対人賠償保険とは?対象となるケース、補償内容と加入の必要性

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弁護士JP編集部 弁護士JP編集部
対人賠償保険とは?対象となるケース、補償内容と加入の必要性

対人賠償保険は、自動車を運転する方にとってぜひとも加入すべき自動車保険です。補償内容を正しく理解した上で、必ず対人賠償保険に加入しましょう。

1.対人賠償保険とは?

「対人賠償保険(対人賠償責任保険)」とは、交通事故の相手方の傷害・後遺障害・死亡(=人身損害)について、被保険者が負う損害賠償責任をカバーする保険です。
任意加入の自動車保険(=任意保険)の中でも、対人賠償保険は最も重要な保険といえます。

(1)対人賠償保険は、自賠責保険の「上乗せ」

自動車を運行する際には、自賠責保険に加入することが義務付けられています(自動車損害賠償保障法5条)。自賠責保険からは、交通事故の被害者が受けた人身損害につき、最低限の補償が提供されます。

自賠責保険には、損害の種類に応じて以下の限度額が設けられています。

傷害による損害 120万円
後遺障害による損害 75万円~4000万円
※後遺障害等級による
死亡による損害 3000万円

対人賠償保険は、自賠責保険の限度額を超える人身損害を「上乗せ」的に補償するものです。

(2)対人賠償保険へ絶対に加入しなければならない理由

対人賠償保険への加入は任意ですが、自動車を運転する方は必ず加入すべきです。

交通事故の被害者が死亡した場合や、被害者に後遺障害が残った場合などには、加害者が負う損害賠償責任はきわめて高額になります。自賠責保険の限度額を大きく超える損害が発生するケースも、決して珍しくありません。

<高額の損害賠償が認められた判決例>

  • 横浜地裁2011年11月1日判決
    →41歳の男性眼科開業医が死亡、認定総損害額5億2853万円
  • 札幌地裁2016年3月30日判決
    →30歳の男性公務員が後遺障害、認定総損害額4億5381万円
  • 横浜地裁2017年7月18日判決
    →50歳の男性コンサルタントが後遺障害、認定総損害額4億5375万円
  • 札幌地裁2021年8月26日判決
    →19歳の男性大学生が後遺障害、認定総損害額4億5063万円
  • 鹿児島地裁2016年12月6日判決
    →58歳の女性専門学校教諭が後遺障害、認定総損害額4億3961万円

出典:「ファクトブック2024 日本の損害保険」(一般社団法人日本損害保険協会)p76

対人賠償保険に加入していないと、自賠責保険によって補償されない損害賠償が、全額自己負担となってしまいます。一生かけても払いきれないほどの損害賠償責任を負うことになってしまうかもしれません。

このような事態を避けるため、自動車を運転する際には必ず対人賠償保険に加入しましょう。

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2.対人賠償保険の被保険者の範囲

対人賠償保険の被保険者(=交通事故を起こした際に、補償を受けられる人)の範囲は、保険契約の定めに従って決まります。

一般的には、以下のいずれかに該当する人が対人賠償保険の被保険者となります。

①記名被保険者(=契約車を主に運転する人)

②契約車を使用または管理している、以下のいずれかに該当する人

(a)記名被保険者の配偶者
(b)記名被保険者またはその配偶者の、同居の親族
(c)記名被保険者またはその配偶者の、別居かつ未婚の子
(d)(a)~(c)に当たる人が責任無能力者である場合、その親権者および監督義務者等
(e)記名被保険者の使用者(契約車を使用者の業務に使用している場合に限る)

3.対人賠償保険によってカバーされる損害の範囲

対人賠償保険によってカバーされるのは、交通事故の相手方に生じた人身損害のうち、事故との間に社会通念上相当な因果関係が認められるものです。限度額を設けることもできますが、無制限とすることが推奨されます。
なお、相手方に過失がある場合は、過失相殺によって補償額が減額されます。

(1)対人賠償保険によって補償される損害の例

対人賠償保険によって補償される損害としては、以下の例が挙げられます。

①治療費等

けがの治療に要した費用(治療費、薬剤費、装具や器具の購入費用、通院交通費、入院雑費、付添費用など)が補償されます。

②休業損害

けがの影響で仕事を休んだ場合に、得られなかった収入相当額が補償されます。

③葬儀費用

被害者が死亡した場合には、葬儀費用が補償されます。

④後遺障害が残った場合の逸失利益

被害者が死亡し、または後遺障害が残った場合には、将来にわたって失われた収入相当額が補償されます(中間利息控除や生活費控除が行われます)。

⑤精神的損害(慰謝料)

けが・後遺障害・死亡によって被った精神的損害に相当する慰謝料が支払われます。

⑥その他の費用

上記のほか、訴訟費用や弁護士費用などが補償されることがあります(保険会社の同意など、一定の条件が設けられている場合があります)。

(2)対人賠償保険の限度額|無制限に設定すべき

対人賠償保険には、限度額を設定することができます。その一方で、限度額を設定しない「無制限」とすることも可能です。

限度額を低く設定すれば、保険料の負担を抑えることができます。ただし、実際に事故が発生した場合には、限度額までしか保険金が支払われません。

前掲のとおり、交通事故によって被害者に生じる損害は、数億円もの高額に及ぶケースがあります。一生かけても支払いきれないような損害賠償責任を負うことがないように、対人賠償保険の限度額は「無制限」としておきましょう。

(3)対人賠償保険には過失相殺が適用される

対人賠償保険によって補償されるのは、交通事故の被害者が受けた人身損害のうち、被保険者の過失割合に対応する部分に限定されます。

たとえば、被害者に1000万円の人身損害が発生した一方で、被害者に3割の過失が認められるとします。
この場合、被害者が受け取れる損害賠償額は、実際の損害額に対して7割に相当する700万円です。対人賠償保険から支払われる保険金額も、自賠責保険と合わせて700万円までとなります。

4.人身事故を起こした場合に弁護士へ相談するメリット

対人賠償保険および対物賠償保険に加入していれば、交通事故の損害賠償に関する対応は、原則として保険会社に一任できます。ただし、保険会社の対応に何らかの不満がある場合には、弁護士に相談してアドバイスを受けるのがよいでしょう。

また交通事故の加害者は、刑事事件として警察に取調べを求められることがあります。取調べに臨む際の心構えなどについては、弁護士にアドバイスを求めるのが安心です。

対人賠償保険または対物賠償保険に加入していない場合や、限度額を超える損害賠償責任を負う可能性が高い場合には、被害者との間で直接示談交渉などを行わなければなりません。
この場合は、必ず弁護士に相談してサポートを受けましょう。弁護士が代理人として適切に対応することで、不相当に高額な損害賠償責任を回避できる可能性があります。

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  • こちらに掲載されている情報は、2024年10月24日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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