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「料金について確認したい人は『1』を」自動音声ガイダンスに従ったら… “電話犯罪”対策も突破する詐欺犯の驚がく手口

「料金について確認したい人は『1』を」自動音声ガイダンスに従ったら… “電話犯罪”対策も突破する詐欺犯の驚がく手口
ワンクッション入る留守電は「安心」のすきを詐欺師は突いてくる(NmgDr / PIXTA)

「料金未納があります」と留守電にメッセージが残されていたら、多くの人が不安になるだろう。たとえ心当たりはなくても、万一を考え、確認のため「かけてみようか」と考えてしまう…。

「このような自動システムを使う会社は、それなりにしっかりした企業であると思ってしまう人も多いと思います」。そう警告するのは詐欺事件に詳しいルポライターの多田文明氏だ。電話ひとつをとっても、いくつもの手口がある詐欺師の狡猾さを同氏が解説する。

※ この記事は悪質商法コラムニスト・多田文明氏の書籍『最新の手口から紐解く 詐欺師の「罠」の見抜き方 悪党に騙されない40の心得』(CLAP)より一部抜粋・再構成しています。

留守電の内容を確認して折り返せば安心だが

電話での詐欺対策として、「ナンバーディスプレイ」は騙す側が都合よく利用することなどもあり、有効な対策とはいいづらい。では、留守番電話設定にしておけば、詐欺は防げるのだろうか?

対策としてよくいわれるのは、常に留守番電話設定にしておき、「もし電話がかかってくれば、留守番電話の録音メッセージを確認し、知人や息子の声だと分かってから受話器を取る」というものだ。

また、通話料金はかかるものの、留守電を聞いて、番号と相手の声を確認してから、折り返し電話をかけるという対策もある。

詐欺犯は、犯罪の証拠になるような声を、わざわざメッセージに残すようなことはしないので、基本的にかけた先が留守電だと電話を切ってしまう。

ゆえに、詐欺に遭わずに済むというわけだ。

留守電による詐欺対策を突破する新たな手口

ところが最近は、その事情も変わってきている。これを突破してくる手口が現れてきたからだ。

家の固定電話に「プルルル~」と電話がある。誰からだろうか。電話機を見ながら、耳を澄ます。

「現在、電話に出られません。御用のある方は、ピーという発信音の後に、ご用件をお願いします」という留守電のアナウンスが流れる。

その声にかぶさるように、「こちらは、A社です。あなたには、料金の未払いが発生しています」という女性の声でガイダンスが流れる。

「料金の未納? 何か支払いを忘れていたものがあっただろうか?」。そう思って、受話器を取ってしまう。

もはや、留守番電話の設定だけでは、身を守れない状況なのだ。

音声ガイダンスは流れ続ける。

「料金について確認したい人は『1』を、身に覚えのない人は『2』のダイヤルボタンを押してください。オペレーターと話したい場合は、『9』を押してください」

私たちも何かのサービスを利用して、困ったことがあれば、サービスセンターに問い合わせをする。

その時に流される自動ガイダンスと同じ形式なのである。

このような自動システムを使う会社は、それなりにしっかりした企業であると思ってしまう人も多いので、相手の声の通りに番号を押してしまいがちである。

声の指示に従いながら、「1」か「2」あるいは「9」を押す。すると、オペレーターに電話が繋がり、「本人確認」と称して、住所、氏名などの個人情報を聞かれてしまう。

無論、このオペレーターは詐欺師である。

個人情報を入手し、相手を精神的に逃げられない状況に追い込んだうえで「料金の未納があります」と言い、金の要求をしてくる。

大手事業者になりすますことも

時に、NTTなどの大手事業者になりすますこともある。

「あなたは、電話料金を払いすぎています。料金を返還するので、番号を押してください」

ガイダンスが流れ、その指示に従って電話のボタンを押すと、やはりオペレーターになりきった詐欺師につながる。

最終的には、電話料金を返還する手続きのためという口実で、ATMに呼び出されて「お金を振り込みます」と言いながら、逆にお金を振り込ませる還付金詐欺や、「返金の手続きにはキャッシュカードの更新が必要です」と言われて、カードを搾取されるような被害に遭ってしまう。

もちろん、これが携帯電話にかかってくることもある。となると、もはやターゲットは、高齢者だけにとどまらない。

携帯電話を見ると、着信がある。

「誰からの電話だろうか?」

そう思った利用者が、その番号にリダイヤルでかけ直すと「あなたは有料のコンテンツの料金を滞納しています」というガイダンスが流れ、「支払わなければ訴訟を起こします」「強制執行の準備に入ります」という脅し文句が続く。

