
- (更新:2025年03月26日)
- 労働問題
労働問題の相談|自分を守るための基礎知識、相談先や費用を解説
賃金の未払い、長時間労働、不当解雇、ハラスメントなど、働くうえで直面する労働問題は多岐にわたります。「これはおかしい」と感じたら、適切な相談先に相談することが重要です。
本コラムでは、労働問題に関する基礎知識や、相談のタイミング、具体的な相談先、相談費用や解決までの流れを解説します。適切な対応を知ることで、自分の権利を守り、働きやすい環境を整える一助となるでしょう。
1. 労働問題とは?主な種類や労働関係の法律
(1)主な労働問題の種類
労働問題とは、企業と労働者の間で発生するトラブルや課題の総称を指します。主に、賃金トラブル、労働時間や休日に関する問題、ハラスメント、不当解雇などが典型例として挙げられます。
労働問題に適切に対処するためには、関連する法律や労働者としての権利を正しく理解しておくことが重要になります。
(2)労働に関する法律
労働問題に関する重要な法律は、主に以下のとおりです。
-
労働基準法
労働条件の最低基準を規定する法律
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労働契約法
労使間の契約関係を公平に保つための法律
-
男女雇用機会均等法
雇用の分野における、男性と女性の均等な機会と待遇の確保を図ることを目的とする法律
-
労働安全衛生法
職場環境の安全と健康を確保するための法律
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労働施策総合推進法(パワハラ防止法)
職場での嫌がらせやパワハラを防ぐための法律
(3)労働者が知っておくべき基本的な権利
労働者には、法律によってさまざまな権利などが保障されています。以下はその一部です。
-
賃金を受け取る権利
提供した労働に対して、適切な報酬を受け取る権利
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適切な労働時間を確保する権利
法律で定められた労働時間や休憩時間を守られる権利
-
ハラスメントに対する保護
事業主は、ハラスメント防止のために雇用管理上必要な措置を講じなければならない
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解雇に対する保護
従業員を解雇する場合は合理的な理由が必要になるほか、必要な手続きを遵守しなければならない
-
団体行動権
労働組合に加入し、団体交渉を行う権利
2. 労働問題の相談をするべきタイミングとは
労働問題が生じた場合、早期に対応・相談することで、トラブルを未然に防ぐことができます。ここでは、トラブルの初期段階での対処方法や、相談先の選び方について解説します。
(1)トラブルの初期段階での対処方法
①まずは冷静に状況を把握する
労働問題が発生した際は、以下のポイントを意識しつつ、冷静に状況を整理することが重要です。
- トラブルの発生日時や内容を詳細に記録し、関与した人物や出来事を具体的にメモに残す
- 現在の状況がどの法律や契約に違反しているのか確認する
- 金銭的な損害だけでなく、精神的負担や健康への影響も整理する
なお、トラブルの証拠となるメール、勤務記録、給与明細などを可能な限りそろえておくと後に役立ちます。
②会社との直接の話し合い
労働問題は会社との話し合いで解決する場合もあります。上司や人事部に状況を説明し、冷静に交渉することが重要です。
話し合いの際には、感情的にならない、状況を裏付ける証拠を提示するなどの点に注意しましょう。
(2)労働問題の相談先と選び方
会社との話し合いで解決できそうにない場合は、専門機関や専門家への相談を検討しましょう。
①労働問題の無料相談先
労働問題に関する主な無料相談先は、以下のとおりです。
相談先 | 概要 | 相談方法・受付時間 |
---|---|---|
労働基準監督署 | 労働基準法をはじめとした労働関連の法令を守っているかを監督する機関 | 相談方法:電話・来所相談 受付時間:月曜日〜金曜日9時00分~17時00分 ※各労働基準監督署により異なる |
総合労働相談コーナー | 労働局や労働基準監督署内に設置される、労働問題全般の相談受付、助言・指導・紛争あっせんを案内する機関 | 相談方法:電話・来所相談 受付時間:月曜日〜金曜日9時00分~17時00分 ※各都道府県の所在地による |
