年間休日が少ないのは違法ではないの? 法律の規定と対処法を紹介

年間休日が少ないのは違法ではないの? 法律の規定と対処法を紹介

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

年間休日が少ないと感じる方もいるかもしれません。労働基準法では、休日に関する定めが設けられていますので、年間休日が少なすぎる場合には、労働基準法違反の可能性もあります。年間休日が少なく違法である場合には、どのように対処したらよいのでしょうか。

今回は、年間休日が少ない場合の対処法などについてわかりやすく解説します。

1. 年間休日数は法律で決まっている?

年間休日の日数について、法律上はどのような定めがあるのでしょうか。

(1)年間休日に関する法律上の定めはない

年間休日とは、会社が定める1年間の休日数の合計のことをいいます。

会社は、労働者に対して、毎週少なくとも1日の休日を与えるか、4週間を通じて4日の休日を与えることが義務付けられています(労働基準法35条1項)。これを「法定休日」といいます。労働基準法では、法定休日に関する定めはありますが、年間休日に関する定めはありません。

(2)サラリーマンの平均的な年間休日日数は115日

厚生労働省の「令和4年就労条件総合調査」によると、令和3年の年間休日総数の労働者1人平均が115.3日、1企業平均が107.0日でした。

1企業平均年間休日総数を企業規模別にみると、以下のようになります。

  • 1000人以上:115.5日
  • 300~999人:114.1日
  • 100~299人:109.2日
  • 30~99人:105.3日

2. 何日以下だと会社として違法となるのか?

労働基準法では、法定休日として少なくとも週に1日か、4週間を通じて4日の休日が義務付けられています。1年間の週数は、「365日÷7日≒52.1週」ですので、年間53日の休日を与えれば、法定休日の基準は満たしたことになります。

しかし、労働基準法では、法定休日以外にも1日8時間、1週40時間という法定労働時間の定めがあります(労働基準法32条)。法定労働時間の基準を踏まえると、1年間の労働時間は、「40時間×(365日÷7日)≒2085.7時間」以内に抑えなければなりません。1日の法定労働時間は8時間ですので、年間の労働可能日数は「2085.7時間÷8時間≒260.7日」になります。すなわち、年間休日日数の最低ラインは、「365日-260日=105日」となるのです。

年間休日日数が105日を下回っている場合には、法定労働時間を超える労働が行われているということになりますので、会社は、労働者に対して時間外労働に対する割増賃金の支払いをしなければなりません。年間休日日数が105日を下回っているにもかかわらず、適正な割増賃金が支払われていないという場合には、労働基準法違反となる可能性が高いでしょう。

3. 年間休日日数が少ない場合の対処法

年間休日日数が少ない場合には、以下のような対処法が考えられます。

(1)年間休日日数を増やすよう会社と交渉する

年間休日が105日を下回ると割増賃金の支払いが必要になりますので、多くの企業では、年間休日を105日以上に設定していると思われます。サラリーマンの平均的な年間休日日数は、115日ですので、年間休日の最低ラインと比べると10日も違いがあります。

年間休日を何日に設定するかは、労働基準法の基準を踏まえて、会社が独自に設定することができますので、年間休日日数が少ないと感じる方は、まずは、会社と交渉をして年間休日日数を増やしてもらうとよいでしょう。

(2)弁護士に相談して未払いの残業代や休日手当を請求する

年間休日日数が少ない会社では、長時間の時間外労働や休日出勤をしている可能性があります。時間外労働や休日出勤に対しては、割増賃金の支払いが必要になりますが、サービス残業などの名目で適正な残業代や休日手当が支払われていない可能性があります。

残業代や休日手当の請求は、労働者としての正当な権利行使ですので、未払いの残業代や休日手当がある場合には、会社に対して、請求していくようにしましょう。このような請求にあたっては、正確な残業代・休日手当の計算や会社との交渉が必要になりますので、まずは、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

(3)転職して働く環境を変える

年間休日が少ないということは、十分な休息が得られていない状態ということになります。長時間労働や休日出勤が続くと心身ともに疲労が蓄積し、病気や過労死のリスクが高まります。そのため、会社との交渉でも年間休日を増やしてもらえないという場合には、労働環境のよい別の職場への転職も検討するとよいでしょう。

長時間労働によって体調を崩してしまってからでは、転職活動も難しくなりますので、早めに決断することが大切です。自ら退職を申し出られない程の精神状態や労働環境にある場合は、弁護士に退職代行サービスを依頼することも考えられます。

弁護士JP編集部
弁護士JP編集部

法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2023年05月16日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

お一人で悩まず、まずはご相談ください

まずはご相談ください

労働問題に強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?

