「すき家」休業中店内では清掃が…“ネズミ混入みそ汁”提供で約2000店舗一時閉鎖 「徹底対策」で顧客は戻ってくるか
ねずみ混入が発覚した牛丼チェーン大手の「すき家」が異物混入対策のため一部店舗を除く全店を一時閉鎖(3月31日~4月4日)し、対策に取り組んでいる。店内清掃や害虫等の駆除施工、スタッフへのマニュアル再周知などを行うとみられる。営業再開は5日を予定する。
判明したねずみ侵入経路
同社は異物が混入した原因として「当該店舗の大型冷蔵庫の扉が店外に面しており、その下部に設置されたゴム製パッキンに生じていたひび割れから侵入した可能性が高い」と説明。そのうえで「みそ汁の具材を入れたおわんを大型冷蔵庫で一時保管していた間に混入した可能性が高い」と公表した。
事案の発生は1月21日だったが、公表は3月22日。2か月もの空白があった。
これに対して、同社は顧客の指摘があった当日に謝罪し、店舗一時クローズによる原因調査および清掃、保健所へ報告する対応をしたと説明。併せて全店に商品提供時の目視確認の徹底を指示する緊急連絡を実施したとし、HPでの公表は「特殊事例であることを勘案し」見合わせたと釈明した。
異物混入の三大要因
食品事業者にとって、異物混入は重大なインシデントだ。東京都保健医療局のデータベースによると、2022年度に保健所に寄せられた食品に関する苦情件数は4071件。要因別の異物混入事例では全565事例のうち、虫が最も多く32.7%、次いで動物性異物16.3%、合成樹脂類12.4%、鉱物性異物11.5%と続いている。
虫のうち、ゴキブリが73件で最多、次いでその他の虫42件、ハエ35件となっている。動物性異物は毛髪等の人毛67件、その他20件、獣毛3件、人の歯2件など。これらからもわかるように、食品製造や提供の現場における異物混入の3大要因は「虫、金属片、毛髪」といわれ、苦情につながる要注意異物とされる。
“大きすぎる異物”にネット上でも物議
都内のそば屋で7年前にゴキブリ混入被害に遭遇したというA氏は、その時の様子を次のように振り返る。
「ざるそばを注文して食べ終わったころです。ざるのすき間から毛髪のようなものが見え、よく見るとそれが動いているんです。ゴキブリでした。すでにほぼ食べ終えた後でしたので、黙ってお勘定しましたが、人によっては猛クレームしていたでしょう。ただ、私はその後、一度たりともその店には足を運んでいませんけどね」
A氏の事例ではおそらく、盛り付け前の容器にざるを敷いており、いつの間にかその下にゴキブリが侵入。店員がその存在に気づくことなくそばを盛り、そのまま提供してしまったのだろう。
今回のすき家のケースでは、小さなネズミが丸ごと1匹おわんに混入していた。汁に浸っていたとはいえ、さすがに店員も調理時および提供時に気づけそうなだけに、ネット上でも物議をかもした。コメントの多くは、「なぜあれだけのものがおわんに入っていて気付けなかったのか…」というものだった。
生物混入騒動に見舞われた2メーカーの対応とその後
食品へのネズミ混入といえば、昨年5月に大手パンメーカー工場で発生した事案が思い出される。同事案では約60㎜のクマネズミの子どもが製造工程で食パンに混入したことが消費者からの指摘で判明した。
同社はその後すぐに10万個以上を自主回収。2週間ほどで調査結果、原因、対策を詳細に公表。安全性を周知した。結果、風評被害の拡大を瀬戸際で食い止め、受難を乗り越えている。
ゴキブリの混入は、2014年に人気のカップ焼きそばで発生した。同事案では、わずか10日で混入リスクの低い製品も含む4万6000個の自主回収を決定。一週間後には全工場の停止と販売休止を発表し、スーパーから当該商品が消える事態となった。
SNSの浸透で誰もが情報拡散できる環境は、食品を扱う事業者にとってプラス要素もあるが、脅威でもある。トラブル発生時の隠ぺいなどもってのほかで、スピーディーで誠実な対応こそが不可欠だ。安全性の追求はどこまでいってもやり過ぎはない。
全ての食品事業者が対象「食品衛生法」の厳格さ
食品事業者はそもそも、その衛生管理について法律で厳格に規定されている。
2020年6月に改正された食品衛生法では、個人レベルの食品メーカーでも届け出が必要となり、HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理も義務付けられた。
ハサップは健康被害を起こす要因を予測し、全工程において事前に排除・低減させる管理手法。その対象はレストランチェーンから個人経営の飲食店も含むすべての食品事業者だ。もしも異物混入などが判明すれば即座に公表し、調査から対策まで迅速に行うことが求められる。それが被害を最小限に食い止めることにつながるからだ。
店舗を閉鎖して「きれいで安全なお店」へ
先月末から全国約1970店舗を一時閉店し、信頼回復へ努めるすき家。2日、都内の店舗を訪れると休業中ながら、店内では照明がたかれ、業者と思われる作業員による清掃が行われていた。その入り口ドアには店長名義で次のメッセージが記載されていた。
「お客様へ
このたび、すき家の一部店舗にて商品への異物混入が発生し、お客様には多大なるご迷惑とご不快な思いをおかけしましたことを、心よりお詫び申し上げます。
すき家はこの事態を重く受け止め、全国の一部店舗を除く全店で3月31日(月)午前9時~4月4日(金)午前9時まで休業させていただき、その間に徹底的な清掃を行い、きれいで安全なお店を整えます。
再び安心してご来店いただける日まで、従業員一同、精一杯努めてまいります。
心からの反省をお伝えするとともに、今後も変わらぬ ご愛顧をお願い申し上げます」
- この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいて執筆しております。
関連記事
日常生活の新着記事
日常生活の新着記事一覧へ
「経口補水液」スポドリと何が違う? 熱中症警戒アラート運用開始…「正しい飲み方」を医師が解説
自転車も“二段階右折”しないと違反に 「これくらい大丈夫」は通用しない…実は「青切符」の対象になる“無意識...
ラップ・おむつ・生理用品にも影響…“ナフサ不足”で懸念される「買い占め」と「転売」 法律で規制できるか?【...
「キレていいよね」“私有地の迷惑駐車”警察は介入できず、“強行手段”は損害賠償のリスクも…「泣き寝入り」し...
「2年はお米を買っていない」物価高騰で生活困窮者に追い打ち…弁護士ら全国一斉相談会実施【4月18日】