労働組合 | 労働条件の維持や改善を目的とする団体 | 労働組合により異なる |
労働条件相談ほっとライン | 労働基準関係法令に関する問題について、専門知識を持つ相談員が、相談対応や各関係機関の紹介などを実施する電話相談窓口 | 相談方法:電話(電話番号:0120-811-610) 受付時間:月曜日〜金曜日17時00分〜22時00分、土日祝日9時00分〜21時00分 |
②弁護士や司法書士などの専門家への相談
無料相談だけでは解決が難しそうな場合、弁護士や司法書士へ相談して、専門的なアドバイスを受けるようにしましょう。特に、裁判や労働審判を視野に入れる場合は、専門家への相談がほぼ必須といえます。
③相談先を選ぶポイント
相談先を選ぶ際には、問題別・状況別に相談先を選ぶようにしましょう。
たとえば、労働関係法令の違反であれば労働基準監督署に相談する、労働者の労働条件の維持や改善が目的であれば労働組合に相談する、訴訟を視野に入れている場合はあらかじめ弁護士や司法書士に相談するなど、問題の内容に適した相談先を選ぶのがおすすめです。
3. 労働問題の相談にかかる費用と対応の流れ
ここから、公的機関や専門家に相談する際の費用について解説します。
(1)相談にかかる費用の目安
- 公的機関への相談費用(労働基準監督署・総合労働相談コーナーなど)
- 弁護士、司法書士の相談費用
基本的に、無料で利用できます。
相談費用の相場は、以下のとおりです。
- 相談料:30分あたり5,000円(初回相談無料の法律事務所あり)
- 着手金:10万円〜30万円前後
- 成功報酬金:獲得できた金額の10~20%程度
もっとも、料金体系は事務所ごとに異なるので、事前に確認することをおすすめします。
(2)費用を抑える方法
弁護士・司法書士に相談する場合でも、費用を抑える方法があります。
- 法テラス(日本司法支援センター)の利用
- 複数の事務所で見積もりを取る
法テラスに相談すれば、同一の問題について3回までの無料法律相談や、弁護士・司法書士費用等の立替え制度を利用できます。
もっとも、利用するにあたっては事前の予約が必要になるほか、収入や資産などが一定基準以下でなければならない点には注意が必要です。
弁護士や司法書士に依頼する際、複数の事務所で費用の見積もりを取ることも有効です。
もっとも、複数相談することで時間と手間がかかる点には注意が必要です。
(3)相談から解決までの流れ
専門家に伝えた場合の労働問題の解決までの一般的な流れは、以下のとおりです。
-
初回相談
問題の概要を専門家に伝え解決の方針を話し合うほか、費用感や進行スケジュールについても確認します。
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調査
証拠の精査や事実関係の確認を行います。たとえば、残業代を請求するような場合は勤務時間を証明できる書類、不当解雇を争う場合は解雇理由証明書などが必要になります。
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交渉
会社側に対する要求内容を内容証明郵便で送付します。会社側の反応により、今後どのように解決を目指すのか検討します。
-
労働審判や裁判
交渉で解決しない場合は、労働審判による解決を目指します。労働審判でもまとまらない場合、訴訟に移行することになります。
(4)証拠の保全が重要
証拠をそろえることで、労働問題に関する交渉や裁判を有利に進めることができます。
メール、チャット履歴、給与明細、出勤記録など、トラブルに関連する資料は必ず保管しておきましょう。
4. 労働問題はひとりで悩まずに早めの相談を
労働問題は事実関係が複雑になる傾向があるため、解決まで数年を要することもあります。トラブルが長引くと、会社・労働者ともに精神的な負担が大きくなってしまいます。
労働問題がトラブルに発展しそうな場合はひとりで悩まずに、早めに専門機関や専門家に相談しましょう。
- こちらに掲載されている情報は、2025年03月26日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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