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企業法務

事例1

職場秩序の回復と予防法務の実践|就業規則の見直しで、健全な企業文化を取り戻した事例

依頼者: 年代非公開 性別非公開

相談前

ご相談いただいたのは、従業員の自主性と良好なコミュニケーションを企業文化の核として成長されてきた、関東圏内のサービス業の企業様です。

しかし近年、複数の部署で従業員間の私的な関係が原因とみられる問題が散見されるようになりました。特定の社員間の関係が職場全体の雰囲気を悪化させたり、関係の破綻がきっかけで優秀な社員が退職してしまったりと、組織運営に看過できない影響が出始めていました。

経営陣や管理職の方々は、こうした事態が従業員の士気を下げ、生産性を阻害するリスクであると強く認識されていました。一方で、「個人のプライバシーに会社がどこまで介入すべきか」という法的な判断基準が曖昧であり、問題に対して毅然とした対応を取ることに躊躇いがありました。

就業規則には、服務規律として「職場の風紀を乱してはならない」といった趣旨の一般的な規定はありましたが、それを根拠に具体的な指導や処分を行うには、あまりに抽象的で、法的なリスクを伴うと感じられていました。

問題の芽を早期に摘み、全従業員が安心して業務に集中できる環境を維持・再構築するため、法的にも実務的にも有効な、明確な社内ルールを整備したいとの思いから、当事務所にご相談をいただきました。

相談後

当事務所では、まず企業様が抱える問題の背景と目指すべきゴールを共有した上で、法的な原則に基づいた具体的な解決策をご提案、実行いたしました。

第一に、従業員の私生活上の行為に対する会社の懲戒権の法的限界と、それが認められる場合の要件を、近年の裁判例を交えて分かりやすくご説明しました。重要なのは、「行為そのもの」ではなく、その行為が「会社の事業運営や職場環境に、どのような具体的な悪影響を及ぼしたか」という客観的な事実に基づいて判断するという原則です。この点を明確にしたことで、担当者の方々の法的な迷いを解消しました。

次に、この原則に基づき、貴社の人事ご担当者様と緊密に連携しながら、就業規則の改定作業に着手しました。単に私的な関係を禁止するのではなく、従業員のプライバシー権に配慮しつつ、会社の正当な利益を守るための規定となるよう、以下の点を重視しました。

服務規律の具体化
従業員が日頃から遵守すべき事項として、職場秩序の維持に協力する義務があることを、より具体的な言葉で明記しました。
懲戒事由の明確化
懲戒処分の対象となりうる行為を、「職務専念義務違反」「職場環境の悪化」「公正な業務遂行の阻害」「会社への具体的な損害の発生」といった形で具体的に列挙しました。これにより、処分の客観性と公平性を担保し、恣意的な運用との批判を回避できる体制を整えました。

桑名 祥雅 弁護士からのコメント

本件は、多くの企業が直面しうる、従業員のプライベートと企業秩序のバランスという繊細な問題に対し、法的に有効かつ実用的な解決策を導き出せた好例です。

この種の問題に対応する上で最も重要なのは、「行為そのもの」と、それがもたらす「結果(=企業秩序の侵害)」を明確に切り分けて考える視点です。

感情論や道徳論ではなく、あくまで会社の事業運営にどのような具体的な影響があったかを客観的に評価することが、法的対応の出発点となります。

就業規則は、単に労働条件を定めた書類であるだけでなく、その企業が目指す企業文化や従業員に期待する行動規範を示す、いわば「会社の憲法」とも言える存在です。

問題が発生してから場当たり的に対応するのではなく、本件のように、事前に明確なルールを整備し、全従業員と共有しておく「予防法務」の考え方は、不要な労使トラブルを未然に防ぎ、企業の健全な成長を支える上で重要です。

従業員の権利を尊重しながら、企業として守るべき一線を明確にする。このバランスの取れたルール作りこそが、従業員の信頼を育み、強くしなやかな組織文化を醸成する礎となると、私たちは信じています。

同様のお悩みをお持ちの企業様は、ぜひお気軽に当事務所にご相談ください。

※守秘義務の観点から、事例の一部を修正しています。(事務所事案です。)

