給料ファクタリングとは? 利用を避けるべき理由

給料ファクタリングとは? 利用を避けるべき理由

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

給料日までにお金が足りなくなり、「給料ファクタリング」(給与ファクタリング)の利用を検討したことがある方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、給料ファクタリングはその実態は違法金利のヤミ金業者であり、利用者が搾取されてしまう危険性が高いので、利用は避けましょう。万が一給料ファクタリングの被害に遭ってしまった場合は、お早めに弁護士までご相談ください。

今回は、給料ファクタリングの仕組み・違法性・リスクなどについて解説します。

1. 給料ファクタリングとは?

給料ファクタリングは、給料日を待たずにお金が必要となった個人の方に、かつて幅広く利用されていました。

しかし、給料ファクタリングの業者は悪質な違法業者が多く、金利も違法なこともあり、利用者が搾取される危険性が非常に高いため、給料ファクタリングの利用は避けましょう。

(1)給料ファクタリングの仕組み

給料ファクタリングを行う業者が主張する給料ファクタリングの仕組みは、以下のとおりです。

  1. 利用者と業者の間で、給与債権の債権譲渡契約を締結する
  2. 業者から利用者に対して、1の債権譲渡に係る代金を支払う
  3. 業者から利用者に対して、利用者の勤務先に対する給与債権の取り立てを委託する
  4. 給料日に利用者が勤務先から給料の支払いを受ける
  5. 4で支払いを受けた給料を、利用者が業者に対して交付する

上記を簡単にまとめると、「利用者が業者から実質的に給料を前借りし、給料日に支払われた給料をもって業者に返済する」という仕組みになっています。前借り(給料債権譲渡代金の支払い)の際には、給料の額面から一定の手数料が引かれるため、業者は手数料分の利益を得ることになります。

(2)給料ファクタリングは違法

金融庁・東京地裁の見解

貸し付けを業として行う「貸金業」を営む場合、内閣総理大臣または都道府県知事の登録を受ける必要があります(貸金業法第3条第1項、第11条第1項)。この点、各給料ファクタリング会社は「債権譲渡であって、貸し付けではない」という理屈を主張し、給料ファクタリングに貸金業登録は不要という整理の下で、貸金業の登録をせずに営業を行ってきています。

しかし、金融庁のノーアクションレターへの回答(2020年3月5日付)および東京地裁令和2年3月24日判決(2件)では、相次いで給料ファクタリングが貸金業に該当するという見解が示されました。

(参考:「金融庁における一般的な法令解釈に係る書面照会手続(回答書)」(金融庁))

金融庁および東京地裁は、給料ファクタリングは経済的に見て貸付けであり、債権譲渡の名目で貸金業法等の規制を潜脱(法の網を潜る)することは許されないという立場に立っています。権威ある2つの公的機関による見解は、実務に対して支配的な影響力を生じるため、貸金業の登録をせずに給料ファクタリングを行う業者は、違法なヤミ金業者であると言えます。

2. 給料ファクタリングは返済不要

給料ファクタリングが「貸付け」と評価される以上、貸金業法・出資法・利息制限法の規定が適用されます。特に各法律で定められた上限利率(利息制限法:年15~20%、出資法:年20%、貸金業法年109.5%)との関係で、給料ファクタリングに設定された高額の手数料は、ほとんどのケースで違法となります。

東京地裁令和2年3月24日判決では、貸金業法第42条に基づき、給料ファクタリングの契約自体を無効としたうえで、出資法の上限利率を大きく超える手数料を理由として、債権譲渡代金自体を「不法原因給付」(民法第708条)であると認定しました。

債権譲渡代金が「不法原因給付」とされた場合、利用者は債権譲渡代金を業者に返済する必要がありません。もし給料ファクタリング業者に対する返済に悩んでいる方がいらっしゃれば、そもそも返済義務がない可能性があるので、一度弁護士にご相談ください。

3. 給料ファクタリングの利用は避けるべき

利用者側のリスク大

前述のとおり、給料ファクタリングはそのほとんどが違法な形態で行われるサービスであり、利用者側は大きなリスクに晒(さら)されてしまいます。

特に、年率数百%や数千%におよぶ法外な手数料を要求される点や、業者への返済ができなければ粗暴な取り立てが行われかねない点は、利用者にとって非常に危険です。給料ファクタリング業者のバックには、暴力団等の反社会的勢力が存在するケースも多いため、どんなにお金に困っていたとしても、利用は絶対に避けましょう。

万が一給料ファクタリング会社を利用してしまった場合は、速やかに弁護士へご相談ください。

前述のとおり、給料ファクタリングの債権譲渡代金(元本)は返済不要なケースが多く、弁護士に依頼すればきぜんとして返済を拒否することができます。その他、生活資金を融通するための手段などについてもアドバイスを受けられるので、お早めに弁護士へ相談することをおすすめいたします。

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  • こちらに掲載されている情報は、2022年04月14日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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