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「初婚年齢が低い人」ほど浮気しやすい? 統計から読み解く“不倫予備軍”の共通点

「初婚年齢が低い人」ほど浮気しやすい? 統計から読み解く“不倫予備軍”の共通点
不倫をしやすい人には“ある一定”の傾向がみられる?(やまたつ / PIXTA)

テニスの錦織圭選手が、モデル女性との2年半にわたる不倫を週刊文春に報じられ、謝罪文を発表。女優の永野芽郁さんと俳優の田中圭さんによる不倫疑惑では、両者は「友人関係」と否定したが、週刊誌がLINEトークの一部を掲載し、疑惑はくすぶり続けている。

あくまで個人間の色恋沙汰、個人のモラルの問題とされる「不倫」が、なぜこれほどまでに注目を浴びるのか。本連載では、不倫を単なる個人の問題としてではなく、「社会の問題」として考える。

第3回では、不倫をしやすい人はどんな人か? 性格傾向、性的経験などリスク因子を統計から読み解く。(連載第1回はこちら/全5回)

※この記事は坂爪真吾氏による書籍『はじめての不倫学 「社会問題」として考える』(光文社)より一部抜粋・構成。

不倫をしやすい人の傾向

不倫は成育環境・年齢・性別・学歴・職業を問わず誰にでも起こり得ることだが、不倫をしない人に比べて、不倫をしやすい人にはある一定の傾向がみられることは確かだ。

通俗心理学の世界では、男性の場合は好奇心が強く、芸術性や創造性を高く持ち、柔軟で型にはまらない思考をする知的な性格の傾向が強いほど不倫をする確率が高いとされている。

アーティストや俳優、会社役員や経営者に不倫経験者が多いのは、こうした性格的側面が作用しているからだ、と捉えることもできる。

一方、女性の場合は、努力する意志や几帳面さに欠け、計画的に物事を進めることができない、誠実性が低い人ほど不倫をする可能性が高いとされている。男女共に、自己愛の強いナルシストの人ほど不倫の可能性が高まる、とする見方もある。

こうした通俗心理学に基づく性格診断の真偽のほどは定かではないが、「男性の不倫は創造性の発揮によって生じ、女性の不倫は誠実性の欠如によって生じる」というのは、いかにも性差別的な発想であることは間違いない。

男性の性的乱脈は「絶倫」、女性のそれは「淫乱」と形容される背景にも、こうした差別感情が潜んでいる。

不倫の男女差――性欲ベースと関係性ベース

一般に男性の不倫は、「相手ありき」というよりも「まず性欲ありき」で、何らかの誘惑やきっかけがあり、タイミングが合えば、簡単に不倫に踏み出しやすい。

「良き夫」「良き父」「良き婿」といった役割の歯車に組み込まれて窒息しそうな男性が、ガス抜きのための婚外セックスに走る場合、一時的にせよ、父でも夫でもない「一人の男」になって役割から解放されることで、むしろ家庭生活が以前より安定する場合もある。

性欲が満たされれば精神的にも落ち着くので、不倫をやめる場合にも比較的容易に足を洗える。

一方、女性の不倫は、「まず性欲ありき」ではなく「相手ありき」で、自分の性欲ではなく、相手との関係性によって、不倫に対するモチベーションが変化する傾向がある。

「セックスとは無縁」「不倫には全く興味がない」という女性でも、あくまで「現在のパートナーとは」「現在の環境では」という条件付きの話にすぎず、見合った相手が現れれば、これまでの恋愛や性体験の多寡にかかわらず、激しい不倫に乗り出してしまうリスクがある。

結婚前の性的経験と不倫

結婚前に性的経験が多い人ほど、結婚後に不倫をしやすくなる、という説については、それを裏付けするいくつかの統計データがある。

1996年にアメリカで発表された、20歳から39歳の女性を対象に行われた調査では、結婚前に性体験のなかった女性と比較して、1人から3人の性的経験のあった女性では4倍、4人以上の性的経験のある女性では8.5倍、浮気をする危険性が高まると報告されている。

2007年に同じくアメリカで発表された既婚女性を対象にした大規模調査では、同棲経験のある人は、同棲経験のない人に比べて浮気の危険性が5倍高まると報告されている。

同様に、過去に離婚経験のある人、初婚年齢の低い人ほど浮気をする確率が高い、というデータもある。初婚年齢が16歳の人は、初婚年齢が23歳の人に比べて、浮気をする確率が4倍以上になるそうだ。

また、性的虐待を受けた経験のある人は浮気率が高い、という調査報告もある。性的虐待の被害者は、虐待が自分とは関係ない出来事だと思い込むこと=「解離」によって、虐待による精神的苦痛から逃れようとすることがある。長期的に解離を繰り返すと、自傷や自殺、不特定多数の相手との性交渉など、リスクの高い行動を選択しやすくなってしまうことが知られている。

エイズに関する研究では、浮気をする人は、コンドームなどの避妊具を使用しない傾向があることが指摘されている。ある大規模調査では、浮気経験者の88~92%が、パートナーや浮気相手に対してコンドームを使用していなかったことが報告されている。避妊の不徹底に加えて、アルコールや薬物の乱用が見られることも指摘されている。

こうやってデータを見ていくと、不倫をする人・しやすい人は、不幸な生い立ちを持つ、性的にも社会的にも不道徳な「特殊な人」たちであり、「善良な市民」である私たちには関係のない問題だ、というイメージが強化されてしまいそうだが、これは不倫が社会的・法律的・宗教的に「悪」とされていることの反映にすぎない。

調査者は、自分が見たいようにしか調査対象を見ない。

婚前交渉という言葉自体が死語になりつつあり、性的虐待が社会問題として公の場で語られ、結婚するカップルの4組に1組が「できちゃった結婚」になり、同棲や離婚が日常的になっている現在、不倫を「特殊な人の特殊な問題」として切り離すことはできない。

(第4回に続く)

  • この記事は、書籍発刊時点の情報や法律に基づいて執筆しております。
書籍画像

はじめての不倫学 「社会問題」として考える(光文社新書)

坂爪 真吾
光文社

既婚者が、「不倫」の誘惑に抵抗するためにはどうすればいいか?
子どもや若者世代の貧困、ひとり親家庭や生活保護、高齢者の孤独死など社会問題の背景には、「不倫」がもたらす家庭破綻、それに伴う経済状況や健康状態の悪化が潜んでいる。にもかかわらず、「不倫」は個人の色恋沙汰、モラルの問題として捉えられてしまっているのが現状だ。
本書では、既存の「結婚」に囚われない多様なあり方を実践している男女への取材をまじえながら、「不倫」を「個人の問題」として捉える視点から脱し、「社会の問題」として捉えな おすことによって「不倫」の予防と回避のための処方箋を提供する。本邦初の実践的不倫学!