残業の多い総合商社。未払い残業代を請求するなら弁護士に相談すべき理由

残業の多い総合商社。未払い残業代を請求するなら弁護士に相談すべき理由

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

総合商社というと「国際的に活躍するエリート」というイメージがありますが、「仕事は忙しく長時間残業も当たり前だ」ということもよく言われます。これまでは出世のためにサービス残業を受け入れていた人も多かったようですが、働き方改革やテレワークの普及がすすんだことで、サービス残業の問題も浮き彫りになっているのです。

これまでの未払いの残業代を請求する場合、どのようにすればよいのか知りたいという人もいると思います。そこで今回は、未払い残業代を会社に請求する方法について解説します。

1. 総合商社で残業が多い理由

商社とは、簡単に言うと商業を営む会社です。物を安く仕入れてきてそれを高く売ることが商売となっています。仕事の仕組みとしては、商店街にあるような個人商店と同じことをしている、と言えるのです。

ただ、事業規模は個人商店とは比べ物になりません。たとえば財閥系の総合商社などでは、何億円という単位で国際的な取引が行われることもあるのです。

また、海外から物を仕入れるだけでなく、その物流自体も自社で行われることがあります。商品を運ぶためには保険もかけなければならないので、保険会社に出資をするなどして間接的に保険事業も行っています。その他、コンビニなどの店舗運営やそれを管理する情報システムを作ったりもしています。このように何でもやるのが「総合商社」です。

総合商社だからと言って、全ての部署で残業が多いというわけではありません。一般の会社と同様、総務や経理などもありそのような部署における業務は他の会社と変わりません。

他方、国内で営業を主にしている部署や国際的な取引を担当している部署は、他の会社に比べて忙しいと言われています。商社に限らないことですが、営業部門には「ノルマ」が存在するため、ノルマを達成するために時間を問わずに仕事を行い、残業になることが多くなります。

また、国際的な取引をしている部署では、取引先の国の営業時間が日本との時差の関係で夜中になる場合、深夜に連絡をとったりすることがあるため残業になることがあります。

以上のとおり、総合商社も通常の会社と同様、部署によって残業が多いところとそうでないところがあるということです。

2. 未払い残業代を会社に請求する方法は?

(1)証拠を収集

残業代の請求をするためには、どれだけ残業したかを明らかにする必要があります。タイムカードがある場合には、タイムカードで残業代を明らかにします。もしタイムカードがない会社の場合には、何時まで残業したかをメモや日報に付けておく必要があるのです。

また、会社と争いになる場合があるため、会社の同僚などに自分が残業していたことを証言してくれるように依頼する、という方法もあります。

しかし、会社が「残業代は支払っている」と主張する可能性があります。そのため、「残業代が支払われていない」という事実を証明するために、給与明細は捨てずに保管しておくことが重要になります。また、給与明細の根拠を明らかにして、請求金額を計算するために会社の就業規則が必要となる場合もあります。

(2)請求の方法

残業代は会社に直接請求することからはじめます。会社が何も言わず支払ってくれた場合には、問題は全て解決します。しかし、会社が残業と認めない場合には、別の方法を採る必要があります。方法の1つとして、労働基準監督署への相談があります。

労働基準監督署に相談した場合には、労働基準監督官が会社に対する調査を行います。調査の結果、未払い残業代が発覚すれば、会社に勧告が行われます。勧告を受けて残業代を支払う会社もありますが、勧告には強制力がないため、会社が任意に支払わない場合には強制的に残業代を支払わせることはできません。

その他の方法として、裁判所で行う労働審判や訴訟(裁判)があります。

労働審判では、裁判所が双方の当事者から意見を聞いたうえで、双方が合意して調停が成立するか、裁判所が審判を下すことにより終了する手続きです。3回程で終了するため、訴訟よりも短期間で終了します。ただし、労働審判に異議が出された場合や、裁判所が労働審判手続きが適切でないとして終了させた場合には、裁判手続きに移行することになります。

このように労働審判から裁判に移行する場合もありますが、労働審判をせずに最初から訴訟を行うことも可能です。どちらを選択するかは、証拠の有無や内容、会社の姿勢により検討する必要があります。

裁判は1年程度はかかります。裁判をする場合には弁護士に依頼するのが一般的です。

弁護士に依頼するメリットは、裁判への出席や書面の作成などを任せることができることのほか、裁判外での会社とのやり取りもすべて任せることが挙げられます。

訴訟の前段階として、会社に直接請求する場合も弁護士を通して請求することで、会社としては(元)従業員本人から請求されるよりも無視しにくくなり、真剣に対応する必要があると認識する可能性が高くなるため、それまで門前払いだったとしても、交渉のテーブルについてくれる可能性が高くなります。

総合商社では長時間の残業がなされていることも多く、多額の残業代が発生している可能性があります。未払いの残業代がありそうだという場合には、弁護士に依頼し証拠を揃えるなどして、未払い残業代を請求することができます。自分で交渉が難しいと思う場合には、弁護士の活用も考えてみてはいかがでしょうか。

弁護士JP編集部
弁護士JP編集部

法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2022年02月06日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

お一人で悩まず、まずはご相談ください

まずはご相談ください

労働問題に強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?

弁護士を探す

関連コラム

労働問題に強い弁護士