
不当解雇と感じたら… 弁護士相談のメリット、流れと費用相場を解説
会社からの突然の解雇に納得ができず、不当解雇を疑っても法的なことが分からず困っていませんか?
本コラムでは、解雇に納得できない方のために、不当解雇を疑った場合に弁護士に相談するメリットや流れ、弁護士費用について解説します。
1. 「不当解雇かも」と疑問を持ったら最初にすべきこと
「不当解雇かも」と疑問を持ったら、どう行動すればよいのでしょうか?
避けるべき言動や対処法についてみていきましょう。
(1)退職を受け入れる言動は避ける
不当解雇を争う場合、退職を受け入れる言動をしてはいけません。
たとえば、会社の要求に従い退職届を提出したり、退職合意書などの書類にサインしたりといった行動をとると、不当解雇ではなく「合意退職」として扱われてしまいます。
その場合、不当解雇を争おうとしても退職届や書類を「合意退職の証拠だ」と提出されてしまえば、反論するのが非常に困難になるでしょう。
そのため、会社から要求されても「退職届を提出しない」「書類にサインしない」ということが重要です。
(2)会社に「解雇理由証明書」を請求する
会社から解雇を告げられた場合、「解雇理由証明書」を請求しましょう。
「解雇理由証明書」とは、会社が解雇する従業員(労働者)の解雇理由が記載された書類のことです。会社は従業員から解雇理由証明書を請求された場合、必ず発行する義務があります(労働基準法22条)。
解雇理由証明書に記載された解雇理由は、裁判で不当解雇を争う際の方針を考えるためにも重要です。
(3)不当解雇にあたる証拠を集める
不当解雇を争う場合は、不当解雇にあたると証明する証拠収集も重要になります。
以下が不当解雇の証拠になる一例です。
不当解雇の証拠になるもの
- 雇用契約書や就業規則
- 解雇通知書
- 人事評価書
- 解雇に関して会社とやりとりしたメールや書面、録音
- 勤務成績に関する資料 など
(4)弁護士に相談する
不当解雇ではないかと疑問に思ったら、なるべく早く弁護士に相談しましょう。
なぜ弁護士に相談するべきなのか、次章で詳しくみていきます。
2. 不当解雇を弁護士に相談・依頼するメリット
なぜ不当解雇を弁護士に相談・依頼するべきなのでしょうか?
弁護士へ相談・依頼すると、トラブルの早期解決を目指せる他、様々なメリットが得られます。
弁護士に相談・依頼するメリットをみていきましょう。
(1)解雇の「不当性」を判断してもらえる
解雇は会社側が自由にできるものではありません。解雇にも要件があり、要件を満たしていない解雇は「不当性」を問える可能性があるのです。
解雇には「普通解雇」「整理解雇」「懲戒解雇」の3種類があり、それぞれ要件があります。
①普通解雇
「普通解雇」は、労働者の労働契約上の債務不履行を理由に、使用者(会社)の一方的な意思表示でされる解雇のことです。
普通解雇は以下の要件を満たす必要があります。
- 正当な解雇理由(能力不足や無断欠勤、業務命令違反など)がある
- 就業規則に規定された解雇理由に該当する
- 解雇予告または解雇予告手当の支払いをしている
- 法律上の解雇制限(妊娠中や業務上の怪我療養中など)に違反しない
②整理解雇
「整理解雇」は、会社の業績不振に伴い人員削減を行うなどの経営上の理由からなされる解雇です。
整理解雇は以下の要件を満たす必要があります。
- 人員削減の必要がある
- 解雇回避努力を尽くした
- 人員選定に合理性がある
- 解雇手続きが相当である
③懲戒解雇
「懲戒解雇」は、社内秩序を著しく乱す重大な規律違反や非行を行った従業員への制裁としてなされる解雇です。
懲戒解雇は以下の要件を満たす必要があります。
- 就業規則に懲戒解雇について記載されている
- 懲戒解雇に該当する事由がある
- 懲戒解雇が行われる相当性がある
- 解雇手続きが相当である
いずれの解雇も、要件を満たさない解雇は「不当解雇」です。具体例をいくつかご紹介します。
