会社から時短勤務を拒否された! 育児・介護休業法の規定と対処法
介護や子育てのためにフルタイムで働くことができない方も少なくありません。そのような方は、フルタイムで働けないからといって離職するのではなく、時短勤務制度の利用を検討するとよいでしょう。時短勤務であれば介護や子育てと仕事を両立させることも可能といえます。もっとも、会社によっては、時短勤務の利用を拒否されることもあります。そのような場合にはどのように対処したらよいのでしょうか。
今回は、会社から時短勤務を拒否された場合の対処法などについてわかりやすく解説します。
1. 時短勤務制度は事業主の義務
時短勤務制度は、育児・介護休業法で定められている制度です。以下では、育児・介護休業法の概要と時短勤務制度について説明します。
(1)育児・介護休業法とは
育児・介護休業法とは、育児や介護を理由に仕事を辞めることなく、家庭と仕事を両立することができるように支援する法律です。
育児・介護休業法では、時短勤務制度以外にも育児休業制度や介護休業制度などさまざまな支援制度が定められていますので、育児や介護と仕事の両立によるワークライフバランスを実現することが可能です。
(2)時短勤務制度とは
時短勤務制度とは、所定労働時間を原則として6時間にすることができる制度のことをいいます。育児・介護休業法によって定められている制度ですので、一定の要件を満たす労働者から時短勤務制度の利用の申し出があった場合には、会社は、時短勤務制度の取得を必ず認めなければなりません。
2. 育児・介護休業法での規定
育児・介護休業法では、育児と介護の両面から時短勤務制度を定めています。以下では、育児と介護、それぞれでの時短勤務制度の利用条件を説明します。
(1)育児に関する時短勤務制度の利用条件
会社には、3歳未満の子どもを養育する労働者が希望すれば、1日の所定労働時間を6時間までとする時短勤務制度を設けることが義務付けられます。そして、時短勤務制度の対象となる労働者は、以下のいずれにも該当する労働者です。
- 3歳未満の子どもを養育する労働者であること
- 時短勤務期間に育児休業を取得していないこと
- 日々雇用される労働者ではないこと
- 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
ただし、労使協定によって以下の労働者については、適用除外とされることがあります。
- 雇用期間が1年未満の労働者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
- 業務の性質や実施体制に照らして時短勤務制度を講じることが困難だと認められる業務に従事する労働者
(2)介護に関する時短勤務制度の利用条件
会社には、要介護状態にある対象家族(配偶者、父母、子、配偶者の父母)を介護する労働者が希望すれば利用することができる以下のような時短勤務制度を導入することが義務付けられます。
- 短時間勤務制度
- フレックスタイム制度
- 始業および終業時刻の繰り上げ、繰り下げ
- 介護サービスを利用する労働者の費用負担を軽減する制度
これらの制度の対象となる労働者は、日々雇用される労働者以外のすべての労働者です。ただし、労使協定によって以下の労働者については、適用除外とされることがあります。
- 雇用期間が1年未満の労働者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
3. 会社に時短勤務を拒否されたときの対処法
会社から時短勤務を拒否された場合には、以下のような対処法が考えられます。
(1)労働基準監督署
育児・介護休業法では、会社に時短勤務制度の導入を義務付けており、一定の要件を満たす労働者から時短勤務制度の利用の申し出があった場合には、それを認めなければならないとしています。
会社が法定の要件を満たす労働者からの時短勤務制度の利用申し込みを拒否した場合には、育児・介護休業法違反となります。育児・介護休業法違反には罰則が定められていませんが、違反が明らかになった場合には、労働基準監督署から是正勧告が行われますので、時短勤務を拒否された場合には労働基準監督署に相談してみるとよいでしょう。
(2)弁護士
労働基準監督署による是正勧告には、強制力がありませんので、是正勧告に応じない会社に対しては、直接労働条件の改善を求めて交渉していく必要があります。
育児や介護に追われている労働者個人では、会社に対して労働条件の改善を求める時間的・精神的余裕はありませんので、そのような交渉は、専門家である弁護士にお任せください。弁護士であれば、会社との交渉や法的手段によって、労働者の正当な権利を実現することが可能です。
- こちらに掲載されている情報は、2023年06月06日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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