債務整理中の借入は難しい? お金が必要なときの4つの対処法

債務整理中の借入は難しい? お金が必要なときの4つの対処法

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

「債務整理中の新たな借入は難しいのか」……結論から言うと、債務整理をすると「個人信用情報機関」に事故情報が登録されるため、原則として、一定期間は新規の借入ができなくなります。

それでも、債務整理後にどうしても借入が必要となった場合には、どのように対処したらよいのでしょうか?

そこで今回は、債務整理中に借入が必要になった場合の対処法や債務整理中の借入注意点について解説していきます。

1. 個人信用情報機関の種類

前提として、個人信用情報機関の種類を知っておきましょう。

個人信用情報機関とは、それぞれの機関に加盟している会員企業などから、個々の消費者の同意に基づき登録される消費者の個人信用情報(クレジットや消費者ローンなど金銭借入れに係わる取引内容)を管理し、加盟会員企業から与信の目的の照会に応じて、個人信用情報を参考資料として提供することを業務としている企業です。

個人信用情報機関の種類として、具体的には以下の機関があります。

  • CIC

    運営:株式会社シー・アイ・シー
    登録情報:信販会社・消費者金融・クレジットカード・携帯電話などの情報
    信用情報の登録期間:最長5年間
    情報開示の手続き費用:500円(オンライン・郵送は1,000円)

  • JICC

    運営:株式会社日本信用情報機構
    登録情報:信販会社・消費者金融・クレジットカード・各種銀行などの情報
    信用情報の登録期間:最長5年間
    情報開示の手続き費用:500円(オンライン・郵送は1,000円)

  • KSC(JBA)

    運営:一般社団法人全国銀行協会
    登録情報:銀行・労働金庫(ろうきん)・信用金庫・JA(農協)などの情報
    信用情報の登録期間:最長10年間
    情報開示の手続き費用:1,000円

各信用情報機関、信用情報を保有する期間が異なります。自分が返済の際にどのようなトラブルを起こしたのか、トラブルを起こしてからどれくらいの月日が経過したか振り返りましょう。

2. 債務整理中に借入はできるのか?

前述したように、債務整理中の借入は、基本的にはできません。

債務整理を行った場合、個人信用機関(個人の支払能力や借入れの返済状況などを管理している機関)に事故情報や延滞情報がのることになるため、新たな借入れやローンを組むことができなくなります。

もっとも、このような場合でも、一部の金融業者では貸付けを行っていますが、後述にも紹介しますが、ヤミ金業者の可能性があるため、債務整理中の借入はおススメできません。

また、債務整理中の借入は、債務整理の手続きが上手くできなくなったり、債務整理に関する支出が大幅に増えたりするなど、デメリットがかなり大きいです。さらに、債務整理の依頼を受けていた弁護士が辞任する可能性が高いです。

そのため、債務整理中の借入は、不可能とまではいえませんが、リスクが非常に高いためおススメできません。

3. 債務整理中の借入についての注意点

どうしてもお金が必要でも、以下でご紹介する「ヤミ金」や「SNSなどの個人間融資」には注意しましょう。

(1)ヤミ金からの借入はやめましょう

「ブラックリストでも大丈夫」、「審査不要」などのうたい文句で利用者をつのる貸金業者もあるかもしれません。しかし、その中には違法な取り立てを行うヤミ金業者がいる可能性もあります。

ヤミ金業者は、手段を選ばずお金を借りたいブラックリスト状態の人をターゲットにしていることが多いのです。

ヤミ金業者からお金を借り入れてしまうと、債務整理に影響があるだけでなく、法定利率より高い法外な利息をとられ、返済が出来なくなったり、法外で激しい取り立てを受けることもあります。

ヤミ金の主な特徴としては、以下の3点が挙げられます。

①貸金業者としての登録を受けていない

業として金銭の貸し付けを行う際には、内閣総理大臣または都道府県知事の登録を受けなければなりません(貸金業法第3条第1項、第11条第1項)。

したがって、無登録で貸金業を営む業者は違法なヤミ金です。

②利息制限法の上限を超える高額な金利を要求する

利息制限法第1条では、元本額に応じて以下の上限金利を設けています。

  • 10万円未満:年20%
  • 10万円以上100万円未満:年18%
  • 100万円以上:年15%

ヤミ金は、利息制限法の上限金利をはるかに超え、年数百%や数千%といった法外な金利を請求するケースがあります。

③粗暴な取り立てを行う

債務者が借金を返済できないと、早朝や深夜に自宅に訪問したり、異様な高頻度で自宅に電話をかけてきたり、場合によっては職場などに押し掛けてくるなど、違法・粗暴な取り立てを行うヤミ金が多く存在します。

