「日本フリーランスリーグ」が漫画家ら対象の調査結果を発表 『セクシー田中さん』日テレ報告書へ苦言も
「全てのフリーランスを対象にした横断的な調査」が目標
今年4月1日に発足した「日本フリーランスリーグ」(以下FLJ)は、「これまでにはなかったフリーランスで働く人の状況を精緻に調査し、正しい実像を世間に届けていく」ことを目的に活動する一般社団法人。
従来の調査は、各業界・業種で自立している「上澄み」のフリーランスの声のみが反映されていたこと、また各業界・業種ごとのフリーランス団体による調査であったためにフリーランス全体の課題や状況が伝わらなかったことを受けて、全てのフリーランスを対象にして団体間の垣根を越えた横断的な調査を実現することを目指す。
今回の記者会見には名誉会長のやくみつる氏(漫画家)、理事長の西野ゆかり氏のほか、アドバイザーのSAORI氏(映画業界で働く女性を守る会代表)や呉学殊氏(労働政策研究・研修機構統括研究員)らが参加。
当面は、文化・芸術・芸能関係のフリーランスを主な対象にして活動していく予定。
韓国の政策を目標にする
「自分は40年以上、フリーランスの立場で漫画やイラストを描いてきた。これまで大きなトラブルがあったわけではないが、思い返すと、契約書がない事態など、現在では通用しないようなことがあった。これからの時代は、それでは済まされない。
フリーランスは、国力を伸ばすという国是の担い手になっている。それにもかかわらず、常に不安を抱えている状況で仕事をしている。韓国の法制度なども勉強しながら、当面の目標を果たしたい」(やくみつる氏)
西野氏は「フリーランスを大切にしていくことが、結局は業界の生産性を上げて、日本を強くすることにもつながる」と語り、「韓国では、文化芸術政策で芸術家の地位と権利が守られたことでコンテンツ産業の売上高が大幅に上がった」とも指摘。
呉氏は、韓国では公正取引委員会がフリーランス向けに業種ごとの標準契約書を作成していることや、芸術家福祉法や芸術家権利保障法など法制度が整備されていることを説明。FLJでも、韓国の政策を参考にして提言を行っていくという。
SAORI氏も「韓国の状況について映画業界の人間はみな興味を持っているが、具体的にどのような制度になっているのか知っている人は少ない」と指摘して、韓国の政策を参考にする意義を強調した。

漫画家・イラストレーター約570名を対象に調査
FLJの第一回目となる調査では、今年1月に『セクシー田中さん』原作の漫画家・芦原妃名子さんが死去した事件を受けて、フリーランスの漫画家・イラストレーター約570名が対象になった。
調査対象のうち約50%が著作権や著作者人格権に関して取引先とトラブルになった経験があるほか、約20%は契約書を締結せずに案件を受けていた。
また、「契約などで交渉が必要な時や問題が生じた際に何が必要だと思うか」という質問には、約80%が「交渉を支援、代行してくれる業界団体」と回答し、次いで約64%が「この問題を専門に扱ってくれる弁護士」と回答した(複数回答を含む)。
自由記入欄には、取引先が立場の強さを利用してフリーランスに理不尽な要求を行う具体的な事例を記載した回答が複数寄せられていた。
また、著作権や著作者人格権に関する知識が周知されていない問題の指摘、生成AI技術に対する不安を示す回答が多数寄せられたほか、『セクシー田中さん』事件に言及する回答も目立った。
日本テレビ『セクシー田中さん』調査報告書を批判
FLJの報告書では、5月31日に日本テレビが公表した『セクシー田中さん』事件に関する調査報告書についても言及されていた。
日本テレビの報告書では「関係者間のコミュニケーションに問題があった」とされている。また、日本テレビ関係者は「原作契約について事後になったことは主たる原因ではない」とコメントしたという。
これに対して、FLJは「大前提としてコンテンツの取り扱いに関するルールが必要であり、その最も大事なものが著作権・著作者人格権の扱いを規定する契約書である」と指摘し、報告書やコメント内容の一部について批判した。
また、日本テレビ関係者は「SNSの投稿をめぐっての世間の賛否両論については我々は測りかねるので調査の目的からは外した」ともコメント。
FLJの報告書は『セクシー田中さん』放送スタート記念にX(旧Twitter)でプレゼントキャンペーンが開催されたなど、もともと番組の放映・運営のなかにSNS活用が組み込まれていることを指摘。SNS運用についても事前に契約書を締結することの重要性を強調した。
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