会社が解雇理由証明書を出してくれない場合、どのように請求すべきか
会社から解雇を言い渡された場合には、突然のことで混乱してしまいどのように対応してよいかわからないことも多いでしょう。会社から解雇された理由に心当たりがないという場合には、不当解雇である可能性もあります。そのような場合には、まずは、会社に対して「解雇理由証明書」の発行を求めることが不当解雇を争うための第一歩となります。
今回は、解雇された労働者に向けて、解雇理由証明書とその請求方法について解説します。
1. 解雇理由証明書とは
解雇理由証明書とはどのようなもので、なぜ必要になるのでしょうか。以下では、解雇理由証明書についての基本的事項について説明します。
(1)解雇理由証明書とは何か
解雇理由証明書とは、労働者を解雇した理由について記載された書面のことをいいます。労働基準法では、労働者から解雇理由証明書の発行を請求された場合、使用者は遅滞なく交付しなければならないとされています(労働基準法22条1項2項)。
解雇理由証明書は、解雇時に会社から交付される「解雇通知書(解雇予告通知書)」や「離職票」とは別の書面です。労働者の側からの請求がなければ、会社には解雇理由証明書を発行する義務はありませんので、解雇時には必ず請求するようにしましょう。
(2)解雇理由証明書を請求する目的
解雇理由証明書を請求する目的は、主に不当解雇を争うための証拠とする点にあります。
会社が労働者を正当に解雇するためには、客観的に合理的な理由と解雇が社会通念上相当であるという要件を満たす必要があります(労働契約法16条)。解雇理由証明書には、会社がどのような理由で労働者を解雇したかが詳細に記載されることを求められているので、後日解雇の無効を争う準備をする上でも重要な証拠となります。
また、会社がどのような解雇理由で解雇したかを、きちんと書面に記載させることによって、後から言い逃れをすることができなくなるという効果も期待できます。
(3)解雇理由証明書を請求するタイミング
解雇された後時間が経過してしまうと、労働者側で解雇を争ってきた場合に備えて、会社側が解雇理由を偽装することで正当な解雇であるかのように装う可能性があります。
そのため、解雇理由証明書を請求するタイミングとしては、会社から解雇を告げられてからすぐに請求するとよいでしょう。
会社は、労働者からの解雇理由証明書の請求があった場合には「遅滞なく」交付しなければなりませんので、早期に請求することで会社側の偽装工作を防止することができます。
なお、解雇理由証明書は、退職後も請求することができますが、解雇から2年で時効となりますので注意が必要です。
2. 解雇理由証明書の請求方法
解雇理由証明書を請求する場合には、以下の方法で請求するとよいでしょう。
(1)口頭での請求
解雇理由証明書の請求方法については、法律上特に決まりはありません。そのため、労働者としては、会社に対して口頭で「解雇理由証明書の交付を求めます」と申請することで足ります。
(2)書面での請求
口頭で請求したが会社が応じてくれない場合や会社と争いがあるような場合には、書面で請求するとよいでしょう。
解雇理由証明書の交付は、会社の義務とされており、それに違反した場合には30万円以下の罰金に処せられることになります(労働基準法120条1号)。内容証明郵便を用いると、会社に対して解雇理由証明書の請求をしたことの証拠を残せるというメリットがあります。
(3)解雇理由証明書が発行されないときは労働基準監督署に相談
口頭や書面で解雇理由証明書を請求したにもかかわらず、相当期間が経過しても解雇理由証明書が発行されないときには、労働基準監督署に相談をしてみるとよいでしょう。
解雇理由証明書の不発行は、労働基準法に違反し、罰則の適用もある行為ですので、違反をした事業者に対しては、労働基準監督署から是正勧告がされることになります。これによって、会社から任意で解雇理由証明書の発行がなされることが期待できます。
3. 早めに弁護士への相談を
いずれにしても、解雇理由証明書の発行を求めるタイミングにあるということは、その後、解雇の効力を争うところまで来ていることになります。解雇証明書に記載されているものに理由があるのかを判断するには、解雇に関する法律の理解が必要です。以上のような手続をどう進めて行くかも含めて、弁護士に相談するのが有益でしょう。
- こちらに掲載されている情報は、2021年08月10日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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