雇止めとは何か?

雇止めとは何か?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

契約社員として同じ会社で何回も契約の更新をしていたにもかかわらず、突然、「次の契約は更新しない」と言い渡されることがあります。非正規雇用である以上、期間満了によって契約が終了することについてはやむを得ない面もありますが、一定の状況では、契約更新に対する労働者の期待も保護する必要があります。

今回は、このような非正規労働者の雇止めに関する問題と平成25年4月から導入された無期転換ルールについて、解説します。

1. 雇止めとは

以下では、雇止めの概要と解雇との違いについて説明します。

(1)雇止めの概要

雇止めとは、契約社員や非正規労働者などと呼ばれる期間の定めのある労働契約を締結している労働者との労働契約について、期間満了時に更新をすることなく、終了させることをいいます。

期間の定めのある労働契約を締結している場合には、契約期間中の解雇は、やむを得ない事由がなければできないなど、契約期間中の地位は強く保障されています(労働契約法17条1項)。

しかし、期間の定めのある労働契約は、期間満了で終了することが前提となっていますので、雇止めにより労働契約を終了させたとしても、原則として違法とはなりません。

(2)雇止めが無効になる場合

雇止めは、原則として違法にはなりませんが、複数回契約の更新が繰り返され、契約更新の期待が生じている場合や期間の定めのない労働契約と実質的に変わらない状態になっている場合には、例外的に雇止めが無効になることがあります(労働契約法19条)。

雇止めが無効になるかどうかについては、以下のような基準を総合考慮して判断します。

  • どのような業務を担当しているか、その業務は継続されるか
  • 契約上の地位はどんなものか、労働条件は正社員とどのくらい違うか
  • 当事者が継続雇用を期待させることを言っていないか、継続雇用をするつもりだったか
  • 更新手続きは厳格に行われていたか、契約更新の状況
  • 他の労働者は雇止めに遭っていたか、それとも契約更新されていたか
  • 有期労働契約を結んだ背景、勤めている年数、年齢上限設定があるか など

(3)雇止めと解雇との違い

解雇とは、会社が一方的に労働者との労働契約を終了させることをいいます。解雇と雇止めには、使用者が労働者との労働契約を終了させるという共通点があります。

しかし、有期労働契約を締結している労働者との関係では、期間中の解雇は、やむを得ない事由がなければできないなど厳格な規制がなされています。これに対して、雇止めについては、そのような厳格な規制はなく、期間満了によって労働契約を終了させたとしても原則として違法にはなりません。

2. 無期転換ルールとは

平成24年8月に成立した改正労働契約法(平成25年4月1日施行)によって新たに無期転換ルールが導入されました。以下では、無期転換ルールについて説明します。

(1)無期転換ルールの概要

無期転換ルールとは、同じ使用者との間の有期雇用契約が、5年を超えて更新された場合、労働者からの申込みによって、無期労働契約に転換できるルールのことです(労働契約法18条)。

このような無期転換ルールが導入された背景には、多くの有期雇用労働者が無期雇用労働者と変わらずに働いているという実態があるのに、無期雇用労働者のようには守られていないという状況があります。

なお、無期転換申込権が発生した労働者から申込みがあった場合には、無期労働契約が成立し、使用者はそれを断ることはできません。

(2)無期転換の条件

有期雇用労働者に無期転換申込権が発生するのは、以下のような条件を満たした場合です。

①有期労働契約の通算期間が5年以上

無期転換申込権の発生には、2回以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間が5年を超えていることが必要になります。たとえば、契約期間が1年の有期労働契約を締結している場合には、5回更新した6年目に無期転換の申込権が発生します。また、契約期間が3年の有期労働契約を締結している場合には、1回目の更新後の4年目に無期転換の申込権が発生します。

②契約の更新回数が1回以上

無期転換申込権が発生するためには、契約の更新が1回以上行われていることが必要です。

③現時点で同一の使用者との間で契約している

通算5年を超えて契約をしてきた使用者との間で、現在も有期労働契約を締結していることが必要です。

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