事例2

事業再編に伴う従業員との雇用契約終了に関する紛争を円満解決した事例

依頼者: 年代非公開 性別非公開

相談前

ご相談いただいたのは、経営環境の大きな変化に直面し、事業の再編を余儀なくされた企業様でした。

企業様は、将来的な事業継続の困難性から、やむなく会社を整理する方針を固め、それに伴い、複数の従業員の方々との雇用契約を終了せざるを得ない状況となりました。

会社としては、従業員の方々に対し、事前に会社の方針と解雇の見込みについて説明を試みましたが、その伝え方やタイミング、解雇条件などについて、一部の従業員からは十分な理解が得られませんでした。特に、ある従業員からは「解雇自体はやむを得ないかもしれないが、手続きは適切に行ってほしい」との声が寄せられるなど、解雇手続きの進め方に対する不安や不信感が少なからず生じている状況でした。

また、別の従業員については、ご家庭の事情や再就職への懸念などから、解雇条件に関する交渉が難航することも予想されました。

会社側は、法的に適切な手続きを踏むことはもちろん、従業員との間で無用な紛争を生じさせることなく、できる限り円満に雇用関係を終了させたいと強く望んでおられました。しかし、従業員との直接のやり取りでは感情的な側面も絡み、話し合いが平行線をたどる可能性も懸念されていました。

さらに、社会保険の手続きなどを円滑に進めるためにも、早期に各従業員と雇用契約の終了に関する正式な合意書を取り交わす必要性も感じておられました。このような状況の中、今後の対応について専門家のアドバイスを求め、当事務所にご相談に来られました。

相談後

当事務所にご相談いただいた後、担当弁護士はまず、企業様からこれまでの経緯、従業員とのやり取りの内容、企業が置かれている具体的な状況について詳細なヒアリングを行いました。その上で、解雇に至る経営上の判断の合理性、解雇手続きの進め方、提示する解雇条件の妥当性などについて法的な観点から慎重に検討いたしました。

次に、従業員の方々それぞれの状況や意向を考慮し、個別の対応方針を策定しました。会社都合による整理解雇であることの法的根拠や、会社として最大限配慮できる条件などを整理し、従業員にご理解いただくための説明資料の準備もサポートいたしました。

具体的な交渉段階では、当事務所の弁護士が企業の代理人として、従業員の方々との間で交渉を開始しました。交渉においては、まず従業員側の主張や要望を真摯に受け止め、丁寧に聴取することを心がけました。その上で、企業の置かれた厳しい状況や、解雇がやむを得ない経営判断であったこと、提示している条件が法的に見て、また社会通念に照らして妥当な範囲であることを、粘り強く説明いたしました。

特に、解雇手続きの適正性を重視されていた従業員に対しては、解雇理由や手続きの正当性について、誤解や疑念を解くように具体的な説明を尽くしました。また、再就職への不安を抱える従業員に対しては、企業として可能な範囲での配慮を示しつつ、解決金の額について双方にとって受諾可能な着地点を模索しました。

交渉の結果、当初会社側が想定していた条件を基本としつつも、個別の事情や交渉経緯を総合的に勘案し、それぞれの従業員と個別に、双方にとって受諾可能な条件で合意に至りました。これにより、企業側としては、従業員の方々への一定の経済的補償を行いつつ、紛争を長期化させることなく解決を図ることができました。

最終的に、対象となった全ての従業員の方々と、雇用契約の終了日、解決金の支払条件、守秘義務、その他一切の債権債務がないことを確認する清算条項などを盛り込んだ雇用契約終了合意書を締結することができました。これにより、将来的な紛争の再燃を防ぎ、企業様は安心して事業整理の手続きを進めることができるようになりました。

桑名 祥雅 弁護士からのコメント

企業経営において、事業再編や経営不振などを理由に従業員の解雇(整理解雇)を検討せざるを得ない場面は、残念ながら起こり得ます。整理解雇は、法律上、厳格な要件(人員削減の必要性、解雇回避努力、人選の合理性、手続きの相当性など)を満たす必要があり、その判断や進め方を誤ると、不当解雇として従業員から法的な紛争を提起されるリスクがあります。

本件では、企業様が比較的早い段階で当事務所にご相談くださったことが、円満な解決への重要なポイントとなりました。弁護士が介入することで、まず法的な論点を整理し、企業として取るべき手続きや従業員への説明内容について、的確なアドバイスを行うことが可能になります。

