ネット上に個人情報を晒されたら? 対処法と防止策を解説

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ネット上に個人情報を晒されたら? 対処法と防止策を解説

インターネット上で個人情報を勝手に晒(さら)されたら、速やかにサイト管理者に対して削除依頼を行い、さらに投稿者に対する責任追及を検討しましょう。

また、個人情報を晒される事態を防ぐため、日頃からリスク管理を行うことも大切です。

1. 個人情報を勝手に晒すことは違法

他人の個人情報を勝手に晒すことは違法であり、晒した人は法律上のペナルティーを受けることになります。

(1)個人情報とは

「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、以下のいずれかに該当するものです(個人情報保護法第2条第1項)。

①当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)

②個人識別符号が含まれるもの

(例)DNA情報、生体認証情報、旅券番号、基礎年金番号、免許証番号、住民票コード、個人番号、健康保険証の被保険者記号・番号など

たとえば氏名・生年月日・連絡先などが、個人情報の典型例です。

なお、不当な差別や偏見などにつながりうる個人情報は「要配慮個人情報」にあたり、個人情報保護法に基づいて、通常の個人情報とは異なる取り扱いが求められています。

(2)個人情報を晒した者が受ける法律上のペナルティー

インターネット上で他人の個人情報を晒した人は、以下のペナルティーの対象になることがあります。

①名誉毀損(きそん)罪

個人情報によって対象者を特定できるような形で、事実を摘示した上でその人の社会的評価を下げるような言動を公然と行った場合には、名誉毀損罪が成立します(刑法第230条第1項)。

名誉毀損罪にあたる行為をした者は「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」に処されます。

②侮辱罪

個人情報によって対象者を特定できるような形で、事実を摘示せずにその人の社会的評価を下げるような言動を公然と行った場合には、侮辱罪が成立します(刑法第231条)。

侮辱罪にあたる行為をした者は「1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」に処されます。

③個人情報保護法違反

個人情報取扱事業者の役員または従業者(過去にそうであった者を含む)が、その業務に関して取り扱った個人情報データベース等を、自己もしくは第三者の不正な利益を図る目的で提供・盗用したときは「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」に処されます(個人情報保護法第179条)。

④プライバシー侵害(不法行為)

故意または過失によって他人の個人情報を流出させた者は、被害者に対して不法行為に基づく損害賠償責任を負います(民法第709条)。

2. 個人情報を晒された場合の対処法

インターネット上で自分の個人情報が晒されていることを発見したら、速やかに以下の対応を行いましょう。

(1)弁護士への相談

まずは弁護士に相談して、どのように対応すべきかについてアドバイスを受けましょう。

弁護士に相談すれば、法的な知識と経験に基づき、適切な対処法を教えてもらえます。また、削除請求・投稿者の特定・損害賠償請求などの対応についても、弁護士に依頼すればすべて任せることができます。

(2)証拠保全

削除依頼や損害賠償請求などに備えて、個人情報が晒されている投稿のスクリーンショットなどを保存しておきましょう。URLと日時も併せて表示させ、いつどのサイトに投稿されたか分かるようにしておくことが大切です。

(3)サイト管理者に対する削除依頼

個人情報が晒された状態を放置していると、嫌がらせや脅迫などの二次被害が生じるおそれがあります。速やかにサイト管理者に対して削除依頼を行いましょう。

多くのSNSや匿名掲示板サイトでは、削除依頼用のフォームなどが設置されています。問題の投稿を特定した上で、速やかな削除を求めましょう。

サイト管理者が削除に応じない場合は、裁判所に対して投稿削除の仮処分を申し立てることも考えられます。仮処分申立てにあたっては、弁護士のサポートを受けるのが安心です。

(4)警察への相談

個人情報が晒されるとともに、名誉毀損や侮辱も受けた場合には、警察署に被害届を提出しましょう。

問題の投稿のスクリーンショットなどを示しつつ、大きな被害を受けていることを説明すれば、犯人の摘発に動いてもらえる可能性が高まります。

(5)発信者情報開示請求・損害賠償請求

個人情報を晒されたことによって損害を受けた場合には、投稿者に対して損害賠償を請求できます。

損害賠償請求にあたっては、まず投稿者を特定しなければなりません。

匿名投稿者を特定するためには、裁判所に対して発信者情報開示仮処分または発信者情報開示命令を申し立てましょう。サイト管理者やインターネット接続業者から、投稿者の個人情報の開示を受けられることがあります。

投稿者を特定したら、内容証明郵便などを送付して損害賠償を請求しましょう。投稿者が示談に応じれば、示談書を締結した上で損害賠償の支払いを受けます。

投稿者が損害賠償に応じない場合は、裁判所に対する訴訟の提起も検討しましょう。訴訟手続きは専門的ですが、弁護士に依頼すればスムーズに対応してもらえます。

3. 個人情報を晒されないための対策

インターネット上で個人情報を晒されないためには、プライベートな投稿についてリスク管理を行うことが大切です。安易な個人情報の書き込みを控える、SNSのプライバシー設定(公開範囲など)を見直すなどの対策を行いましょう。

また、意図しない個人情報の不正流出を防ぐため、PCのセキュリティー対策を強化することも効果的です。適切にセキュリティーソフトなどを導入して、ウイルス感染や不正アクセスから個人情報を守りましょう。

個人情報を漏洩されたらどうしたらいい? 警察に相談すべきケースは?

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  • こちらに掲載されている情報は、2024年10月10日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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