ジムニーノマド発表「5日で5万台、4年待ち」注文殺到で一時受注停止…プレ値必至も“転売ヤー”の標的にならない明確な理由

山本 晋也

山本 晋也

ジムニーノマド発表「5日で5万台、4年待ち」注文殺到で一時受注停止…プレ値必至も“転売ヤー”の標的にならない明確な理由
発表から5日間で5万台もの注文が殺到したジムニーノマド(撮影:山本晋也)

2025年1月30日、スズキから待望のジムニーノマドが正式発表された。ジムニーといえば1970年に誕生した、日本を代表する本格クロカン4WDの象徴的モデル。ノマドというのは5ドアボディーであることを示すヘリテージのあるサブネームで、55年の歴史において日本仕様としては初めて誕生した5ドアボディーのジムニーとなる。

ジムニーノマドの価格は5速MTで265万1000円、4速ATで275万円。

同じ1.5Lエンジンを積む3ドアボディーのジムニーシエラが最上級グレードでも208万4500円(5速MT)~218万3500円(4速AT)という価格設定になっていると比較すると割高感もあり、待望の5ドアモデルといえども、それほど勢いよく売れないのでは? という見方もあったようだが、さにあらず。

なんと発表から5日間で5万台もの注文があり、スズキが公式に受注の一時停止を発表するほどの事態となっている。

じつはジムニーノマドはインドで作られるグローバルモデル、日本での月間販売目標は1200台となっている。この数字は輸入にかかわるロジスティクスなども考慮したものなのでそうそう増やすことは難しい。つまり、単純計算するとジムニーノマドは、たった5日間で4年待ちの状態になるほどのオーダーを集めてしまったことになる。

注文殺到に転売ヤーの影はある?

受注停止ということは希少価値が上がるわけで、もしジムニーノマドが中古車市場に出てきたら新車以上のプレミアム価格(プレ値)を付けることは確実だ。そこで気になるのは、転売目的でジムニーノマドをオーダーした人がどれほどいるのかということだ。

ジムニーノマドが4年ぶん相当の注文を集めたというニュースを見ると、さぞかし転売ヤーがオーダーしているのだろうと思うかもしれない。ただし、転売目的でオーダーした人は、少なくとも初期に注文したユーザーにはおそらく存在しないと想像できる。

前述した3ドアボディーのジムニーシエラも注文から納車まで1年待ちの状況が続いており、納車待ちの顧客リストが積み重なっていた。そこで3ドアのジムニーシエラや軽自動車のジムニーといったモデルを待っている顧客へ状況を説明、優先的に5ドアのジムニーノマドへ注文を切り替える措置を取ったという。

もちろんウェイティングリストの中に、転売ヤーがいないとはいわないが、その多くは熱心なジムニーファンであり、そうした人がようやく納車されるジムニーノマドを簡単に転売するとは思えない。

また、いわゆるプレ値が付くとしてもジムニーノマドの車両価格は280万円以下である。途中にかかる様々な経費を考えると、転売ヤーの手元に高額な利益が残るとも考えづらい。

そもそも転売ヤーにうまみはあるのか

中古車の場合は、新車で購入してほとんど乗らずに転売する場合に【登録済未使用車】という業界用語を使っている。たとえば3ドアのジムニーシエラ最上級グレードの登録済未使用車の相場は280万円程度だ。新車価格が220万円なのだから最終的な販売価格は3割増しといったところ。もし中古車業者ではない転売ヤーが間に入っていたとしても手残りはせいぜい20万~30万円だろう。

こうした相場からすると、最初から転売する目的で中古車業者が新車オーダーを入れるのであれば話は変わってくるが、いわゆる機を見るに敏な転売ヤーが手を出すには割が合わないといえる。なにしろ今からオーダーしても納車が何年先になるかわからず、そのときにプレ値で売れるという保証はないからだ。

それはともかく、中古車相場が上がっていくのはオーナーにとってはリセールバリューが高いことになる。すでにオーダーできたユーザーからすればプレ値が付くことは、どこかうれしいニュースともいえるかもしれない。

ちなみに、ジムニーノマドは正式発表しただけで、発売日は2025年4月3日とアナウンスされている。それまでに受注が再開するとは考えづらいが、ファンとしては一日も早く、通常モードでオーダーできる状況になることを望みたいところだろう。

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