従業員の方々にとって、解雇は生活に直結する重大な問題であり、不安や不満を抱かれるのは当然のことです。企業側が誠意をもって対応することは大前提ですが、法的な知識や交渉の経験が不足していると、意図せずとも紛争を深刻化させてしまうことがあります。弁護士が代理人として交渉の矢面に立つことで、経営者の方の精神的なご負担を軽減するとともに、感情的な対立を避け、冷静かつ建設的な話し合いを進めることが期待できます。

今回の事例では、従業員の方々それぞれの立場や懸念事項に配慮しつつ、企業側の事情も丁寧に説明することで、相互理解を深めるよう努めました。結果として、裁判などの長期的な紛争に発展することなく、比較的短期間で、かつ、双方にとって納得のいく形で合意に至ることができました。これは、企業様のご協力と、従業員の方々のご理解があってこそ成し得たものです。

雇用契約を終了する際の合意書には、解決金の支払い条件を明確にするだけでなく、口外禁止条項、誹謗中傷禁止条項、そして将来の紛争蒸し返しを防ぐための清算条項を適切に盛り込むことが極めて重要です。これらの条項を整備することで、企業は安心して次のステップに進むことができます。

労務問題は、一度こじれてしまうと解決までに多大な時間とコストを要することが少なくありません。問題が顕在化する前、あるいは初期の段階で、ぜひ一度、労働問題に詳しい弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。当事務所では、企業様の実情に即した最適な解決策をご提案できるよう、親身に対応させていただきます。

※守秘義務の観点から、事例の一部を修正しています。(事務所事案です。)

事例3

成人式のトラブルで美容室が慰謝料を請求されたが、円満に収束した事例

依頼者: 年代非公開 性別非公開

相談前

ご相談者は複数店舗を展開する美容室の経営者です。成人式当日、振袖の着付けとヘアメイクを担当した顧客から、着付け等に不備があったとの申し入れがありました。

顧客側からは「一生に一度の式典を台無しにした責任は重大だ」と主張され、①慰謝料、②当日の施術代・着付け代等の補填を求めれました。

相談後

(1)事実関係の整理と証拠保全
当事務所はまず、当日の予約台帳、タイムスケジュール表、対応経緯等を確認しました。これにより実際のトラブルの内容を整理するようにしました。

(2)相手方への資料開示請求
クレームの根拠を明確にするため、①トラブルの内容が確認できる資料、②精神的苦痛の立証資料等の提示を求める通知を送付しました。

(3)事実関係の整理と過失の有無の検証
資料をもとに当日の事実関係を再度整理した上で、過失の有無について検討しました。

(4)法的評価に基づく回答書の送付
以上を踏まえ、「直ちに慰謝料を支払う法的義務は認められない」との立場を明記した回答書を代理人名義で発送しました。

併せて、店側として遺憾の意を表明しつつも、過失責任がない場合には請求に応じられない旨を丁寧に説明しました。

(5)交渉による解決
最終的に一切の金銭負担なくトラブルは終息しました。

桑名 祥雅 弁護士からのコメント

サービス業では「顧客満足度」の観点からクレームを受けると感情的に謝罪し、安易に返金や値引きを検討しがちです。

しかし、法的責任を負うかどうかの判断はあくまで①契約内容、②実際に発生した損害、③因果関係、④過失の有無という四つの要素に基づきます。

本件では、客観的証拠を早期に保全したことで事実認定が明確になり、根拠のない慰謝料請求を排斥できました。

また、クレーム対応では「法的に応じられない」旨をただ通告するだけでは相手方の感情がこじれる恐れがありますので、相手方の心情も踏まえた対応が求められます。

美容室・エステサロンなど「体験型」サービスを提供する事業者は、繁忙期に施術が長引くリスクをあらかじめ想定し、予約票や施術前後の写真を保存しておくと万一のクレーム時に有用です。

不当請求に屈しない姿勢を示しつつ、顧客の声を次のサービス改善に生かすサイクルを整えれば、ブランド価値を損なわずに済みます。

私たちは、未然防止と早期対応の両輪で、安心して事業に専念できる環境づくりをお手伝いします。

※守秘義務の観点から、事例の一部を修正しています。(事務所事案です。)

