残業代が出ない! 請求する場合に必要な証拠と計算方法とは
  • 2021年08月03日
  • 労働問題

残業代が出ない! 請求する場合に必要な証拠と計算方法とは

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

「毎日遅くまで残業しても残業代が出ない‥。」「残業代は固定給に含まれていると言われ、長時間労働を強要される‥。」

このような環境で働いている場合には、未払い残業代を会社に請求できる可能性があります。しかし実際に請求しようと考えていても、「どのような証拠があればいいか」、「未払い残業代はどうやって計算すればよいのか」という問題に突き当たります。

1. 残業したことを証明する証拠とは

「どのような証拠があればいいか」について、みていきましょう。

(1)なぜ残業代請求に証拠が必要?

残業代は、直接請求したり、労働審判や裁判で請求したりすることができます。

しかし証拠なく会社に請求しても、会社側は「残業の事実はなかった」「少しは残業があったかもしれないが、請求額ほどではない」などと言い逃れできてしまいます。

また労働審判や裁判では、裁判所は証拠から事実を判断するほかなく、請求を認めてもらうためには労働者側が証拠を提出する必要があります。

なお残業代未払いについては、弁護士や労働基準監督署などに相談することもできますが、その際にも、できる限りの証拠をそろえていく方がスムーズに話を進められます。

(2)残業代請求に必要な証拠とは

残業代請求には、「どれぐらい残業したのか」を示す記録などが必要です。

退職してしまうと収集が難しくなる可能性があるので、できるだけ在職中から日常的に収集することをおすすめします。

①タイムカードや日誌など

タイムカードで出退勤を管理している職場であれば、タイムカードをコピーして証拠として保管しておきましょう。

タイムカードを採用していない職場でも、出退勤が記録されている業務日誌などがあれば証拠になります。

②PCやFAXなどの記録

たとえば夜遅く会社のPCから取引先にメールを送信していたような場合には、そのメールの送信履歴も証拠になる可能性があります。

またFAXの送信時間やPCのログイン・ログオフの履歴も残業していたことを示す証拠になる可能性があります。

③スマホのやり取りやメモなど

たとえば家族に「これから事務所を出て家に帰る」と伝えているようなLINEも、残業の証拠になることがあります。

また日記やメモなどの自分で残業を記録したものでも、証拠になることもあります。

④通勤定期など

Suica(スイカ)などを通勤定期として使用している場合には、利用した日時の履歴が残されている可能性もあります。このような記録も残業を示す証拠となりえます。

⑤給与明細や就業規則、雇用契約書など

残業に対してどのような規定が設けられているのか、残業代として支払われていたのはいくらだったのかなどを確認できる証拠になり、普段の勤務形態から一定の推計ができることもあります。

これらの証拠だけでなく、証拠になりそうだと思ったものは収集しておくようにすることが大切です。

2.残業代の計算方法

「どうやって未払い残業代を計算すればよいのか」について、みていきましょう。
会社側に未払い残業代請求を行う場合には、証拠にもとづいて残業時間を把握し、残業代を計算する必要があります。

(1)一般的な残業代の計算方法

残業代は、一般的に、次の計算式で求めることができます。

「1時間あたりの賃金の金額 × 時間外労働などを行った時間 × 割増賃金率」

「1時間あたりの賃金の金額」は、月給制であれば、

「月の基礎賃金(基本給+諸手当)÷ 1か月の所定労働時間」

で計算できます。

そして証拠から把握した残業時間を計算式にあてはめますが、その労働時間が時間外労働・休日労働・深夜労働のいずれにあたるのかを区別しておく必要があります。

というのも、その残業時間がどの労働にあたるのかによって、割増賃金率が変わる可能性があるためです。

なお労働基準法で定める割増賃金率は、

法外残業 25%以上
月60時間超 50%以上
法定休日労働 35%以上
深夜労働 25%以上

とされており、状況によってそれぞれが組み合わさります。法定、法外など労働基準法に基づいた区分けとなるため、厳密に算定していくには、法律家へ相談すべきでしょう。

なお、会社でこれを上回る割増賃金率を定めていれば、その率によるので、就業規則などで確認する必要があります。

(2)固定残業代の計算方法

固定残業代は、一定時間分の残業代を含めた金額を固定給とする制度です。しかし含まれている残業時間を超えて残業すれば、残業代を請求できます。

たとえば月給20万円(10時間分の残業代2万円を含む)などとされていれば、10時間を超える残業について残業代請求ができます。

固定残業代における、残業代の計算方法の考え方は、一般的な残業代の計算方法と大きく変わるわけではありません。しかし何時間分の残業代が含まれているかに注意を払いながら、1時間あたりの賃金の金額を計算する必要があるでしょう。

固定残業代の制度が適用される場合には、未払い残業代があることも少なくないので、一度弁護士などに相談してみることをおすすめします。

弁護士JP編集部
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  • こちらに掲載されている情報は、2021年07月30日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。