「長時間労働からの脱却に反する」「規制緩和は必要ない」裁量労働制見直し、政府のとりまとめに連合が反発
5月27日、日本成長戦略会議の労働市場改革分科会(分科会長:上野賢一郎厚労相)が、労働供給力の強化に向けた改革の方向性をとりまとめた。
リスキリング(学び直し)の推進や円滑な労働移動の促進など幅広い施策を盛り込む一方、裁量労働制の対象見直しにも言及。
これに対し、日本労働組合総連合会(連合)は同日、「規制緩和を示唆する内容が盛り込まれたことは極めて遺憾」とする事務局長談話を発表した。
分科会で賛否が割れた労働時間法制
とりまとめの背景には、生産年齢人口の急減がある。とりまとめによると、2040年までに生産年齢人口はさらに減少が加速する見通しで、「労働力供給制約はよりその厳しさを増していく」とされる。2010年代以降の実質GDP成長率は年平均0.9%と持ち直し傾向にあるものの、持続的な成長には労働供給力の強化が不可欠だと指摘している。
こうした危機感を踏まえ、4月22日の第4回日本成長戦略会議では、高市早苗首相が上野厚労相に対し、裁量労働制について「濫用防止措置を前提に制度対象の在り方について、見直しの検討を進めてください」と指示していた。
裁量労働制とは、実際の労働時間にかかわらず、労使間であらかじめ定めた時間(みなし労働時間)を働いたとみなす制度で、法定の20業務(研究、システム設計、士業等)が対象となる「専門業務型」と、事業運営(企画・立案・調査・分析など)が対象となる「企画業務型」の2種類がある。
分科会での議論は賛否が大きく分かれた。とりまとめによれば、裁量労働制について「柔軟で自律的な働き方を可能にする」「制度の濫用防止策とセットで拡充の議論を進めるべき」との意見があった一方、「長時間労働になりやすく、裁量や適切な処遇が必ずしも確保されていない実態がある中で、制度拡充を行うべきではない」との反対意見も示されている。
時間外労働の上限規制についても、業種・規模によっては「対応が厳しい」との声が出たものの、「上限規制を緩和すべきでないとの多くの意見があった」と記載された。
「長時間労働からの脱却に反する」
とりまとめは最終的に、労働時間法制等の政策対応を「夏以降の労働政策審議会において、議論を行う必要がある」と結論づけた。
裁量労働制については「健康確保、長時間労働防止、適切な処遇確保などの濫用防止措置を前提に、裁量労働制の対象の在り方について、見直しの検討を行う必要がある」と明記している。
加えて、勤務間インターバル制度(終業から翌日の始業まで一定の休息時間を確保する仕組み)の法的位置付けや、「つながらない権利」(勤務時間外に業務上の連絡への対応を拒否できる権利)の在り方についても検討を進めるとした。
連合の神保政史事務局長は談話で「分科会では、多様な人材の労働参加の促進のためには、長時間労働に依存した働き方からの脱却、『働き方改革』のさらなる定着が急務との意見が連合も含めて多く出された」と振り返りつつ、今回のとりまとめについて、「経済団体などが主張した『裁量労働制の対象の在り方』の見直し、『変形労働時間制』の検討、労働基準監督署の指導について緩和が示唆されたことは看過できない」と評価。
「『働き方改革』は、労働時間縮減による働く者の健康確保はもとより、長時間労働に依存した企業文化を見直し、生産性向上をもはかるもの。『働き方改革』の本旨に逆行する裁量労働制拡充などの規制緩和は必要ない」と訴えた。
そのうえで、労働政策審議会では「連続勤務規制や勤務間インターバル制度の法的位置付け」など「『働き方改革』を前進させる方策の検討を深めるべき」と求めている。
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