事例4

未払い入学金・授業料を分割合意により回収した事例|学校法人の安定経営を守った示談交渉のポイント

依頼者: 年代非公開 性別非公開

相談前

ご相談者は学校法人でした。

ある学生の保護者から入学金および前期授業料が支払われず、重ねて督促しても「近く支払う」の一点張りで実際の送金はありませんでした。

未納額は数十万円規模とはいえ、同様の小口未払いが累積すると経営や教育環境の維持に影響する恐れがあります。さらに、他の在学生に対して公平性を保つ観点からも、早期かつ適正な対応が必要でした。

しかし、学生本人が学業を継続している事情もあり、強硬な手段は避けつつ確実に債権を回収したいというのが学校側のご要望でした。

相談後

(1)事実関係と契約内容の確認
まず在籍契約書・学則・学費納入規程を精査し、支払期限および延滞時の措置(催告・除籍・遅延損害金等)の条項を整理しました。これにより「納付請求の法的根拠」を明確化し、交渉の土台を固めました。

(2)内容証明郵便による正式催告
当事務所名義で内容証明郵便を発送し、①未納額の総計、②支払期限の再設定、③期限までに履行がない場合に法的措置(訴訟・強制執行)も検討する旨を記載。感情的対立を避けるため、文面は冷静かつ端的に事実を述べ、支払いの意思がある場合の相談窓口を提示しました。

(3)分割払いを含む柔軟な解決スキーム
発送後まもなく保護者から連絡が入り、経済的事情で一括は困難だが学業継続を望むとの意向が示されました。訴訟になれば時間とコストの負担が双方に増すため、学校側と協議のうえ分割での支払計画を提案。これに応じる形で任意の和解契約を締結し、支払期ごとに振込証明を提出する義務を課しました。

(4)履行管理と再発防止策
結果として全額が入金されました。併せて、学校法人内での学費管理フローを見直すことをご提案しました。

桑名 祥雅 弁護士からのコメント

教育機関における学費未払いは「学生の学習権」と「法人の経営安定」が常に対立する難しい問題です。早期に専門家が関与し、①契約・規程を基礎にした法的根拠の提示、②訴訟リスクを背景とした交渉、③相手方の支払能力に応じた現実的なプランの提案、という三段構えを採ることで、対立を深刻化させず円滑な回収が可能になります。

本件では、内容証明郵便の送付によって「支払わなければ次のステップに進む」という明確なメッセージを発しつつ、分割払いという救済策を同時に示したことが奏功しました。

債権管理は金額の大小にかかわらずスピードが命です。小口の未収が累積すれば教育サービスの質や他の学生との公平性に影響します。未払いが生じた際は、早期にご相談いただくことで、法的手続きに至る前に円満解決する可能性が大きく広がります。

当事務所は、学校法人の使命である「教育の継続」と「経営の健全化」の両立を目指し、実効性と柔軟性を兼ね備えた債権回収スキームをご提案いたします。

※守秘義務の観点から、事例の一部を修正しています。(事務所事案です。)

事例5

製品の設計図面や製造ノウハウが流用され、不正競争防止法に基づく損害賠償と差止を求めた結果、解決金の支払いを受けることに成功した事例

依頼者: 年代非公開 性別非公開

相談前

X社(仮名)は、製品の設計・製造を中心とする中小企業であり、創業以来、高度な技術力とノウハウを強みとして、製造業界や大手メーカーなどから安定した受注を獲得してきました。X社が扱う製品は、精密部品の生産工程で使用される専用装置や、自動化・省人化のための生産ラインを構成する機器など、多岐にわたります。これらは一品一様のオーダーメイド品が多く、顧客の仕様に合わせて独自の設計を行うため、技術的なノウハウが蓄積されてきました。

ところが、ある日、X社のライバル企業であるA社(仮名)の製品紹介を見た担当者が、「自社の技術をほぼそのまま流用したような設計」を確認しました。外観や性能、採用されている構造が、X社がこれまでに開発してきた工業用機械と酷似しており、まるでコピー品のようにも見受けられたのです。さらに、A社が最近受注した案件で提出している提案書の一部が、X社の設計図面を改変したものではないかという噂も耳に入りました。

X社としては、このまま情報流出が拡大すれば、受注競争で著しく不利になるのみならず、将来的な研究開発に支障が出る恐れもありました。そこで、まずは社内調査と並行して弁護士への相談を検討し、「不正競争防止法」に基づく法的措置を視野に入れたうえで対応策を模索することにしたのです。

