退職したい人が弁護士の無料相談を利用するメリットと注意点
監修弁護士
齊田 貴士 ベリーベスト法律事務所
労働者は、原則として自分の意思で自由に退職できます。しかし、会社から在職を強要されるケースや、退職が受け入れられても退職金の支払いを拒否されるケースなど、トラブルに発展することも多いです。
そんなときは、弁護士の無料相談を利用して専門的なアドバイスを受けるのがおすすめです。
本コラムでは、退職したい人が弁護士の無料相談を利用するメリットと注意点について、分かりやすく解説します。
1. 退職問題で弁護士の無料相談を利用するメリット
近年では労働問題で無料相談を受け付けている法律事務所も増えていますが、無料で利用できるのは初回の30分~60分程度のみとしているところが多いです。なお、有料での相談の場合、30分につき5000円程度(税別)かかるのが相場となっています。
無料相談には時間的な制約がありますが、それでも、退職問題で弁護士の無料相談を利用する場合、以下のメリットを期待できます。
(1)解決への筋道が見つかる可能性がある
労働者には退職の自由が認められているとはいえ、「期限の定めのない労働契約」の場合、退職する際には退職日の2週間前までに申し出なければならない(民法627条1項)など、退職に関するルールが法律で細かく定められています。
専門的な知識が不足していると、退職をめぐって会社側とトラブルになることも少なくありません。そのため、退職問題については一人で悩むよりも、法律の専門家である弁護士に相談することで、解決への筋道を見つけやすくなるといえます。
労働基準監督署やハローワークでも退職問題を無料で相談することは可能ですが、一般的なアドバイスは得られても、満足できる形で解決するためにどうすればよいのか、といったアドバイスは、あまり期待できません。
なお、弁護士には退職代行を依頼することもできます。退職代行業者は数多く存在していますが、弁護士以外の退職代行業者にできることは、ただ退職する旨の意向を会社に伝えて、事務的な手続きを代行することだけです。
退職をめぐる法律的な問題について会社と交渉することは、弁護士にしかできない(弁護士法72条)ことにご注意ください。
(2)「相談だけ」で解決することもある
場合によっては、弁護士に相談するだけで退職問題が解決することもあります。
たとえば、退職したいという理由だけで退職できるのか、退職するためにどのような手続きを取ればよいのか、などを知りたいだけの場合は、相談だけで解決するでしょう。
会社が辞めさせてくれないような場合にも、どのようなポイントに注意して交渉すればよいのかについて具体的なアドバイスを受けることで、解決につながる可能性もあります。
2. 退職問題の無料相談で弁護士に相談できること
弁護士には、退職に関する法律問題なら、どんなことでも相談できます。特に、以下の問題についてはトラブル事例も多いことから、経験豊富な弁護士の無料相談を利用することで、適切なアドバイスを受けることが可能です。
(1)会社が辞めさせてくれないときの対処法
雇用期間の定めがない場合、労働者はいつでも退職を申し出ることが可能であり、申し出た日から2週間が経過すると退職できます(民法627条1項)。
これに対し、雇用期間の定めがある場合は、病気や家族の介護などのやむを得ない事情がない限り、基本的には期間が満了するまで退職できません(民法628条参照)。ただし、雇用契約の成立から1年が経過した後は、いつでも退職できます(労働基準法137条)。
労働者が以上のルールに従って退職を申し出たにもかかわらず、会社が辞めさせてくれない場合は、会社側の対応が違法です。労働者としては、内容証明で退職届を会社に送付するなどにより、一方的に退職することもできますし、話し合いによって円満な退職を目指すのもよいでしょう。
弁護士の無料相談では、相談者の希望や具体的な状況に応じて、会社に提出すべき書類や、会社と話し合う際に注意すべきポイントなどについてアドバイスが受けられます。
(2)一方的に退職するとペナルティーを受けるのか
法律上のルールに従って退職する限り、一方的な退職であってもペナルティーを受けることはありません。
しかし、以下のようなケースはルールに反しているため、会社に損害が生じた場合には損害賠償義務が発生することがあるので、注意が必要です。
- 無期雇用で2週間以上前に予告をせず退職した
- 有期雇用でやむを得ない事情がないのに期間内に退職した(雇用契約から1年以内の場合)
- 無断欠勤を続けたまま退職した
