就業規則とは? 労働者が知っておくべき基礎知識
  • 2022年09月07日
  • 労働問題

就業規則とは? 労働者が知っておくべき基礎知識

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

「就業規則」は、事業場に所属するすべての従業員に対して、共通して適用されるルールです。

ご自身がどのようなルールの下で働いているかを正しく理解するために、就業規則の内容や位置づけについての知識を備えておきましょう。特に、企業が就業規則の変更によって、一方的に労働条件を変更してきた場合には、適切な対抗措置をとることが大切です。

今回は就業規則について、規定すべき事項や労働契約などとの間の優先順位、就業規則による労働条件の不利益変更などを解説します。

1. 就業規則とは? 規定すべき事項の内容

就業規則とは、事業場の全労働者に対して共通して適用されるルールです。

常時10人以上の労働者を使用する会社は、就業規則を作成したうえで、労働基準監督署に届け出なければなりません(労働基準法第89条)。また、常時使用する労働者が9人以下の場合でも、就業規則作成・届け出を行うことができます。

就業規則に規定すべき事項は、以下のとおりです。

  1. 始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務(就業時転換)に関する事項
  2. 賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算、支払いの方法、締め切り、支払いの時期、昇給に関する事項
  3. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
  4. 臨時の賃金等(退職手当を除く)および最低賃金額に関する事項
  5. 労働者の食費・作業用品その他の負担に関する事項
  6. 安全・衛生に関する事項
  7. 職業訓練に関する事項
  8. 災害補償および業務外の傷病扶助に関する事項
  9. 表彰・制裁の種類・程度に関する事項
  10. そのほか、事業場の全労働者に適用される事項

(参考:「モデル就業規則について」(厚生労働省))

2. 就業規則と労働基準法等の法令・労働協約・労働契約の優先順位

労働条件を定めるルールとしては、就業規則のほかにも労働基準法・労働協約・労働(雇用)契約があります。

  • 労働基準法:労働条件等について、使用者が順守すべき最低ラインを定める法律です。労働関係の法律で代表的な法律です。
  • 労働協約:労働条件について、使用者が労働組合と締結する協約(合意)です。
  • 労働契約:労働条件等について、使用者が個々の労働者と締結する契約です。

法律上、就業規則と労働基準法などの法令(法令とは、法律や省令等を総称した言い方です)・労働協約・労働契約の間の優先順位は、以下のとおり整理されています。

(1)労働基準法・労働協約は就業規則に優先する

最優先で適用されるのは労働基準法をはじめとした法令で、その次に優先されるのが労働協約です。

就業規則の定めのうち、労働基準法をはじめとした法令および労働協約に違反する部分は無効となります(労働契約法第13条)。

(2)就業規則と労働契約の優先順位は、周知の有無と内容次第

就業規則と労働契約は、いずれも労働基準法をはじめとした法令と労働協約に劣後します。

就業規則と労働契約の間の優先順位は、以下のルールに従って決まります(労働契約法第7条、第12条)。

①労働契約締結時に、合理的な労働条件が定められた就業規則を労働者に周知した場合

(a)労働契約と就業規則の内容が異なり、かつ就業規則上の労働条件が、労働契約上の労働条件を下回っている場合
→労働契約が適用されます。

(b)(a)以外の場合
→就業規則が適用されます。

②①以外の場合

→労働契約が適用されます。

つまり、就業規則と労働契約の内容が異なる場合に、どちらが優先的に適用されるかについては、就業規則の内容が労働者へ周知されていたかどうか、および就業規則と労働契約のどちらが労働者にとって有利かを考慮して決定されるのです。

3. 就業規則による労働条件の「不利益変更」とは?

就業規則上の労働条件が、労働者にとって有利に変更された場合、その内容は労働契約に反映されます(労働契約法第12条参照)。

これに対して、労働条件を労働者側にとって不利益に変更するためには、原則として労働者の同意が必要です(労働契約法第9条)。ただし、以下の①~③の要件をすべて満たす場合には、例外的に就業規則の変更による労働条件の不利益変更が認められます。

  • ①変更後の就業規則を労働者に周知させたこと
  • ②就業規則の変更が、以下の事情に照らして合理的なものであること
    ・労働者の受ける不利益の程度
    ・労働条件の変更の必要性
    ・変更後の就業規則の内容の相当性
    ・労働組合等との交渉の状況
    など
  • ③就業規則の変更によっては変更されない労働条件として、個別の労働契約で合意していた部分に係る変更ではないこと

上記の要件をひとつでも満たさない場合、就業規則の変更による労働条件の不利益変更は違法・無効です。もし会社が不当な労働条件の不利益変更を行った場合は、速やかに以下の窓口へご相談ください。

(1)労働基準監督署

会社の労働基準法違反等を取り締まる監督官庁です。違反を発見した場合、会社に対して行政指導や刑事処分を行います。ただし、労働基準監督署は、労働条件の不利益変更を行ったことに対しての処分をしますので、個別にあなたの労働条件について交渉などをしてくれるわけではありません。

(参考:「全国労働基準監督署の所在案内」(厚生労働省))

(2)弁護士

労働に関する法律を含む、法律の専門家です。労働条件の改善や未払い賃金の支払いなどを求めて、労働者の代理人として行動してくれます。

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  • こちらに掲載されている情報は、2022年09月06日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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