相談後

X社が当事務所に相談に訪れた際、弁護士は事案の概要を把握するために以下の点を重点的にヒアリングしました。

どのような情報が不正に持ち出された可能性があるのか
X社内部での情報管理体制や秘密管理の方法(パスワード保護、アクセス権限の限定、NDAの締結状況など)
元従業員B氏の在職時の役職や担当していた業務範囲
A社の製品・提案書とX社の機密情報との具体的な一致・類似点
A社が不正に得た情報を利用して受注したと見られる案件の数、予想される利益など
不正競争防止法(以下「不競法」といいます)は、不正に取得・開示・使用された営業秘密に関して損害賠償請求や差止請求を認める法律です。ただし、そのためには、対象となる情報が「営業秘密」としての要件(①秘密として管理されていること、②生産・販売方法その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報であること、③公然と知られていないこと)を満たしていることを証明する必要があります。

弁護士はX社と協力しながら、具体的な証拠資料を整理しました。具体例としては、

X社が作成したオリジナルの設計図面と、A社の製品図面との細部にわたる類似性を示す書類
X社が保持する内部データにおけるファイル履歴
退職時の誓約書や、B氏が社内で扱っていたプロジェクトの概要を示す文書
A社が受注した案件のうち、X社が同様の企画を検討していた案件と重複している例の一覧表
これらの資料をもとに、弁護士は不競法上の「営業秘密の不正使用」に該当する具体的な立証方針を立て、まずはA社に対して内容証明郵便で警告書を送付しました。そこでは、

X社の営業秘密にあたる技術情報が不正に持ち出され、無断で使用されている疑いが強いこと
不競法違反により損害賠償および差止請求の対象となる行為を行っていること
直ちに使用を停止するとともに、今後同様の行為を行わないよう確約すること
損害賠償金(具体的な金額は算定中である旨を記載)を支払う意思があるかどうか、一定期間内に回答を求めること
といった内容を、法的根拠とともに指摘しました。

協議を重ねた結果、最終的には解決金の支払いをしてもらうことで和解が成立しました。

桑名 祥雅 弁護士からのコメント

近年、不正競争防止法に基づいて営業秘密の不正流用を争うケースが増えています。企業にとって独自の技術情報やノウハウは競争力の源泉であり、それらが一度漏えいすると取り返しがつかないダメージを被る恐れがあります。本件のように、元従業員がライバル企業へ転職し、そこで在職中に得た情報を無断で利用しているという紛争は、製造業やIT業界などでしばしば見られます。

しかし、不正競争防止法を根拠に損害賠償請求や差止請求を行うためには、対象の情報が「営業秘密」に該当することを具体的に立証しなければなりません。たとえば「社内で誰でも閲覧可能だった」「そもそも秘密保持契約が存在しなかった」「ネット上や公の資料から推測できる一般的な情報だった」といった場合には、秘密管理性や非公知性が認められず、不競法での保護対象外となる可能性があります。

また、不正競争防止法違反をめぐる訴訟は、証拠集めや技術内容の専門的な検討が必要となり、相応の時間とコストがかかります。特に、損害賠償額を算定する際には、具体的にどの程度の売上や利益を失ったのか、あるいはA社側がどれだけの利益を得たのかを証明する必要があります。そのため、企業内で普段から契約書や技術資料、業務日報などをきちんと保管・管理しておくことが、いざという時に有力な証拠となります。

もし、自社のノウハウや機密情報が不正に持ち出された疑いがある場合、早期に弁護士へ相談し、情報の保護体制の確認や証拠の確保、相手方への警告手段などを総合的に検討することをおすすめします。一方で、従業員や元従業員が「自ら培った経験やスキルを持ち出しただけ」と考えているケースもあり、当人たちの理解不足から悪意なく法的リスクを冒してしまうことも少なくありません。トラブルを防ぐためには、企業側が研修や就業規則、秘密保持契約などで明確にルールを示すとともに、退職時に改めて注意喚起を行うことが大切です。

※守秘義務の観点から、事例の一部を修正しています。(事務所事案です。)

事例6

建設工事の瑕疵を巡る損害賠償請求を争い、請求額を大幅に減額して解決した事例

依頼者: 年代非公開 性別非公開

相談前

X社(仮名・建設工事全般を請け負う中小企業)は、住宅や店舗などの土木工事など多岐にわたる工事を手がけていました。創業以来、地元で一定の評判と実績を積み上げ、顧客からの紹介案件も多く受注していました。しかし、とある施主(以下、「注文者」といいます)から「工事に欠陥がある」「予定していた施工内容と異なる不備が見つかった」として、約700万円にものぼる損害賠償請求を受ける事態に直面したのです。