不当解雇の具体例
- 新入社員に対し十分に指導をせずに能力不足を理由に解雇する
- 経営者の好き嫌いで解雇する
- 国籍、信条、社会的身分を理由として解雇する など
ご自身のケースに法的な「不当性」があるのかの判断を個人で行うのは難しいです。弁護士に相談すると、法的に不当性があるかどうか判断してもらうことができます。
(2)会社に解雇の撤回を交渉してもらえる
不当解雇に該当する場合、弁護士に依頼して会社との解雇撤回交渉を任せることが可能です。弁護士が介入することで交渉のみで解決する可能性も高まります。
(3)法的手続きを一任できる
解雇撤回や未払い残業代の支払いに話し合いで応じてもらえない場合は、労働審判や裁判といった法的手続きが必要になります。
弁護士に依頼することで、法的手続きについて対応してもらうこともできるのです。
(4)慰謝料請求などにも対応してもらえる
弁護士に依頼すれば、不当解雇で退職金ももらえていない場合や、不当解雇による精神的苦痛に対する慰謝料を請求する場合の対応も任せることができます。
3. 解雇について弁護士に相談する場合の流れ
解雇について弁護士に相談する大まかな流れをみていきましょう。
(1)法律事務所を選ぶ
まずは法律事務所を選びます。
不当解雇などの労働問題に関する実績がある弁護士がいる法律事務所や、労働問題の専門チームがある法律事務所をいくつか選ぶとよいでしょう。
(2)初回相談の予約をする
法律事務所を選んだら初回相談の予約をします。
無料相談を実施する事務所も多いため、いくつかの無料相談を実施している事務所へ相談に行き、見積もりをとって比較することがおすすめです。
(3)相談し、弁護士への依頼を検討する
相談し、ご自身に合う弁護士を見つけたら依頼を検討します。
弁護士相談の際には以下の事前準備をしておきましょう。
弁護士相談の事前準備
- トラブルの経緯をまとめて希望(不当解雇撤回を求めるのか慰謝料請求するのかなど)を決める
- 証拠や資料を用意しておく
- 質問したいことをまとめておく
また、法律事務所の比較のためにも、弁護士費用がいくらかかるのかも質問することが大切です。
(4)弁護活動
弁護士が依頼人の意向に沿って、不当解雇撤回や未払い残業代、慰謝料の支払いなどを求めて交渉を開始します。
(5)解決、または訴訟へ
交渉で合意に至れば解決ですが、交渉が決裂した場合に行うのが、労働審判や訴訟です。
「労働審判」は、労働者と事業主間の労働に関するトラブルを迅速に解決するための制度で、まずは調停という話し合いでの解決を試みます。
調停がうまくいかなかった場合、労働審判委員会によってトラブルへの審判が下されます。異議がある場合は「訴訟」に移行され、裁判官によって判断されるまでが裁判上の解決の流れです。
(6)解決後:弁護士費用の精算
解決後に弁護士の精算を行います。弁護士費用の内容や相場について次章で詳しくみていきましょう。
4. 不当解雇の弁護士費用相場
弁護士費用には、以下の費用が含まれます。
- 相談料(法律相談時に支払う費用)
- 着手金(弁護士への依頼時に支払う費用)
- 成功報酬(依頼案件の成功程度に応じて支払う費用)
- 実 費(交通費・郵送料などの費用)
- 日当(弁護士が裁判に出た場合や出張した場合などに発生する費用)
相談料の相場は30分5,000円程度、着手金の相場は30万円程度、成功報酬の相場は回収した費用(退職金や未払い残業代など)の10%程度です。
その他の実費等にも数万円程度はかかるでしょう。
前述の通り、初回相談無料の法律事務所もありますので、まずは初回相談無料の法律事務所への相談をおすすめします。
- こちらに掲載されている情報は、2025年03月12日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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