- (更新:2023年02月14日)
- 労働問題
夜勤明けに続けて夜勤。労働基準法上の取り扱いは? 違法となるケース
夜勤が続くと、心身の健康を害してしまうリスクが高まります。しかし、医療従事者や介護職の方などの間では、連続夜勤が常態化しているケースも多いようです。
労働基準法上も、夜間の連続勤務を含む過度な労働については規制がなされています。もし会社によってあまりにも酷使されていて、仕事を続けるのがつらいと感じている場合は、弁護士へご相談ください。
今回は、夜勤明けの夜勤(連続夜勤)が違法となるケースについて、労働基準法上の取り扱いを解説します。
1. 夜勤明けの夜勤は違法?
夜勤明けの夜勤、つまり2日続けて夜勤をすることは、労働基準法によって禁止されているわけではありません。労働契約の内容によっては、会社が従業員に連続夜勤を命ずることも認められます。同じく、夜勤を経て日勤をさせることも、日勤を経て夜勤をさせることも、労働基準法によって禁止されるものではありません。
ただし、労働基準法では法定労働時間が定められており(同法第32条)、時間外労働を命ずるには36協定の締結が必要です(同法第36条第1項)。夜勤が時間外労働に該当する場合には、法定労働時間や36協定の規定に抵触して違法となることがあります。
2. 夜勤明けの夜勤が労働基準法違反となるケース
夜勤明けの夜勤が労働基準法違反に当たるのは、主に以下の3つのケースです。
(1)36協定がなく、法定労働時間を超えている場合
会社は原則として、従業員に対して法定労働時間を超える労働を命じることができません。法定労働時間は一部の例外を除き、「1日当たり8時間・1週間当たり40時間」です(労働基準法第32条)。
労使協定(36協定)を締結し、時間外労働に関するルールを定めれば、その範囲内で時間外労働を命ずることは可能です。ただし、36協定が締結されていない場合は、法定労働時間が上限となります。この場合、法定労働時間を超えて夜勤を命じることは違法です。
(2)36協定の上限を超えている場合
36協定が締結されている場合、会社は従業員に対して、36協定の範囲内で時間外労働を命ずることができます(労働基準法第36条第1項)。夜勤についても、36協定の範囲内であれば原則適法であり、その範囲を超えた場合は違法です。
ただし、36協定で定めることのできる時間外労働の限度時間(上限)は「1か月当たり45時間・1年当たり360時間」とされています(同条第3項、第4項)。
臨時的な特別な事情により業務量が大幅に増加した場合などについては、特別条項を定めれば例外が認められますが、それでも以下の制限を超過することはできません(同条5項、6項)。
- 坑内労働など健康上特に有害な業務については、時間外労働が1日当たり2時間以下
- 直近1か月間の時間外労働・休日労働の合計が100時間未満
- 直近2か月~6か月間における、時間外労働・休日労働の平均合計時間が月80時間以下
- 年間の時間外労働が720時間以下
- 月45時間超の時間外労働が1年のうち6か月以下
仮に夜勤が36協定の範囲内であっても、上記の限度時間等を超過する場合には違法となります。
(3)適切な割増賃金が支払われない場合
午後10時から午前5時までに行われる労働(=深夜労働)については、通常の賃金に対して25%以上の割増賃金を支払わなければなりません(労働基準法第37条第4項)。夜勤の場合、大半の時間が深夜労働の割増賃金の対象です。
また、夜勤が時間外労働に該当する場合、さらに通常の賃金に対して25%以上(月60時間を超える時間外労働については50%以上※)の割増賃金が加算されます(同条第1項)。
たとえば、深夜労働と時間外労働の両方に該当する勤務時間については、割増賃金は50%以上(月60時間を超える時間外労働については75%以上※)です。
※中小企業に対しては、2023年4月から適用
夜勤に対して適切な割増賃金(残業代)が支払われない場合、労働基準法違反として違法となります。
3. 連続夜勤など、労働問題については弁護士に相談を
連続夜勤は身体的・精神的な負担が重く、常態化すれば健康を害することになりかねません。そのため会社と話し合い、連続夜勤を避けるように調整してもらうことが望ましいでしょう。
また、36協定の定めに反して夜勤を指示する会社や、夜勤に対して適切な割増賃金を支払わない会社はたくさんあります。このようなブラック企業に勤めている夜勤労働者の方は、1日も早く弁護士にご相談ください。労働条件を改善するために、法的な観点からサポートしてもらえます。
- こちらに掲載されている情報は、2023年02月14日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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