医療団体が高市首相らに「英断求める」要望書 政府による“32万円支援案”、7割が対象外の恐れ…「制限なし」の大幅支援求める
全国の医師・歯科医師約10万6000人で構成される全国保険医団体連合会(保団連)は12月12日、高市早苗首相、片山さつき財務相、上野賢一郎厚労相宛に医療機関への十分な財政措置を求める要望書を提出した。
焦点となったのは、政府が2025年度補正予算案で示した「賃上げ・物価上昇に対する支援」だ。
政府は32万円の支援を示すも…
政府が示した支援額は、無床診療所で32万円(物価高騰対応分17万円、賃上げ対応分15万円)。医療機関の窮状に対応する姿勢を示すものの、保団連はこれを「不十分だと言わざるを得ない」と断定している。
加えて、保団連が問題視しているのはその支給条件だ。
賃上げ対応分について、政府は「ベースアップ評価料」を届け出ている医療機関のみを対象とする方向で調整していると報じられている。
届出の簡素化などの措置も講じられているが、上述した制限が多くの医療機関を支援の対象外とする可能性を保団連は指摘している。
保団連によると、現在「ベースアップ評価料」を算定できている診療所は、全医療機関のわずか約3割に過ぎず、残りの7割の医療機関は、この支援枠から除外される恐れがあるという。
医療機関、9割が「報酬改定だけでは赤字補填できず」
医療現場の経営悪化は、限界を超えている。保団連が今年2月に実施した調査では、光熱費や材料費の高騰、人件費の増加分を、診療報酬改定だけでは「補填できていない」と答えた医療機関は9割を超えた。
それにもかかわらず、約8割の医療機関が経営が厳しい中でも、持ち出しで賃上げを実施しているという。
制限なしでの大幅支援求める
保団連は今回の要望書で、政府に対し以下の2点を強く求めている。
- すべての医療機関について、支援額を大幅に引き上げること。
- ベースアップ評価料の届出や算定といった条件によって対象を限定せず、すべての医療機関を対象とすること。
これらの要望は、限定的な支援によって医療機関間の格差が生まれることへの懸念に基づいている。条件付きの支援では、届出手続きを行った医療機関とそうでない医療機関の間に不均衡が生じ、地域医療の担い手である診療所全体の経営基盤を安定させるうえで課題が残るという立場を反映したものだ。
「医療機関経営と地域医療を守るため、地域を支える医療機関の役割を評価いただき、ベースアップ評価料の届出をしている医療機関に限らず、すべての医療機関の賃上げへの後押しを行う英断が求められます」(保団連)
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