問題となった工事は、注文者が所有する住宅の外構工事等を含むものでした。契約当初、注文者とX社との間では施工範囲や使用材料、工期などについて打ち合わせを重ね、工事請負契約を結んでいました。工事途中で注文者から追加の要望が出ることもあり、都度見積りを取り直すなど、比較的柔軟に対応してきましたが、注文者とのコミュニケーションに齟齬が生じ始めました。

完工後、注文者は施工箇所に不備がある等主張し、「自分が再修繕を行わなければならず、その費用等を合わせて700万円の請求をする」と申し入れてきたのです。X社としては、工期内にプロセス写真を残し、チェックも重ねていましたが、注文者からのクレームにどこまで正当性があるのかを十分に検証できていないまま、請求額だけが示される形となりました。

また、注文者からは「本来であれば使うはずの部材を使っていない」などの指摘もなされました。X社には注文者から一任されていたという認識があり、説明不足があったのではないかと後悔する気持ちもありました。しかし、いきなり700万円という高額の損害賠償を突き付けられ、どう対処してよいのかわからない状況に陥っていました。

注文者とX社だけで話し合いを試みたものの、感情的な対立もあり、まともな協議が成り立たなくなりつつあったため、X社は弁護士に相談することを決意しました。できれば法的なトラブルにせず円満に解決したいという思いもありましたが、高額な損害賠償請求は会社の経営を揺るがす問題です。万が一、支払わなければならなくなると、キャッシュフローの悪化や信用不安の拡大につながるおそれもありました。

相談後

当事務所の弁護士は、まずX社からヒアリングを行い、契約書や見積書、施工写真、報告書などの資料を丹念に確認しました。そのうえで、注文者が主張する「工事の瑕疵」や「損害額」がどこまで正当化されるのかを検討するため、以下のポイントに注目しました。

契約書・合意内容の精査
土木工事等について、どのような仕様と品質を約束していたのかを把握することは最重要です。X社の場合、契約時に取り交わした書類に加え、注文者からの工事依頼に伴う見積書が存在しました。これらの書類を突合し、「実際には何を、どの程度の品質で施工する義務があったか」を正確に把握しました。

施工記録・写真の検証
施工に瑕疵があったかどうかを判断するうえでは、工事中の写真やチェックリストが重要な証拠となります。X社が保管していた写真を時系列で整理し、土木工事の工程や施工処理の様子を確認しました。

注文者側の主張する損害の内容・金額の妥当性
注文者は「修繕工事費」等による損害額を合算して約700万円を請求していましたが、その金額算定根拠には不明瞭な点も見受けられました。

法的観点からの責任追及の可否
建設工事請負契約においては、受注者(X社)に「瑕疵担保責任(旧民法上)」「契約不適合責任(現行民法上)」「債務不履行責任」などが問われる可能性があります。弁護士は、注文者がどの条文を根拠に請求をしているのかを分析し、そもそも契約上の義務違反があるのか、そして損害との因果関係があるのかを検証しました。

これらの検討を踏まえ、弁護士は注文者側に対して「瑕疵の不存在」「債務不履行責任の不存在」「損害額の相当性の欠如」という三点から反論しました。具体的には、「そもそも施工不良が確認されていない部分についてまで全面改修費用を請求するのは不当である」「契約書等から、X社に重大な落ち度や義務違反があったとは認めがたい」などの主張を展開しました。

最終的に、注文者とX社との間で交渉を重ねた結果、請求額を10分の1以下にまで減額する形で合意が成立しました。初めに提示されていた700万円からは大幅な減額となり、X社にとっては大きな負担を回避できた成果といえます。

桑名 祥雅 弁護士からのコメント

建設工事の分野は、施主(注文者)と工事を請け負った業者の間で、工事の品質や施工内容の解釈をめぐってトラブルが発生しやすい領域です。特に、施主側が「ここが気に入らない」「期待どおりではない」と感じた場合、その主観的な不満が「瑕疵」や「損害賠償」に直結してしまうことが少なくありません。しかし、法律上は請負契約の内容に基づき、「約束した施工内容が守られなかったか」「施工に欠陥があったか」「その結果としてどの程度の損害が生じたか」を厳密に検証する必要があります。

