悪質な取り立ては違法! 知っておきたい対処法とは?

悪質な取り立ては違法! 知っておきたい対処法とは?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

借金の問題を抱えている方々には、悪質な取り立てにお悩みの方も少なくないでしょう。

しかし、あまりにも悪質な借金の取り立ては、違法行為です。本コラムでは、どのような取り立てが違法となるのか、そのような取り立てへの対処法についてご説明します。

1. 違法な借金の取り立てとは?

以下の①から⑩に該当するような取り立て、その他の人の私生活もしくは業務の平穏を害するような取り立ては、貸金業法第21条1項において禁止されています。

これに違反した貸金業者は、同法第47条の3の規定により2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金または懲役・罰金の両方が科されます。また、この規定は同第3条1項の登録を受けていない無登録業者や、取り立ての依頼を受けた者も対象になります。

①正当な理由なく、午後9時から午前8時の間に、債務者等に電話をしたり、ファックスを送信したり、あるいは居宅を訪問して取り立てを行うこと。

※「債権者等」とは、債権者または保証人をいいます。
※正当な理由があるといえる可能性が高いケースとして、債務者による自発的な承諾がある場合、または債務者等と連絡をとるための合理的な方法がない場合が考えられます。

②債務者等が借金の弁済時期、連絡する時期、連絡を受ける時期を申し出た場合において、正当な理由がないのに、債務者に電話したりファックスを送信したり、あるいは居宅を訪問して取り立てを行うこと。

※正当な理由があるといえる可能性が高いケースとしては、以下が考えられます。

  • 債務者等から弁済や連絡についての具体的な期日の申し出がない場合。
  • 直近において債務者等から弁済や連絡に関する申し出が履行されていない場合。
  • 通常の返済約定を著しく逸脱した申し出がなされた場合。
  • 申し出に係る返済猶予期間中に、申し出内容に違反して債務者等が他社への弁済行為等をした場合。
  • 申し出に係る返済猶予期間中に、債務者等が支払停止あるいは所在不明等となり、借金の返済を受けることが困難であることが確実にとなった場合。

③正当な理由なく、勤務先など居宅以外の場所に電話を掛けたり、電報を送達したり、ファックスを送信したり、あるいは訪問して取り立てを行うこと。

※正当な理由があるといえる可能性が高いケースとしては、以下が考えられます。

  • 債務者による自発的な承諾がある場合。
  • 債務者等と連絡をとるための合理的な方法がない場合。
  • 債務者等の連絡先が不明のため、それを知るために債務者等以外の者に電話連絡をする場合。

④債務者等から居宅や勤務先などから退去するよう要求されたにもかかわらず、それに応じないこと。

⑤債務者等が借金をしていることや私生活に関することを、第三者に明らかにすること。

⑥債務者等に対し、第三者からの借金などによって弁済することを要求すること。

※カードローンやクレジットカードの使用により弁済を要求することも、認められていません。

⑦債務者等以外の第三者に、債務者に代わって借金の返済を求めること。

⑧債務者等以外の第三者が債務者等の居宅または連絡先を知らせることその他の債権の取立てに協力することを拒否しているにもかかわらず、更に取立てに協力を求めること

⑨弁護士等からの受任通知(弁護士等が債務者の代理人となったことを知らせること)、または裁判所から本件借金を民事事件とする手続きが取られた旨の通知があったのにもかかわらず、正当な理由がないのに、債務者等に電話を掛けたり、電報を送達したり、ファックスを送信したり、あるいは訪問して取り立てを行うこと。

※正当な理由があるといえる可能性が高いケースは、上記①と同様です。

⑩債務者等に対し、上記⑥以外のいずれかに該当する言動をすることを告げること。

なお、金融庁による貸金業の監督指針によりますと、上記①から⑩はあくまで例示にすぎません。上記①から⑩以外に借金の取り立てにおいて許されない「人の私生活もしくは業務の平穏を害するような取り立て」としては、以下のような行為が該当すると考えられます。

  • 反復継続して、電話をかけ、電報を送達し、電子メールやファックスなどを用いて送信し、または債務者や保証人等の居宅を訪問すること。
  • 保険金により借金の返済を強要または示唆すること。

2. 違法な借金の取り立てへの対処法は?

①苦情処理手続開始を申し立て

日本貸金業協会では、貸金業相談・紛争解決センターの苦情受付課が貸金業者に対する債務者等からの苦情を受け付けています。申し立ての際は、弁護士を代理人とすることもできます。

苦情受付課は債権者からの苦情を受け付けると、日本貸金業協会員である債権者に対して通知し、一定の事項を記載した回答書を30日以内に提出するように求めます。そして、事情聴取や資料提出などを経て、申し立てを受理してから3か月以内に苦情処理手続きを完了するように努めます。

ただし、貸金業・紛争解決センターの苦情受付課が対応できるのは、基本的に日本貸金業協会に加盟している貸金業者からの借金です。これに加盟していない貸金業者に対する苦情は、対応が難しいといえます。

②弁護士に相談

悪質な借金の取り立てについては、弁護士に相談することにより解決が望めます。

先述のとおり、弁護士を債務整理の代理人を委任すると、弁護士は債権者に対して受任通知を出します。これにより、法律上、債権者は直接の取り立てはできなくなります。もし、取り立てが行われても、「弁護士に確認してほしい」といえばよいだけです。

そして弁護士は、債務者に代わって債権者に対し適切な対応を取り、債務者のパートナーとして借金の整理に向けてさまざまな提案をします。

悪質な取り立てにかぎらず、借金のことでお悩みの方は、まず弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

弁護士JP編集部
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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2021年05月19日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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