東京都内「救急車」出動件数、7月8日に史上2番目の多さを記録 現場到着の遅れも発生する“深刻なひっ迫”状況

弁護士JP編集部

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東京都内「救急車」出動件数、7月8日に史上2番目の多さを記録 現場到着の遅れも発生する“深刻なひっ迫”状況
東京消防庁によると、昨年救急搬送された人の半数以上は軽傷であったという(※写真はイメージ sk119 / PIXTA)

ここ数年、全国的に救急車の出動件数が増え続け、救急現場のひっ迫が問題となっている。

首都・東京も例外ではなく、昨年は救急隊の出動件数が91万7472件(速報値、前年比4万5397件)と、2年連続で過去最多を更新した。

そんな中、東京消防庁は7月9日、X(旧Twitter)を更新。前日8日の1日あたりの救急出動件数が3372件(速報値)を記録し、統計開始以来2番目の多さとなったことを伝え、熱中症対策の徹底と救急車の適時・適切な利用を訴えた。

熱中症による搬送が多い日は、全出動件数も増加傾向

東京消防庁では、救急出動体制のひっ迫度合いを伝えるとともに、救急車の適時・適切な利用を強く訴えることを目的として、救急需要増大時に「救急車ひっ迫アラート」を発表している。

同アラートは上述した8日を含め、7月に入ってから7回発表されているという(7月16日時点)。

東京消防庁の担当者は、こうした救急出動の状況について次のようにコメントした。

「8日の熱中症による救急搬送人員は304人(速報値)で、現在のところ今年最多の人数です。

熱中症による救急搬送だけが、出動件数増加の要因ではないと考えていますが、気温及び暑さ指数(WBGT)が上昇し、熱中症による救急搬送が増える日は、全救急出動件数も増加傾向にあります。

統計開始以来、1日あたりの救急出動件数がもっとも多かったのは2018年7月23日の3382件ですが、この日は熱中症による救急搬送も過去最多の411人を記録しています」(東京消防庁・担当者)

救急車「現場到着時間」もどんどん遅れている

一方、こうした出動件数の増加は「救急車の現場到着時間」の遅れにもつながっている。平均現場到着時間の推移を見ていくと、2017年は7分19秒であったのに対し、出動件数が最多を記録した昨年は9分54分と2分35秒も延びている。

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その背景について、前出の担当者は以下のように説明する。

「救急車の利用が集中し、近くに救急車がいなくなると、遠くから救急車が駆け付けることになります。よって、現場に到着するまで時間がかかってしまうのです。」

昨年救急搬送された人のうち54.2%は軽傷であったといい、同庁は救急車の適時・適切な利用を呼びかけている。また、救急出動体制の維持のため「不要不急の電話は受付を断る」という措置もとっているとのことだ。

「熱中症対策」が救急現場のひっ迫解消につながる?

なお上述のように、熱中症による搬送が多い日は全出動件数も増加傾向にあり、東京消防庁では熱中症の発生状況とともに、対策についても広く呼びかけている。

同庁が公開しているデータによると、昨年6月1日から9月30日までの間に熱中症(疑い等を含む)で救急搬送された人は7112人で、前年から1099人増加。36.3%にあたる2580人が入院の必要がある中等症以上、そのうち200人は重症以上と診断されたという。

熱中症の発生場所としてもっとも多かったのは住宅等居住場所で2810人(うち高齢者1983人)。次いで道路・交通施設等が2186人(うち高齢者1157人)だった。

東京消防庁は熱中症のメカニズムについて「高温多湿な環境下に長くいると、体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節機能が低下します。すると体内に熱がこもってしまい、めまい、吐き気、頭痛などの様々な症状を引き起こします」と説明。

これを踏まえて、こまめな水分補給や、帽子や日傘の活用、屋内での冷房使用といった熱中症対策のポイントを公式サイトで紹介している。

まだまだ暑い夏は続くが、ひとりひとりが熱中症対策をすることも、救急現場のひっ迫解消につながるかもしれない。救急車を呼んだ方がよいか迷った場合は、電話相談窓口である 「#7119」へアドバイスを求めることも、ひとつの選択肢として覚えておくべきだろう。

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