「空き家」で“1億円”を発見、中高生らが“遊ぶ金欲しさ”で持ち出し 現場は20年以上放置…「窃盗罪」は成立するか?【弁護士解説】
昨年11月、沖縄の中高生ら16名が空き家で1億円を超える現金を発見して複数回にわたって持ち出した疑いのある事件で書類送検された。12月25日には、「邸宅侵入」と「窃盗」の非行内容で、那覇地検が中高生らを那覇家裁に送致している。
報道によると、空き家には少なくとも20年以上は居住者がいない。中高生らは肝試しで空き家に入ったところ現金を見つけ、遊興費を持ち出すために出入りしていたという。
「20年以上放置」の空き家でも住居侵入や窃盗罪が成立?
住居侵入罪・建造物侵入罪を規定する刑法130条は以下の通り。
正当な理由がないのに、人の住居もしくは人の看守する邸宅、建造物もしくは艦船に侵入し、または要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金に処する
この条文における「人の住居」とは、一戸建ての家やマンション・アパートなど「日常生活に使用するために人が居る場所」や「人が現在存在している空間」を指す。
そして、刑法に詳しい杉山大介弁護士によると、20年以上人が住んでいない空き家は「人の住居」には該当しなくとも、「邸宅」や「建造物」に該当するため、今回のケースでも建造物侵入罪が成立する。
「『住居』と異なり『邸宅』は、あくまで人が住むための建物であれば該当してきます。警察が『住居侵入』ではなく『邸宅侵入』と言っているのも、人が住んでない空き家だったからですが、どのみち、刑法130条が適用されます」(杉山弁護士)
一方で、約20年近く放置されてきた1億円を持ち出す行為については、ただちに「窃盗罪」(刑法235条)に該当するとは限らないという。
「刑法における『窃盗』とは、他人の支配下にあるものを、その人の意思に反した形で自分の支配下に置く行為を指します。一方で、他人の支配下を離れたものを、不正に取得して自分の支配下に置く行為は『占有離脱物横領』(刑法254条)になります」(杉山弁護士)
窃盗罪の法定刑は10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。一方で占有離脱物横領罪の法定刑は1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金だ。
「廃墟にずっと放置されていたお金が、他人の支配下にあったといえるかが問題になります。
ただし、1億円が廃墟内の金庫や家具に入っていた場合には、道端に落ちていたものと同じように占有離脱物横領に該当するかというと、それはそれで疑問が生じる点だと思います。
人が出入りしていない空き家であっても、建物としての構造は存在しており、その中の特定のスペースに保管されているものを見つけた場合には、『この建物の持ち主のものだ』と(見つけた中高生らが)評価・認識することが可能なように思います。
つまり、窃盗罪が成立する余地がありますが、法的に論点となる部分も含むケースといえます」(杉山弁護士)
なお今回のケースでは中高生らは家裁に送致されているので、ただちに刑事裁判所によって拘禁刑・罰金などの「刑罰」が課されるわけではない。
ただし、家庭裁判所の審判において「刑事処分が相当である」と判断されて、家庭裁判所から検察官に「逆送」される可能性もある。
行為自体は邸宅侵入や窃盗(または占有離脱物横領)などの犯罪に当たるが、当人たちが「人の住んでいない家で、たまたま見つけたお金だ」と認識していた場合には、そもそも犯罪としての自覚もなく、「非行が強く進んでいる」とまでは評価できないかもしれない。
「ただし、1億円という被害額は、簡単に済ませられない金額であることも確かです。また、高校生だけでなく中学生もいるなかで全員を同じように扱うべきかなど、複数の考慮要素が入り混じるケースといえます。
今後、まずは、家庭裁判所にて調査と審判が慎重に行われることになるでしょう」(杉山弁護士)
取材協力弁護士
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