禁止の校則について、校則とこれに基づく指導等が違法であるとして、生徒から地方自治体に対する不法行為に基づく損害賠償等が請求された事件がありました。この事件の判決も、合理性が欠ける場合は、校則は裁量の逸脱・濫用があるものとして違法となることを前提にしています。そして、結論として、茶髪禁止の校則自体は合理的で適法であると判断しました(大阪高等裁判所判決令和3年10月28日裁判所HP参照(令和3年(ネ)714号))。

3. 校則にまつわる困りごとへの対処法

校則や、校則に基づく学校側の対応に困っている場合には、以下のような対処法が考えられます。

(1)学校側との話し合い

まずは、学校側との話し合いです。話し合いなら、訴訟とは異なり、校則や校則に基づく学校側の対応の違法性とは無関係に、困りごとの解決方法を模索することが可能です。また、話し合いでは、穏やかに早期に解決できるというメリットがあります。

もっとも、一見不合理に見える校則があっても、違法といえる場合は限られています。日々保護者や生徒対応に追われている学校側からすれば、校則に関する意見に真剣に対応しようという気持ちにならないことがほとんどでしょう。この場合、弁護士を入れれば、学校側が話し合いに前向きになり、解決までの道のりが容易になることがあります。

(2)教育委員会への相談

学校側が児童生徒や保護者からの申し出を真摯(しんし)に対応しないという場合には、教育委員会に相談することも有効な手段となります。教育委員会は所管に属する学校の人事について権限がありますから(地方教育行政の組織及び運営に関する法律34条)、困りごとを早期に解決できる可能性があります。

(3)裁判での損害賠償請求

校則又は校則に基づく学校側の対応のいずれかが違法といえる場合には、これによって生じた損害について、民事裁判を起こして賠償請求をすることが可能です。もっとも、裁判で請求を認めてもらうためには、証拠に基づく主張を組み立てるのに手間がかかるので専門家である弁護士に依頼する必要があるでしょう。

以上のとおり、校則や校則に基づく学校側の対応が違法といえるかいなかにかかわらず、困りごとを解決する手段は複数あります。適切で容易な解決にするためにも、校則にまつわる困りごとがあったら、はやめに弁護士に相談してみることをお勧めします。

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