そして、不安になった人は、ダイヤル番号を押して、「これは何の請求でしょうか?」と電話に出たオペレーターに聞いてしまう。

結果、詐欺師であるオペレーターから金を支払うように要求される。

その昔、着信履歴だけを残すワン切りというものがあったが、これはまさに、その進化系ともいえるだろう。こうした自動音声電話は、一般のビジネスでも、未払い料金の督促通知やアンケートの回答などに使用されている。

あらかじめ、コンピューターに電話番号のリストを入力しておけば、次々に多くの人へ電話をかけられるという利点がある。

それに、もし人の声で電話がかかってきたら「何かの営業だろうか」と警戒してしまうが、相手が機械的な声なので、つい警戒感なく次の言葉を聞いてしまう点も大きい。

非常に効率が良い手立てのため、詐欺犯らも利用してきているのだ。

これまでの詐欺や悪質商法にひっかかってしまう契機に、ダイレクトメールがあった。郵便物の封を開けると、何やらお得な情報が載っている。それゆえに、業者へ連絡をとってしまう。

その後、これがインターネットの迷惑メールという形にシフトしていった。ネットでは送信は無料なので、いくらでもメールを送り付けられるからだ。

実際に、迷惑メールが携帯電話やパソコンなどに勝手に送られてきて、困った経験を持っている人も多いに違いない。

だが、今はその手口は知れ渡り、他に考えたのが、自動発信の音声電話なのである。

メールを送る際に、業者はメールアドレスをリスト化して、コンピューターソフトを使って、一斉に送ってきたのだが、そのシステムはそのままに、形を変えて、自動音声電話をかけてきている。

常に対策の上積みを

もはや留守番電話の設定をするだけでは、詐欺は防ぎようがない状況になりつつある。

そこで、警察や自治体と、電話会社などが連携してさまざまな詐欺対策の電話機や装置の開発がなされている。

たとえば、詐欺電話を撃退するために、警察の方で把握している詐欺に使われた電話番号を蓄積しておき、もしこれらの番号から電話がかかってきたら、赤のランプで危険を知らせて、「迷惑電話の恐れがあります」と、家人に電話を取らないようにガイダンスを流す。

また、通話先の相手に「この電話は、振り込め詐欺対策として録音されています」という警告メッセージを流して、自動録音するものもある。

私も以前から、こうした電話を推奨している。

というのも、玄関には鍵をかけて、家の侵入を防ぐが、電話には、このような防御の手段がなかったからだ。

これらの電話機を設置することは、ある意味、電話に鍵をかけることにつながる。

それに、こうした電話の最大の効用は、詐欺師の側に、「録音されたらやっかいだな」「いつ電話をしても通じないな」と、詐欺師に電話をかけるのをあきらめさせてしまう狙いもある。

こうした電話の存在は、詐欺師の知恵を回すのを止めさせる効果があるのだ。

ただし、注意しなければならないのは、この防犯電話をつけたから、絶対に詐欺が防げるということではない。

警察に、まだ詐欺との通報のない電話番号でかかってくれば、容易に詐欺対策の電話も突破されてしまう可能性もある。

まさに、これは家でも鍵をかけていても、ピッキングで解錠されて侵入されるようなものであろう。

そもそも鍵をかけることの重要性は、空き巣に侵入されるリスクを下げるということだ。

詐欺においても、リスクを下げるという考え方が大事になる。

詐欺師は、私たちの思いの裏をかいて、さまざまな手を打ってくる。それゆえ、100%詐欺被害を防げる方法は存在しない。

そこで、そのリスクをいかに下げるかを考える必要があるのだ。

実際に、自動音声の手口が周知されて警戒され始めると、詐欺師らは、電話番号だけで送れるショートメッセージを使い、架空請求の手口を行ってきている。

というのも、今は、固定電話だけでなく、携帯電話やスマートフォンを持つ世代が広がってきているからである。進化していく詐欺の手口の対策には「これで大丈夫、絶対に安心」というものはない。

常に対策の上積みをし続けて行くことが大事なのだ。

  • この記事は、書籍発刊時点の情報や法律に基づいて執筆しております。
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最新の手口から紐解く 詐欺師の「罠」の見抜き方 悪党に騙されない40の心得 (スマートブックス)

多田文明 (著)
CLAP

詐欺集団の人を欺く新戦略とは?
メディアに引っ張りだこの専門家が、騙しの手口を徹底解説。
なぜ、詐欺師らは雨後の筍のように、現れるのか? 端的にいえば、それは、騙される人が、後をたたないからである。 甘い蜜のもとに、多くの蜂が群がるように、簡単に金を取れるという状況がそこにあるゆえに、大挙して、悪い連中が押し寄せるのだ。 騙されないためには「この先、どうなるかを考える力、発想」をいかに持てるかにかかっている。 そのためには最新手口を知り、詐欺師や勧誘者の言動を客観的に見つめることが大事になるのだ。

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