「マイナ保険証はトラブルが多すぎる」“紙の保険証”復活求め200万筆以上の署名提出 「発行再開こそ唯一の解決策」と訴え
すべての従来の健康保険証が有効期限切れとなった12月2日、都内で集会が開かれ、参加者から「保険証を元に戻せ」の声が何度も響いた。
集会には会場とオンラインあわせて多くの医療関係者や市民団体が参加し、206万4545筆にのぼる「保険証廃止反対・保険証復活」を求める署名が国会議員に手渡された。
「どこまで国民に冷たいのか」
厚労省は11月、今年12月2日以降も来年3月末までは、期限切れとなった従来の健康保険証や「資格情報のお知らせ」を持参すれば、医療機関によるオンライン資格確認を通じて、窓口で10割負担を求められず、通常の自己負担で受診できるとする事務連絡を全国の医療関係団体に送った。
ところが、この肝心の情報について政府は「国民には周知しない」方針だという。
この政府の方針に対し、全国労働組合総連合(全労連)の石川敏明副議長は「保険証を使うのは国民であり、保険証が無いと困るのも国民です。それにもかかわらず、使えるようにしたことを、当事者には伝えないのは、どこまで国民に冷たいのか」と憤りを隠さない。
また、マイナ保険証をめぐるこうした暫定措置は、すでに4度目だ。
75歳以上への資格確認書一斉交付、国保・後期高齢者での期限切れ保険証の容認など、方針はこの1年で何度も変更された。
東京土建一般労働組合(東京土建)の石川信一副執行委員長は「朝令暮改を繰り返すたびに、周知やシステム対応に税金が投じられている」と指摘し、「保険証の発行再開こそ唯一の解決策だ」と訴えた。
7割の医療機関でトラブル発生
全国保険医団体連合会(保団連)の名嘉圭太事務局長が報告した最新のアンケート結果(9741医療機関回答)によれば、直近でも約7割以上の医療機関でカードリーダーの接続不良や認証エラーなどの「トラブルがあった」と回答している。
さらに、そうしたトラブルが発生した際、約8割の医療機関は「患者が持ち合わせていた従来の健康保険証で確認した」という。
厚労省が実施した調査ですら、6割の病院・診療所が「(マイナ保険証の)導入・運用に費用負担がかかる」と回答しており、名嘉事務局長は「物価高騰で赤字にあえぐ医療機関にとって、マイナ保険証システムが負担となっている」と述べた。
「不便かつトラブル多い」
なぜここまで利用率が伸びないのか。石川副議長は「マイナ保険証は不便で、トラブルが多すぎる」と指摘する。
従来の保険証なら「窓口で提示するだけ」で済んでいたものが、マイナ保険証では顔認証や暗証番号入力、システム上の紐づけ確認が必要になる。
実際、保団連の調査では、「名前の漢字が黒丸表示になる」「カードリーダーの接続不良」「資格情報の誤り」など、基礎的なところでの不具合が数多く報告されている。
石川氏は、今後さらに深刻になる可能性のある問題として、電子証明書やカード自体の有効期限切れを挙げた。
2025年途中までに、電子証明書の5年期限切れカードが約1580万枚、カード自体の10年期限切れとあわせると約2780万枚が更新を迎えるとされる。
障害者や高齢者への配慮欠如
またこの日集会に参加した障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会の家平悟事務局長は「後期高齢者医療では資格確認書が全員に配布されたが、同じように困難を抱える障害者には何の配慮もされていない」と訴えた。
知的障害や発達障害のある人の中には、マイナンバーカードの取得や更新の手続きが困難な場合も多い。家平氏は「こうした人たちが10割負担の対象になってしまう恐れがある」と懸念を示す。
日本高齢期運動連絡会の吉岡尚志氏は「マイナ保険証をめぐって9つもの書類やカードが飛び交い、高齢者の不安を募らせている。IT先進国では行政が手続きをサポートし、若者がボランティアで高齢者を支援しているのに、日本はほったらかし。むしろ詐欺集団の餌食になる危険性が高まっている」と批判した。
デジタル庁前での抗議行動も実施
集会の終盤、民医連の山本淑子事務局次長は「マイナ保険証は、任意で取得するマイナンバーカードと保険証を一体化することで、国が責任を持って交付すべき健康保険証を自己責任に転嫁した」として、次のように訴え、呼び掛けた。
「これは(国民に健康で文化的な最低限の生活を営む権利を保障し、国にすべての生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努める義務を課した)憲法25条に反する重大な人権問題だ。引き続き、患者や利用者、地域の圧倒的な国民の声を集め、何としても健康保険証を取り戻そう」
集会主催者によると、署名の紹介議員は150人を超え、自治体意見書も約250自治体に上るという。
集会後、参加者らは都内のデジタル庁前に移動。「保険証を元に戻せ」「健康保険証を復活しろ」とシュプレヒコールを上げた。
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