本事例では、注文者が高額な賠償請求をしてきた背景に、「工事に対する漠然とした不満」をまとめて請求してしまった面がありました。施工の不備といった具体的な問題以外にも、コミュニケーションのすれ違いなどが混在し、その結果として膨らんだのが700万円という金額だったかもしれません。

しかし、法的に損害賠償を請求するためには、①工事の瑕疵または契約不適合、②債務不履行となる施工ミス等の立証、③その結果として発生した損害の立証、のすべてが必要になります。単に「納得できないから」という理由だけでは高額な賠償は認められません。また、損害額についても「全面改修」を前提とした過大な見積りと、「部分的な修繕」で事足りる場合の実費との差は大きいと言えます。

一方で、請負業者側が「全く問題ない」「一切直すつもりはない」と突っぱねてしまうと、施主との関係が険悪化し、交渉が難航することもしばしばあります。

今回のケースでは、最終的に請求額を10分の1以下まで減額することができ、X社にも大きな影響を与えない範囲で解決に至りました。工事内容をきちんと証拠化していたこと(写真、書類、報告書等)がポイントとなり、また、契約書や見積書が整っていた点も重要でした。もし施工の記録が曖昧であったり、口頭のみで契約変更を行っていたりした場合、法的紛争に巻き込まれた際の反論が難しく、裁判で不利になるリスクが高まります。

建設業界では、毎日の施工管理や顧客対応に追われ、書類の整備がおろそかになりがちですが、トラブルを防ぐためにも、日頃から「書面による契約締結」「施工の写真記録」「工事中の変更点の明確化(追加見積書・合意書などの作成)」を徹底することが大切です。

※守秘義務の観点から、事例の一部を修正しています。(事務所事案です。)

事例7

約650万円の残業代請求を約60万円(10分の1以下)に減額することができた事例

依頼者: 年代非公開 性別非公開

相談前

運送会社のA社は、従業員Bから、未払い残業代及び遅延損害金として合計約650万円を請求されました。A社は、高額な残業代等の請求を受け、どのように対応すればよいかわからずにご相談されました。

相談後

本件では、そもそもBの主張する残業代の計算方法自体に疑義があったことから、この点を指摘しました。

また、Bは、固定給を前提に残業代を計算していましたが、A社では完全歩合給を採用していたことから、歩合給制を前提に残業代を計算するよう反論しました。

歩合給を前提に残業代を計算することで、残業代は5分の1以下に減額できることが期待できます。これらの反論が功を奏し、最終的には請求額の10分の1以下に減額することができました。

桑名 祥雅 弁護士からのコメント

残業代請求をされた場合には、感情的に反論するのではなく、残業代の計算方法に則り、労働者が主張する残業代の計算方法に誤りがないか精査することが重要です。

特に、固定給制を前提にするか、歩合給制を前提にするかによって残業代の計算方法や総額は大きく変わります。

運送業では、残業代は大きな経営リスクにもなりかねません。残業代に関して悩んでいる運送業の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

※守秘義務の観点から、事例の一部を修正しています。(事務所事案です。)

事例8

約90万円の残業代請求を約20万円(4分の1以下)に減額することができた事例

依頼者: 年代非公開 性別非公開

相談前

介護サービスを提供する会社Aは、従業員Bから、支払われていない残業代と遅延損害金として、合計約90万円の支払いを求められました。会社Aは、この残業代の請求にどう対応すべきかお悩みになり、当事務所に相談されました。

相談後

本件では、以下の2つが主な争点となりました。

1 残業代の基礎賃金の計算方法について
まず、残業代の基礎となる賃金の計算方法を確認する必要があります。これには、基本給だけでなく、臨時で支払われる手当やインセンティブが含まれるかどうかが争点となります。

