医療過誤とは。弁護士はどう対応してくれる?

医療過誤とは。弁護士はどう対応してくれる?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

医療過誤(医療事件、医療ミス)が発生した場合、患者の死亡や重篤な後遺症などの重大な結果をもたらします。医療過誤の被害を受けた患者の方は、決して泣き寝入りすることなく、弁護士の力を借りて、医療機関・医師に対して正当な請求を行いましょう。

この記事では、医療過誤において弁護士にできることを紹介していきます。

1. 医療過誤とは?

病院・医師は、患者の権利を害することがないように治療などを行う注意義務を負っています。

この注意義務に違反した場合、医療過誤として、不法行為に基づく損害賠償請求の対象になる可能性があります(民法第709条)。

まずは、医療過誤の代表事例を3つのパターンに分けて見ていきましょう。

(1)医師の手技上の過失

医師が手術などの医療行為の過程でミスを犯し、患者を死亡させたり、症状を悪化させたりするケースは、医療過誤の典型的なパターンといえます。

このような医師の手技上の過失は、患者の生命・身体に深刻な影響を及ぼすため、損害賠償も高額になりがちです。

医師の手技上の過失の例としては、以下のようなケースが想定されます。

  • 医師が既往症の存在を見落としており、禁忌とされている薬を投与した結果、患者が死亡した。
  • 切開手術において、医師がメスの使用を誤り、重要な臓器を傷つけてしまった結果、患者が死亡した。
  • 手術中に使用していた器具を、患者の体内に置き去りにした。

(2)説明義務違反(インフォームド・コンセント)

医師は患者や家族に対して、手術や治療などの内容およびそれに伴う危険性について説明する義務を負っています(最高裁昭和56年6月19日判決など)。

医師がこの説明義務に違反した場合、その後の手術や治療について医師の過失が認められなかったとしても、「説明義務違反」による損害賠償の対象となる可能性があります。

説明義務違反の例としては、以下のようなケースが想定されます。

  • 実施事例が少ない困難な手術を実施する際、医師が患者に対して、事前に十分なリスク説明を行わなかった。
  • 患者が、がんにかかっている事実を、医師が本人および家族に対して告知しなかった結果、患者が家族との最期の時間を充実して過ごすことができなかった。
  • 帝王切開か自然分娩(ぶんべん)かを患者に選択させる際、医師がそれぞれについて十分なリスク説明を行わなかった結果、患者が自分の意思で適切に分娩方法を選択することができなかった(結果的に分娩時に胎児が死亡した)。

(3)チーム医療におけるスタッフの過失

医師本人だけでなく、看護師などのスタッフの過失についても、病院側の不法行為を構成する可能性があります。

チーム医療におけるスタッフの過失として考えられる事例は、以下のようなものです。

  • 看護師が医師の投薬指示を聞き間違えて、禁忌とされている薬を投与した結果、患者が死亡した。
  • 看護師が電気吸引機を用いて採血する際、吸引用と噴射用を取り違え、誤って患者の血管に多量の空気を注入した結果、患者が死亡した。

2. 医療過誤に対して弁護士ができること

実際に、ご自身や身近な人が医療過誤の被害に遭ったことが疑われる場合には、弁護士に相談するとよいでしょう。

以下では、相談を受けた弁護士が患者のためにできることを紹介していきます。

(1)病院・医師に対する損害賠償請求

医療過誤により患者が死亡したり、症状が重篤化したりした場合、病院・医師に対する損害賠償請求を行うことができる可能性があります。

医療訴訟は非常に専門的であり、行為時点の医療水準と実際の医療を照らし合わせて、医療機関側にミスがあったことを説得的に論証しなければなりません。また、具体的にどの行為をミスと捉えるのか行為を特定したり、その行為と生じた結果との因果関係を立証していく必要もあります。

そのため、法律にのっとった論理的な主張の組み立てと、証拠資料の適切な収集・作成が不可欠です。一般の方は医療知識を有していないことも多く、そもそも医療過誤であるかの判断がつかないことも多いでしょう。

医療過誤事件の経験が豊富な弁護士は、法律知識はもちろんのこと、問題となっている行為が医療過誤といえるのかといった点や訴訟になった場合にどのような点が争いとなるのかなどについても精通しているため、訴訟の準備を適切に進め、被害者にとって十分な補償を受けられる可能性が高まります。

(2)再発防止策の要請

ご自身またはご家族が医療過誤によりつらい目に遭った場合、同じような被害を繰り返してほしくないという思いに駆られる方も大勢いらっしゃいます。

弁護士は、こうした強い志をお持ちの依頼者のために、医療機関側に対して再発防止策の徹底を要請します。

たとえば、

  • 医療過誤に関わった医師・スタッフに対する厳しい処分を求める
  • 第三者委員会を設置しての詳細な分析・検討を求める

など、アプローチの仕方はさまざまです。

弁護士は、依頼者の意思を尊重しつつ、専門家としての視点から適切な方法を見いだしていきます。医療過誤の被害にお悩みであれば、まずは一度弁護士まで相談してみてはいかがでしょうか。

弁護士JP編集部
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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2021年06月28日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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