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性被害“受けた側”が「退職」“加害側”は「戒告どまり」…「幹部が腐り切っている」女性検事が告発する“検察組織の闇”

性被害“受けた側”が「退職」“加害側”は「戒告どまり」…「幹部が腐り切っている」女性検事が告発する“検察組織の闇”
ひかりさん(9月1日 都内/弁護士JPニュース編集部)

「私は検事の仕事が大好きで、天職だと思っていました」——。性暴力被害を訴えてきた現職の女性検事「ひかりさん」が、8月末で検察を退職した。

天職と信じた職を手放す一方、加害者とされる元検事正はいまだ刑事裁判で無罪を主張して争い、事件をめぐって虚偽情報を拡散した疑いのある女性副検事は懲戒の戒告にとどまり、今も検察官として働いているという。

ひかりさんは1日午後、都内で会見し「なぜ被害者である私が仕事を奪われ、職を奪われなければならないのか」と訴えた。

元検事正の官舎で

ひかりさんによると、被害は2018年9月に発生。

懇親会に参加したひかりさんは酒に酔った状態で、元検事正の北川健太郎被告から官舎に連れ込まれ、被害に遭ったという。

被害を誰にも知られたくないという思いから、当初は申告をためらった。だがPTSD(心的外傷後ストレス障害)が悪化し、「犯罪を犯した者を検事正として働かせ続けてよいのか」との思いから、被害申告に踏み切ったという。

北川被告はその後、準強制性交の罪で逮捕・起訴され、初公判でいったんは起訴内容を認めたものの、その後「同意があったと思った」と無罪主張に転じた。公判は1年10か月開かれていない。ひかりさんは「判決前の勾留期間を刑期に算入させるため、否認して長引かせている」と主張した。

元検察事務官の副検事を実名で告発

会見でひかりさん側は、事件をめぐり虚偽情報を拡散したとする女性副検事を実名を挙げて公表した。代理人の田中嘉寿子弁護士によると、副検事は検察事務官を長年務めた後、副検事に任官したという。

「犯罪を重ね、被害者を踏みにじる人間を検察官として働かせ続けることを、一市民として許せない」

ひかりさんは公表の理由をこう語った。

ひかりさん側が挙げた副検事の行為は大きく4つ。北川被告と不貞、あるいはそれに近い関係にありながら「自分は第三者だ」と偽って虚偽の供述をしたこと、北川被告側に捜査情報を漏洩したこと、自身のスマートフォンから北川被告との通信履歴を削除したこと、そして逮捕直後から被害者であるひかりさんの氏名や、“ハニートラップを仕掛けた”とする虚偽情報を検察内部に拡散したことだ。

副検事は北川被告の証人として出廷する予定だったが、8月に撤回したという。

「客観的行為はある」不起訴への疑問

副検事は誹謗中傷などをめぐり戒告の懲戒処分を受けたものの、名誉毀損などの刑事責任は問われず、大阪高検が昨年3月に不起訴としている。ひかりさん側は今年7月、検察審査会に「起訴相当」の議決を求めて申し立てた。

田中弁護士は、不起訴の理屈を「論理のすり替え」と批判。

「証拠隠滅などの客観的行為は認められるのに、『そこまで拡散するとは思わなかった』として故意を認めず不起訴にした」と指摘し「『自分の行為を認識していれば故意は認められる』というのが判例であり、検察官であれば、日常的に業務で被疑者に説明してきた理屈だ」と述べた。

そのうえで、北川被告と副検事による犯罪を検察が「組織的に隠蔽」していると訴え、市民の代表である検察審査会に「起訴相当」の判断を求めた。

「幹部が腐り切っている」

ひかりさんが「これが全て凝縮した事件」として抗議したのが、被害者情報の扱いだ。性犯罪被害者の情報は、加害者側に示さないよう裁判所が定める「秘匿決定」で守られるのが原則とされる。

だがひかりさんは、自身の出勤記録や業務用パソコンのメールなど内部情報が、令状も本人の同意もなく刑事記録化され、北川被告側に開示されたと訴えた。

「令状もなく、本人の同意もないのに、被害者の情報を加害者に見せた。検察職員に人権はないのか」(ひかりさん)

北川被告の公判について、ひかりさん側は、副検事の証人尋問撤回後、来年3月の判決に向けた日程が裁判所から打診されたと明かした。

ひかりさんはPTSDを発症したとして準強制性交致傷罪への訴因変更を求めたが、裁判所は認めない意向を示したという。

会見の終盤、ひかりさんは第三者委員会の設置など検察改革を改めて求めたうえで、退職後も闘い続ける理由をこう語った。

「本当は、この件から離れたいし、逃げたい。それでも、声を上げなければ、犯罪者集団である検察の違法性がまた埋もれてしまう。一生懸命働く職員もいるが、幹部が腐り切っている。第三者の監視機関が必要だから、闘い続けざるを得ない」(同前)

  • この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいて執筆しております。

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