Bからは、臨時で支払われるにすぎない各手当も基礎賃金に含めて主張されていたため、この点について反論を行いました。

2 実労働時間の算定方法について
実際に働いた時間は、残業代を計算する上で重要な要素です。時間外労働について正確な記録が必要になります。

従業員の勤務時間、残業時間、休憩時間などの記録が正確に行われているか確認した上で、Bの主張する実労働時間が過大であると反論しました。

なお、実労働時間の算定にあたっての反論は、一般的に以下の手順が考えられます。

最終的には、会社A側の反論が奏功し、約90万円の請求に対し、約20万円の解決金の支払で合意することができました。

桑名 祥雅 弁護士からのコメント

残業代が問題となる事案では、残業代の計算方法を理解した上で、各算定要素について労働者側の主張が正当なものかどうかを検討する必要があります。

基礎賃金の単価、実労働時間の算定は、特によく争点となります。

これらの争点は、給与明細や就業規則・賃金規程等のほか、タイムカードや勤務日報等の証拠を精査することが不可欠です。

証拠の分析から導かれる事実関係の整理や法的主張にあたっては、労務問題を集中的に扱う弁護士にご相談いただくことがよいかと思います。

残業代に関してお悩みの企業は、ぜひお気軽にご相談ください。

※守秘義務の観点から、事例の一部を修正しています。(事務所事案です。)

事例9

約1000万円の残業代請求を100万円未満に減額することができた事例

依頼者: 年代非公開 性別非公開

相談前

運送会社のA社は、退職した従業員Bから、在籍していた当時の未払い残業代、付加金及び遅延損害金として合計約1000万円を請求されました。

A社は、高額な残業代等の請求を受け、どのように対応すればよいかわからずにご相談されました。

相談後

残業代請求を検討する際には、残業代算定の基礎賃金の単価の妥当性、実労働時間としてどの程度が認定されるのかを検討する必要があります。

また、残業代の計算方法は、固定給制か歩合給制かのいずれに該当するかによって大きく異なります。

BからA社に対する請求内容を精査したところ、Bが主張する残業代の計算方法は、固定給制ではなく歩合給制を前提として計算すべきであること、またBの主張する起訴賃金の単価が高額であるだけでなく、実労働時間の算定も不相当に長いことが指摘できることが判明しました。

当事務所は、Aの代理人として、Bの主張する残業代の基礎賃金の単価、実労働時間の算定に加え、歩合給制吐して計算することが相当であることを反論しました。

最終的に、約1000万円の残業代等の請求に対し、100万円未満まで減額して合意することができました。

桑名 祥雅 弁護士からのコメント

労働紛争は、労働諸法が労働者保護の趣旨を有していることから、一般的に使用者側にとって不利に判断される傾向にあります。

残業代請求の事案においても、一般的には使用者側は反論できる余地が少ないと考えられるかもしれません。

もっとも、労働者側が主張する残業代請求が常に妥当するとは限りません。残業代の基礎賃金の単価や実労働時間の算定に関しては、争うことができるケースも少なくありません。

また、残業代の計算方法は、固定給制と歩合給制では大きく異なります。歩合給制を前提に残業代を計算することができる場合には、固定給制を前提に計算する場合と比較して残業代を数分の1に減額できることもあり得ます。

本件でも、固定給制を前提に主張してきたBに対し、歩合給制を前提に算定すべきであるという反論が奏功したことが、大幅な減額ができた要因といえます。

残業代請求を受けた場合には、労働者側の請求内容を鵜呑みにせず、事実関係と証拠を整理し、どのような反論がありうるのかを検討する必要があります。

残業代請求にお悩みの運送会社の方は、弁護士への相談もご検討ください。

※守秘義務の観点から、事例の一部を修正しています。(事務所事案です。)

事例10

代表取締役、取締役辞任のタイミング

依頼者: 年代非公開 性別非公開

相談前

代表取締役及び取締役辞任のタイミングについて、法的に問題ないよう円滑に進めるには、どのようにすればよいでしょうか。

相談後

相談企業が考えている方針を確認したところ会社法上は特に問題はないものと考えられました。

相談の際には、相談企業の考える方針に法的問題がないことを、その根拠とともにご説明しました。

桑名 祥雅 弁護士からのコメント

「経営者は孤独である」とよく言われますが、自分たちだけで考えてしまうと、経営状況が問題ないのかどうかということさえ判断に悩むことは少なくありません。

私たちは、法律の専門家として法的問題についてアドバイスすることを中心としていますが、一方で多数の企業の経営問題にも関与していることから、経営者の視点からアドバイスさせていただくこともあります。

経営者は時として相談相手が不足することもありますが、私たちは法律の専門家としてだけではなく、経営者の良きアドバイザーとして継続的にサポートしていくことを志しております。

経営問題でお悩みの際には、是非お気軽にご相談ください。

※守秘義務の観点から、事例の一部を修正しています。(事務所事案です。)

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