晴海フラッグ「謎のキーボックス」 騒動から2か月 撤去進むも“正体不明”の不可思議…中央区の対応は

弁護士JP編集部

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晴海フラッグ「謎のキーボックス」 騒動から2か月 撤去進むも“正体不明”の不可思議…中央区の対応は
晴海フラッグのマンション群。不動産投資を目的に購入する人も多いという(8月中旬撮影/弁護士JP編集部)

東京オリンピックの選手村だった晴海フラッグ周辺で、6月頃、ガードレールや電柱などに無許可で設置されたキーボックスが数多く点在していると話題となった。

誰がどのような目的で設置したものか分からないことから、近隣住民からは不安の声が続出。地元・中央区議会でも取り上げられたという。

あれから約2か月。キーボックスの“その後”を探るべく、現地へ向かった。

「晴海フラッグ」からは姿を消していたが…

キーボックスの設置場所については、中央区議の高橋元気氏が「使途不明キーボックス報告MAP」を作成・公開し、住民らに情報提供を求めている。

事前にこのマップで晴海フラッグ(環二通りより海側のエリア)に刺さっているピンを見ると、そのすべてが【撤去済】と記載されている。実際に足を運んでみると、たしかにいずれの場所にもキーボックスは設置されていなかった。

かつてキーボックスが設置されていたとされる電柱(8月中旬撮影/弁護士JP編集部)

マップ上は晴海フラッグに限らず、環二通りを挟んで反対側に広がるエリアにもキーボックスの存在を示すピンが点在している。そこで、このエリアも回ってみると、すでに撤去されていた場所もあったものの、複数のキーボックスが電柱やフェンスに取り付けられているのを発見した。

東京電力の関連会社による警告文が添えられていた(8月中旬撮影/弁護士JP編集部)
歩道に堂々と設置されたキーボックス(8月中旬撮影/弁護士JP編集部)
駐車場のフェンスに引っ掛けられていた(8月中旬撮影/弁護士JP編集部)

さらに運河を渡って隣の勝どきへ移動すると、ここでもいくつかのキーボックスが電柱などに取り付けられているのが確認された。

人の目線の高さに取り付けられたキーボックス(8月中旬撮影/弁護士JP編集部)

ある程度の撤去は進みつつ、いたちごっこ的に再び設置されている可能性も視野に、この日はマップに表示された場所だけでなく、移動中に通りがかったガードレールや電柱も注意深く見るようにしていた。しかしマップに示されていた数以上のキーボックスは見つからず、報道で耳目を集めたことが、とりあえずは“問題解決”の後押しになったのかもしれないと現場を後にした。

キーボックスの“正体”

“謎のキーボックス”には多くの住民が不安の声をあげたというが、自治体である中央区はどのような対応をとっているのだろうか。

まず、この問題については今年5月下旬頃、区議会議員からの問い合わせを受けて認識したという。その後、報道などによって世に広く知られることとなった。

区としては、誰が何のために設置したのか、何個くらい設置されているのかなど、キーボックスの詳細について調査を行っていないという。一部では、背景に「違法民泊業者」がいる可能性も指摘されているが、区の担当者は「あくまで推測である」とした上で「住宅販売の仲介業者やリフォーム会社が設置しているのではないか」との見解を示した。

“真相”は不明だが、不動産業者の業界団体である「全日本不動産協会東京都本部」も、7月上旬に公式サイトで「電柱等の管理者の許可無くキーボックスを設置することは、軽犯罪法等に違反する行為にあたる可能性がありますので、慎んでいただきますようお願い申し上げます」との注意喚起をしている。

今後の「対策」は?

編集部が8月中旬に現地調査をした限りでは、キーボックスの数は減っているように感じた。区で撤去などの対応をしているのか尋ねたところ、「キーボックスが設置されている各施設管理者に対応をお願いしている。また区道上に設置されたものについては警告札を貼り、一定期間経過後に撤去を行っている」という。

今回、晴海や勝どきで見つけたキーボックスの一部に電力会社による警告文が添えられていたのも、この対応の一環ということだろう。

なお設置数の増減については、「すべてを把握しているわけではないが、道路パトロールをしている限りでは、少なくなっていると思われる」とのことだった。

とはいえ、結局のところ誰が何のために設置したものかは明らかになっておらず、今後、世間の関心が薄れた頃に再び増える可能性も否定できない。条例の制定などによって、区として継続的・根本的な対策については「現段階では検討していない」そうだ。

真相解明には至らず、ある種の不気味さも感じる状況だが、いずれにせよ、住民の平穏な生活が守られることを願うばかりだ。

かつて東京オリンピックの選手村だったことをしのばせるモニュメント(8月中旬撮影/弁護士JP編集部)
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