解雇と退職の違いとは。損をしないためのポイント
  • 2022年06月14日
  • 労働問題

解雇と退職の違いとは。損をしないためのポイント

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

会社から解雇されたにもかかわらず、退職した会社から送られてきた離職票の離職理由が「自己都合退職」と記載されていることがあります。離職理由が自己都合退職であるか、会社都合退職であるかは、失業保険の受給などの面で大きな違いがありますので、適切な離職理由になっていなければ、思わぬ不利益を被ることもあります。

今回は、解雇と退職の違いや離職後に損をしないためのポイントについてわかりやすく解説します。

1. 解雇と退職

解雇と退職はいずれも労働契約を終了させるという点では共通しますが、全く別のものです。以下では、解雇と退職の違いについて説明します。

(1)解雇とは

解雇とは、使用者によって一方的に労働契約を終了させられることをいいます。退職とは異なり、解雇を告げられた労働者には、解雇を受け入れるかどうかという選択肢はありません。解雇に納得がいかない場合には、不当解雇であるとして争うことになります。

解雇には、以下のように普通解雇、懲戒解雇、整理解雇の3種類がありますが、いずれの解雇であったとしても、会社側が一方的に行うものですので、離職理由は原則として「会社都合退職」として扱われます。

①普通解雇

普通解雇とは、労働者による労働契約違反などの債務不履行を理由に労働契約を終了させることをいいます。普通解雇の例としては、労働者の能力不足や成績不良による解雇、遅刻や欠勤が続くなどの勤怠不良による解雇、病気や怪我などによって労務を提供することができない場合の解雇などがあります。

ただし、解雇については厳格な法規制があり、客観的に合理的な理由を欠き、または、社会通念上相当であると認められない場合には、不当解雇として無効です(労働契約法16条)。

②懲戒解雇

懲戒解雇とは、労働者に重大な規律違反や非違行為があった場合に、制裁としての懲戒処分としてなされる解雇のことをいいます。会社の経費を流用したような業務上横領行為があった場合、部下に対する執拗なセクハラ行為があった場合などに懲戒解雇がなされます。

懲戒解雇は、労働者に重大な不利益を及ぼすものですので、普通解雇の要件だけでなく、懲戒処分の要件を満たす必要があります(労働契約法15条)。

③整理解雇

整理解雇とは、業績不振など会社の経営上の理由によってなされる解雇のことをいいます。普通解雇や懲戒解雇は労働者に何らかの落ち度があってなされるものですが、整理解雇は専ら会社側の都合によって行われるという違いがあります。

整理解雇は、何ら非のない労働者に対して重大な不利益を与えるものですので、他の解雇に比べてその有効性は厳格に判断されます。具体的には、業務上の必要性、解雇回避努力義務、人選の合理性、手続きの適正性といった4つの要素から総合考慮され、有効性が判断されることになります。

(2)退職とは

退職とは、労働者からの申し出または労働者と使用者との合意によって労働契約を終了することをいいます。労働者の申し出によって退職する場合には退職届を提出し、労働者と使用者との合意による退職(依願退職)の場合には退職願を提出するのが一般的です。

解雇とは異なり、労働契約を終了させるかどうかについて、労働者が決めることができるという違いがあります。退職は、転職や結婚、出産など労働者側の都合によってなされるものですので、離職理由としては「自己都合退職」とされます。

なお、会社側から「この仕事には向いていないから辞めたらどうか」などと退職勧奨を受けることがあります。退職勧奨は、使用者から労働者に対して退職を勧めるものですが、退職するかどうかは労働者の意思に委ねられていますので、解雇とは異なるものです。

退職勧奨の結果として退職する場合でも、最終的に退職届を提出するなどして合意退職する場合には、「自己都合退職」とされてしまう可能性がありますので、会社と交渉して「会社都合退職」とするのが重要です。

2. 適切なものではなかった場合、何か影響がある?

自己都合退職か会社都合退職かによって、退職後の失業保険の受給などで大きな違いが生じます。そのため、退職理由については、不利にならないように適切なものを選択することが重要です。

(1)失業保険の受給資格

会社都合退職の場合は、「雇用保険の被保険者である期間が退職前の1年間に通算して6か月以上あること」が必要になりますが、自己都合退職の場合には、「退職前の2年間に通算して12か月以上あること」で足ります。

そのため、失業保険の受給資格の面では、会社都合退職の方が有利です。

(2)失業保険の支給日

会社都合退職の方が、自己都合退職に比べて、失業給付金を早く受給することができます。会社都合退職の場合は、求職の申し込みをしてから7日間経過した後に受給できますが、自己都合退職の場合は、原則としてそこからさらに2か月経過しなければ受給することができません。

(3)失業保険の支給期間

会社都合退職の方が、自己都合退職に比べて、失業保険の基本手当の支給期間が長くなります。会社都合退職の場合は「90日から330日」ですが、自己都合退職の場合には「90日から150日」ですので、会社都合退職の方が有利に扱われます。

(4)解雇予告手当の支払い

解雇の場合は、30日前の解雇予告または30日分の解雇予告手当の支払いが必要になります(労働基準法20条)。しかし、合意退職の場合には、解雇予告手当の支払いはされません。

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  • こちらに掲載されている情報は、2022年06月10日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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