
- (更新:2023年01月20日)
- 不動産・建築・住まい
施主に追加工事代金を請求したが拒否された。回収方法は?
新築住宅の建築にあたっては、当初の契約から変更があったり、オプションの追加があるなどして、追加工事を行うことがよくあります。
施主との間で合意に基づいて追加工事を行ったのであれば、当然に追加工事代金を請求する権利がありますが、なかには「そんな工事は依頼していない」と言われて支払いに応じてもらえないこともあります。
今回は、追加工事代金を請求するための準備と拒否されないようにする対策について解説します。
1. 追加工事代金請求をするための流れ
本工事には含まれない追加工事を行った場合には、以下のような流れで追加工事代金の請求をするようにしましょう。
(1)施主との話し合い
施主から追加工事の支払いを拒絶された場合には、まずは、施主との間で話し合いの場を設けて解決を図るようにしましょう。その際には、業者側としては、
- 追加工事をするに至った経緯の記載がある議事録
- 施主に提示した見積書
- 追加変更工事を行う際の契約書
などを準備したうえで、話し合いに臨むようにしましょう。
お互いに誤解があって支払いに応じてもらえないこともありますので、施主と業者の間でどの部分に食い違いがあるのかを明らかにしながら、お互いに納得できる解決策を検討するとよいでしょう。
(2)催告書や請求書の送付
施主が話し合いに応じないような場合には、業者側の主張を記載した催告書や請求書を送るようにしましょう。催告書には、追加工事をするに至った経緯を時系列で分かりやすく記載し、施主に納得してもらえるような記載にするようにしましょう。
そして、後日の証拠とするためにも、催告書は、内容証明郵便によって送付するのがよいといえます。催告書には、支払期限や回答期限を区切って、期限内に施主から何らかのアクションを求めるようにしましょう。
(3)調停や訴訟の提起
話し合いでの解決が難しい場合や期限内に書面で回答がない場合には、任意の交渉は難しいといえますので、追加工事代金を請求するために裁判上の手続きを検討することになります。
いきなり訴訟を提起することも可能ですが、話し合いによって解決する余地があるのであれば、まずは民事調停を申し立てることも有効な手段です。
建築紛争は非常に時間と労力を要する手続きになりますので、訴訟手続きでは最終的に解決するまでに長い時間がかかります。そのため、事案の内容にもよりますが、比較的短期間で解決が可能な民事調停を先に利用してみるとよいでしょう。
2. 追加工事代金の請求トラブルを防ぐための対策
追加工事代金の請求でトラブルになる事案では、追加工事を行う際に必要な手続きを十分に行っていないことが原因であることが多いです。そこで、同じような事態を防ぐためには、以下のような対策を講じることをおすすめします。
(1)追加変更工事ごとに契約書を作成
本工事の際には請負代金額も大きいため正式な契約書を作成しますが、追加工事の際には追加工事代金もそこまで大きくなく、変更が頻繁にあるため、その都度契約書を作成していないことが多いといえます。
しかし、追加変更工事契約書が存在しないと、工事内容や工事代金について後日発注者との間で争いになることもありますし、裁判になった場合に、追加工事を証明することが難しくなります。そのため、できる限り追加変更工事ごとに契約書を作成するようにしましょう。
また、追加変更工事は、当初の請負契約に含まれているなどの理由で争われることもあります。そのため、不明確な請負契約書では後日争いになるおそれもありますので、弁護士に依頼して契約書のひな形を見直してもらうとよいでしょう。
(2)見積書や議事録の作成
追加変更工事ごとに契約書を作成することが難しいという場合には、後日、争いにならないように議事録にその内容を残しておくとともに、発注者に対しては見積書を交付するようにしましょう。
そうしておくことによって、「追加工事を依頼していない」「金額に合意をしていない」といったトラブルを回避することができます。
- こちらに掲載されている情報は、2023年01月20日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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