自分の給料が最低賃金を下回る月給だった場合の対処法は?

自分の給料が最低賃金を下回る月給だった場合の対処法は?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

労働基準法および最低賃金法では、労働者に「最低賃金」が保障されています。

最低賃金を下回る賃金しか支払われていない場合には、会社に対して未払い賃金を請求できるので、お早めに弁護士までご相談ください。

今回は、最低賃金制度の概要・月給制の場合における最低賃金の計算方法・労働基準法及び最低賃金法違反が生じている場合の相談先などを解説します。

1. 最低賃金とは?

最低賃金とは、労働者に最低限保障されている時給です(労働基準法第28条、最低賃金法)。過度な低賃金により、労働者が使用者から搾取されることを防止するために、使用者には最低賃金以上の賃金の支払いが義務付けられています。

最低賃金は、都道府県別および産業別に異なる金額が設定されています。

2. 月給制で最低賃金を下回っているかどうかを計算する方法

月給制の労働者が受け取る賃金が、最低賃金を下回っているかどうかを確認するためには、以下の手順で計算・比較を行います。

(1)最低賃金と比較する賃金額を計算する

以下の手当については、最低賃金と比較する賃金に算入することができません(最低賃金法第4条第3項、同法施行規則第1条)。

  • 臨時に支払われる賃金
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
  • 時間外労働手当
  • 休日労働手当
  • 深夜労働手当
  • 精皆勤手当、通勤手当、家族手当

したがって、最低賃金と比較する賃金額に算入できるのは、基本給と上記を除く手当のみです。賞与や残業代の割増賃金などは、最低賃金と比較する賃金に算入されない点に注意しましょう。

たとえば基本給15万円、役職手当1万円、残業代4万円であれば、基本給と役職手当のみを合わせた「16万円」が、最低賃金と比較すべき賃金額となります。

(2)実際の時給を計算する

最低賃金と比較する賃金額が計算できたら、所定労働時間で割って実際の時給を計算します。残業時間にかかわらず、所定労働時間を用いて計算する点に注意しましょう。

なお、月給制の場合、1か月の日数が各月で異なるため、「月平均所定労働時間」を用いて実際の時給を計算します。

月平均所定労働時間=(365日-1年間の休日日数)×1日の所定労働時間÷12か月

たとえば1年間の休日日数が125日、1日の所定労働時間が8時間であれば(1日の所定労働時間は、一般的には、雇用契約書や就業規則に記載されています。)、月平均所定労働時間は「160時間」(=(365日-125日)×8時間÷12か月)です。

最低賃金と比較すべき賃金月額が16万円であれば、実際の時給は「1000円」(=16万円÷160時間)となります。

(3)最低賃金額を確認する

最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があり、いずれか高い金額が適用されます。そのため、地域別最低賃金と特定最低賃金のどちらが適用され、その金額はいくらであるかを確認しなければなりません。

(参考:「地域別最低賃金の全国一覧」(厚生労働省))
(参考:「特定最低賃金の全国一覧」(厚生労働省))

たとえば、千葉県の地域別最低賃金は953円です(令和3年10月~)。その一方で、千葉県内における鉄鋼業の特定最低賃金は1023円となっています。

したがって、千葉県内で鉄鋼業に従事する労働者の場合、高い方の特定最低賃金が採用され、最低賃金は1023円です。

(4)実際の時給と最低賃金を比較する

最後に、実際の時給と最低賃金を比較します。

たとえば、千葉県内で鉄鋼業に従事する労働者について、実際の時給が1000円の場合、最低賃金の1023円を23円分下回っています。この場合、最低賃金法に違反し、未払賃金が発生していることになります。

3. 給料が最低賃金を下回っていた場合の対処法

最低賃金を下回る賃金しか支払われていなかった場合、会社に未払賃金の支払いを請求しましょう。

最低賃金法違反や未払賃金については、労働基準監督署または弁護士に相談できます。

(1)労働基準監督署

会社の労働基準法違反を取り締まる行政機関です。最低賃金法違反や賃金未払いを発見した場合、会社に対して行政指導や刑事処分を行います。労働基準監督署による行政指導等を受けた会社は、法令に従って賃金を支払うようになる可能性が高いです。

(2)弁護士

法律の専門家として、会社に対する未払賃金の請求をサポートしてくれます。労働者の代理人として行動するため、具体的なきめ細かいサポートを受けられるのがメリットです。

特に、過去の未払賃金をスムーズに請求したい場合には、弁護士への相談がおすすめです。最低賃金法違反の有無を確認したい方、未払賃金の請求を検討している方は、一度弁護士までご相談ください。

弁護士JP編集部
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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2022年09月12日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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