このように、一度ヤミ金から借り入れをしてしまうと、債務者は弱みに付け込まれて大きな経済的・精神的な負担を抱えてしまうことになりかねません。

そのため、どんなにお金に困っていたとしても、ヤミ金を利用することは絶対に避けましょう。

ちなみに貸金業を営むためには財務局か都道府県に登録する必要があり、登録業者は金融庁「登録貸金業者情報検索サービス」で確認することができます

(2)SNSなどの個人間融資にも注意しましょう

SNSやネット掲示板などを介し、個人間でお金の貸し借りを行う「個人間融資」が行われていることもあります。

しかし、こうした個人間融資は、個人を装ったヤミ金業者によって行われていることが少なくありません。これは社会問題となっており、金融庁でも注意を呼びかけています。

4. 債務整理中に借入が必要になった場合の4つの対処法

万が一、どうしても借入が必要な場合には、以下のような対処法を検討することが重要です。

(1)手続を依頼した弁護士に相談

もし手続き中にお金が苦しくなった場合は、債務整理を依頼している弁護士に相談してみましょう。

弁護士費用の支払いを一定期間待ってもらえる可能性があります。また、本来は一括払いが原則の着手金を、後払いや分割払いにしてもらえるケースもあります。

現在行っている債務整理法で十分な効果が得られない、返済計画が債務者の現状にあっていないという場合には、他の債務整理に切り替えるということも検討可能です。

弁護士は依頼人の利益を一番に考えます。決して弁護士に黙って借入したりせず、「今のような状況が続くと生活が苦しい」と相談してみましょう。

(2)減免制度を利用する

債務整理中の医療費の支払いが難しいという場合は、一部負担金減免制度を利用できるかもしれません。

この制度は国民健康保険に加入していて災害や失業などによって生活が困窮した方を対象に、医療費を減額あるいは免除できるという制度です。減免できる期間は3カ月が標準ですが、最大で6か月まで延長可能です。

詳しい減免額や対象期間などの詳細は、お住いの自治体の国民健康保険窓口まで問い合わせをしてみてください。

(3)生活福祉資金貸付制度を利用する

低所得者世帯(住民税非課税が目安)・障害者世帯・高齢者世帯(65歳以上の高齢者がいる世帯)を対象として、国による「生活福祉資金貸付制度」が設けられています。

たとえば、生活再建までの間の生活費用を資金使途とする場合には、単身であれば月15万円、2人以上の世帯であれば月20万円まで借り入れができます。

生活福祉資金貸付制度は、債務整理によって信用情報機関に事故情報が登録されている方でも利用できるほか、連帯保証人を立てることにより無利子で借り入れができるため、非常に便利な制度です。

(4)生活保護の検討

事情があって働くことができず、上記のような方法をとっても生活するための費用を得ることができない場合は、生活保護の受給を検討しましょう。

お住いの地域や世帯の状況によって支給される保護費は異なりますが、財産や収入がないことを条件に、日常生活で必要な費用や家賃、医療費や総裁費用などを支給してもらうことができます。生活福祉資金などのように返済する必要はありませんが、ケースワーカーによる毎月の家庭訪問などがあります。

債務整理中でも受給申請は可能ですが、任意整理や個人再生では手続き後も返済があるため、収入がなくても手続きできる自己破産一択になるでしょう。

生活保護の受給に関しては、お住まいの地域の福祉事務所や役所の担当窓口で申請できます。

5. 債務整理中にお金に困ったら相談を

【まとめ】

    ①債務整理をすると、基本的に貸金業者や金融機関からお金を借入する事ができない。

    ②債務整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録される(ブラックリストに掲載される)。

    ③ヤミ金からの借入やSNSなどの個人間融資の借入には注意。

    ④債務整理中に借入が必要になった場合の対処法は以下4点。

  • 手続きを依頼した弁護士に相談
  • 減免制度を利用する
  • 生活福祉資金貸付制度を利用する
  • 生活保護の検討

債務整理が失敗すると借金は減免できず、また取り立てが再開します。詐欺罪で訴えられる可能性もあるため、債務整理中の借入は高リスクだということを覚えておきましょう。どうしても債務整理中に現金が必要になったら、公的融資制度や減免制度を申請することを検討しましょう。

また手続きを依頼している弁護士に相談することも得策です。債務整理後一定期間が経過したら、また借入が可能になりますので、その場合には開示制度で事故情報の回復を確認し、手続きした貸金業者を避けるようにしましょう。

弁護士JP編集部
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  • こちらに掲載されている情報は、2025年01月29日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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