- 引き継ぎをしなかった
- 特定の業務を担当するために採用した労働者が入社後すぐに退職した
- 退職する際に他の従業員も引き抜いた
弁護士の無料相談では、どのような場面で、どのような行為が損害賠償の対象となるのかについて、個別具体的なアドバイスが受けられます。
(3)未払い給料の請求方法
残業代などの未払い給料は退職後でも請求できますが、放置していると消滅時効が完成して回収できなくなる可能性もあるので、早めに請求することが大切です。
ただし、未払い給料を請求するためには、労働者側で金額を計算しなければなりませんし、就業規則や勤怠管理の記録などの証拠も確保しなければなりません。退職後に証拠を収集するのは難しいことが多いので、なるべく在職中に準備を進めた方がよいでしょう。
弁護士の無料相談では、確保すべき証拠の種類や集め方から未払い給料の計算方法、会社への請求方法、交渉におけるポイントなど、未払い給料を回収するまでの流れについて、具体的なアドバイスが受けられます。
(4)退職金の支払いを拒否されたときの対処法
一方的に退職をすると、会社に退職金の支払いを拒否されるケースも多いです。しかし、会社に退職金制度があり、支給条件を満たしていれば、一方的な退職であっても退職金を請求できます。
未払いの退職金についても、消滅時効が完成する前に金額を計算し、証拠をそろえて請求することが大切です。
弁護士の無料相談では、退職金の請求権の有無から、請求できる場合の請求方法についてまで、具体的なアドバイスが受けられます。
(5)退職の際に有給休暇を消化できるか
未消化の有給休暇がある場合は、退職時に消化できます。会社はこれを拒否することはできませんし、買い取りを強制することもできません。ただし、労働者側から買い取りを提案することは認められます。
もし、退職前の有休消化に会社が応じない場合には、未消化の日数分の給料を、未払い給料として請求することになるでしょう。
弁護士の無料相談では、有休消化について会社を説得するためのポイントや、会社が応じない場合の未払い給料の請求方法などについて、具体的なアドバイスが受けられます。
(6)退職代行を利用してもよいのか
退職する際には、退職代行を利用しても問題ありません。
ただし、先ほども説明したとおり、弁護士以外の退職代行業者は、退職に関する法律問題について会社と交渉することはできません。弁護士ではないにもかかわらず交渉まで請け負う業者は弁護士法に違反していますので、利用するのは控えた方がよいでしょう。
退職代行を利用したいなら、まずは弁護士の無料相談を利用するのがおすすめです。
3.弁護士の無料相談を利用する場合の注意点
先ほども説明しましたが、弁護士の無料相談は初回の30分~60分程度だけが無料であり、その時間を過ぎると有料相談に切り替わる事務所が多いです。
このように短い相談時間で有益なアドバイスを得るためには、事前に相談したいことをまとめておき、相談時には弁護士に要領よく事情を伝えることが重要となります。
また、弁護士によっては、無料相談では簡単な説明のみにとどめ、有料相談の場合のように真剣には対応してくれない可能性もあります。そのため、無料相談で納得のいくアドバイスが受けられなかった場合には、複数の事務所で無料相談を利用してみるのもよいでしょう。
4.退職問題を無料で相談する弁護士の選び方
退職問題で弁護士の無料相談を利用するなら、労働問題の解決実績が豊富な弁護士を選ぶことが大切です。弁護士はそれぞれ専門分野が異なるため、労働問題に関する実績が乏しい弁護士に相談した場合には、退職問題について有益なアドバイスが受けられない可能性があることにご注意ください。
また、相談後に依頼することも視野に入れて、料金体系が適切な事務所を選んだ方がよいでしょう。法律事務所のホームページにはほとんどの場合、依頼した場合に必要な弁護士費用が掲載されていますので、相談前に確認しておきましょう。
さらに、話しやすく、説明が分かりやすい弁護士を選びたいところです。弁護士の人柄は実際に相談するまで分からないこともありますが、インターネット上の口コミなどで評判をチェックするのもよいことです。
複数の事務所で無料相談を利用しても構いませんので、労働問題の解決実績が豊富にあり、ご自身と相性の良い弁護士を見つけて相談するようにしましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2025年07月09日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。