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「中央の決定は正しいから従え」共産党除名の元党員が語る“変質”「普通の政党になりつつあったのに…」弁護士は手続きの瑕疵主張

「中央の決定は正しいから従え」共産党除名の元党員が語る“変質”「普通の政党になりつつあったのに…」弁護士は手続きの瑕疵主張
松竹伸幸氏(8月27日 都内/弁護士JPニュース編集部)

「党中央の決定は常に正しく、それを貫くためにどうするか、という立場で物事を組み立てているんだなと実感した」

日本共産党の元党員で、自らへの除名処分の是非を争っているジャーナリストの松竹伸幸氏は8月27日、都内で会見し、そう語った。

「2000年代に党規約が新しくなってからは、犯罪を犯したから除名、といったケースはあったが、政治的な見解の違いが理由で除名になるような例は記憶になく、自由に意見が言える普通の政党になりつつあった」と振り返る松竹氏。

だが、この日の証人尋問では、除名の理由とされた著書を党側が読む前から、除名に向けて動いていた疑いが浮かんだ。

「本を読む前に、方針は決まっていた」

裁判は、松竹氏が2023年に党首公選制の導入や自身の立候補などについて記した著書を出版した後、党から除名処分を受けたことに端を発する。党側は、書籍で松竹氏が党首公選制を訴えたことなどが党規約に違反すると位置づけた。

松竹氏側は、著書の中でこれらが規約に反しないことを丁寧に説明していたと反論し、処分の違法性を争ってきた。

この日は東京地裁で午前10時30分から午後5時ごろまで、丸1日をかけて4人の証人尋問が行われた。

原告側によると、尋問を通じて浮かんだのは“結論ありき”の構図だったという。

処分を決定した党側の証人は、著書を1月20日から2月5日の判断までの間に読んだと述べた一方、除名の方向性自体は1月20日には固まっていたことがうかがえたという。

原告側の伊藤建弁護士は期日後の会見で「書籍の出版前から、除名に向けて動いていたことが明らかになった」と指摘。出版前のインタビュー記事などから、党はすでに処分の方針を決めていたのではないか——というのが原告側の見立てだ。

「これが党のやり方か」

伊藤弁護士は会見で、処分に不服がある党員が申し立てる「再審査」の手続きに関する証人尋問についても「大変驚いた」と述べた。

再審査は党大会で行うとされているが、この日の証人尋問では、党大会に出席する648人の代議員が、松竹氏の除名を再審査することを事前に知らされず、実際の審査は「大会幹部団」と呼ばれる21人に委ねられていたことが分かった。

原告代理人の平裕介弁護士は、この構図を株主総会になぞらえて次のように説明。

「大会幹部団というのは、いわば取締役や株主総会を運営する立場の人たちで、代議員は株主にあたります。

株主総会であれば株主に対して、資料を配布し、株主はその資料を見て、 議題について判断する、というのが普通です。

ところが、松竹氏の再審査では、急に幹部団の決定を一方的に代議員に報告され、代議員による決議をとることもなく拍手で再審査の却下が決定されました。

つまり、一般社会と比べると非常に特殊な方法で、処分の再審査が行われており、重大な手続き上の瑕疵があると考えています」(平弁護士)

松竹氏も「再審査とは、処分した側と処分された側、双方の意見を聞いて審査するものだと思っていたが、実際にはそのようなことはなく、これが党のやり方かと知った」と述べた。

「不公正な手続きを経て除名処分されたことが明らかに」

手続きの公正さをめぐっては、党の“ナンバー2”である山下芳生筆頭副委員長の証言も焦点となった。原告側代理人によると、代議員の1人が松竹氏の処分に反対していたところ、山下氏は党大会の10日ほど前にこの代議員と面会していたという。

この件について、証人尋問で「審査する側が、当然そのような不公正なことをしてはいけないのではないか」と聞かれた山下氏は「私は会わなければならないと思っていた」と回答。

平弁護士は「裁判にたとえれば、裁判官が事前に証人に会うようなもので、ありえない。これで松竹氏が不公正な手続きを経て除名処分されたことが明らかになった」と述べた。

一方、除名処分そのものの手続きにも争点がある。

原告側によると、党規約では、調査の段階と、処分を決める前に弁明する段階でそれぞれ、本人が異議を唱える機会が与えられるはずだという。

実際、松竹氏と同じ時期に除名された党員には両方の機会が付与されたのに対し、松竹氏には一度の機会しか与えられなかったという。この機会について、原告側は共産党側でも意見が食い違っていると指摘。

伊藤弁護士は「一度だけしか機会が与えられなかった点については、証人尋問で認められましたが、松竹氏が権利を放棄した、という証言と、一度の手続きで2回分の機会を与えたという証言があり、言い分が食い違っている」と述べた。

「中央の決定は正しいから従え」

松竹氏は会見で「私が実感していた共産党は、意見が違うからという理由で、党員を排除する党ではなかった」と振り返る。

「党規約の改定以降、政治的な見解の違いを理由に除名するようなことは、私の記憶にもなく、普通の常識的な党になりつつあると思っていました。

その空気が逆転しつつあるのを(今回の裁判で)見せつけられました。

党員の権利をどう尊重するかは考えられておらず『中央の決定したことは正しいから従え』という政治になりつつあります」(松竹氏)

次回期日は12月10日。双方が最終準備書面を提出したうえで結審する見込みだといい、早ければ年度内にも判決が出る可能性がある。

  • この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいて執筆しております。

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