弁護士を探す
まずはご相談ください

お一人で悩まず、まずはご相談ください

労働問題に強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?

関連コラム

労働問題に強い弁護士

  • 山本 恭輔 弁護士

    福岡つむぎ法律事務所

    福岡県 福岡市早良区
    福岡県福岡市早良区百道1-9-12 アーバンももちⅡ102
    • 休日相談可
    • 夜間相談可
    • 24時間予約受付
    • ビデオ相談可
     
    注力分野

    【オンライン相談可】【企業側・従業員側どちらも対応可】【藤崎駅から徒歩5分】未払残業代、解雇・懲戒、労災、セクハラ・パワハラ等、労使トラブルはお早めにご相談を

  • 都築 直哉 弁護士

    弁護士法人平松剛法律事務所仙台事務所

    宮城県 仙台市青葉区
    宮城県仙台市青葉区中央1-6-35 東京建物仙台ビル14階
    【電車でお越しの方】
    JR 仙台駅 徒歩5分
    市営地下鉄 仙台駅
    北7出口より徒歩3分

    【お車でお越しの方】
    提携(近隣)駐車場のご案内
    アエル地下駐車場
    宮城県仙台市青葉区中央1-3-1
    ※提携駐車場から事務所までは、200mほど離れております。
    ※詳細はお問い合わせ下さい。
    • 当日相談可
    • 休日相談可
    • 夜間相談可
    • 全国対応
    • 電話相談可
    • ビデオ相談可
    • LINE相談可
    • メール相談可
    • 初回相談無料

    休日・夜間相談は要事前予約とさせて頂いております。お問い合わせください。

     
    注力分野

    《不当解雇・残業代請求等お任せ!》300件以上の実績がある経験豊富な弁護士が解決に導きます。 【退職金請求等にも広く対応】【無料相談・着手金無料あり】

  • 三浦 知草 弁護士

    弁護士法人リーガルプラス上野法律事務所

    東京都 台東区
    東京都台東区上野2-10-10 協和ビル3階
    JR上野駅からお越しの場合
    入谷改札口(パンダ橋口)より徒歩8分

    東京メトロ日比谷線・銀座線の上野駅からお越しの場合
    3番出口より徒歩5分

    都営大江戸線、つくばエクスプレスの新御徒町駅からお越しの場合
    A1出口より徒歩5分

    京成本線京成上野駅からお越しの場合
    正面出口より徒歩10分
    • 24時間予約受付
    • 電話相談可
    • ビデオ相談可
    • 初回相談無料

    電話相談(簡易回答)は、交通事故・遺留分・残業代請求のみとなります。

     
    注力分野

    未払い残業代の請求、労災、退職勧奨・不当解雇問題を中心に、ご依頼者の方が泣き寝入りすることのない解決を目指します

  • 浅野 英之 弁護士

    弁護士法人浅野総合法律事務所

    東京都 中央区
    東京都中央区銀座7-4-15 RBM銀座ビル8階
    • 当日相談可
    • 休日相談可
    • 夜間相談可
    • 24時間予約受付
    • 電話相談可
    • ビデオ相談可
    • 初回相談無料

    初回相談無料は、具体的な事案のご依頼を検討中の方に限定させていただいております。

     
    注力分野

    【初回相談無料】【銀座駅4分・新橋駅5分】【土日・夜間OK】労働問題に強い、実績2,000件以上!不当解雇・残業代・セクハラ、大切なお悩みをおまかせください!

  • 笠井 勝紀 弁護士

    笠井法律事務所

    愛知県 名古屋市中区
    愛知県名古屋市中区丸の内3-18-22 フェイマス丸の内ビル4階
    • 当日相談可
    • 休日相談可
    • 夜間相談可
     
    注力分野

    労働は生活の基盤であり、日々の生活に大きく関わるものです。労働者側はもちろん使用者側としても対応が可能です。