リベンジポルノの損害賠償請求はどうやる? 相場と増額方法を解説
元カレや元夫などからリベンジポルノの被害に遭ってしまった場合、どのような対応をとればよいか思い悩むかもしれません。
本コラムでは、リベンジポルノの定義をはじめ、リベンジポルノに科される刑事罰、賠償金が高額化されやすいケース、損害賠償請求の方法などを紹介します。
1. リベンジポルノの被害は損害賠償請求が可能
(1)リベンジポルノとは
まず、いわゆる「リベンジポルノ」とは、元交際相手や元配偶者などの性的な写真や動画を、本人に許可を得ることなくインターネットなどで公開する行為のことです。
ひとたびインターネット上に流出してしまうと、誰もが容易にダウンロードやキャプチャ、再アップロードができるため、いくら元画像・動画を削除したところで完全に消去することはほぼ不可能となり、被害者の私生活の平穏が著しく侵害されます。「ふざけていた」「自慢だった」「お金がほしかった」などでは済まされない、重大な犯罪です。実際に復讐の意図や悪意があったかどうかは関係ありません。
(2)リベンジポルノで該当する法律
リベンジポルノに当たる行為を行った者は、平成26年に成立した「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(いわゆるリベンジポルノ防止法)」に該当します。この法律では、第三者が個人を特定できる、性交や性交類似行為、性器などが写っている画像や動画を、インターネットで公開するなどした場合に、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されると定められています。
また、名誉毀損罪(刑法第230条)、わいせつ物頒布等の罪(同法第175条)、児童ポルノ禁止法違反の罪などに問われる場合もあります。
(3)リベンジポルノは損害賠償請求が可能
リベンジポルノはれっきとした犯罪で、刑事告訴を行えます。それと同時に、民事上の「不法行為」にも該当するため、加害者に対して損害賠償(慰謝料)を請求できます。
2. リベンジポルノの損害賠償金額の相場と増額の方法
(1)リベンジポルノ被害での損害賠償請求の相場
リベンジポルノの賠償金は、次の(2)で挙げる要素などを考慮しながら、ケースバイケースで決まりますが、概ね50万円程度です。ただ、悪質性がより高い場合は、相場よりも高額な賠償額を得られることも少なくありません。
(2)賠償金が高額になりやすいケース
- 公開された画像・動画が盗撮であった。撮影に対する同意はあったとしても、脅迫や暴力などが背景にあった
- 性行為や性交類似行為をしている姿がうつっている
- 性器や肛門、もしくはその周辺部、下着姿などがうつっている
- 被害者の特定が容易である
- 画像・動画が広く拡散された
- 被害者の画像・動画の販売・提供により加害者が収益を得た
また、リベンジポルノ被害によって仕事を休職・退職に追い込まれた場合、当然ながら賠償金は高額化し、休業損害を請求できる可能性も高まります。PTSD(心的外傷後ストレス障害)や自傷行為、うつ病を含む精神疾患などが発生した場合も同様です。その際は医師の診断書が必要になるため、早めの受診を検討しましょう。
3. リベンジポルノの損害賠償請求の方法
(1)内容証明郵便を送付し任意交渉
裁判所を通さない場合、加害者と直接話し合う「任意交渉」を行います。
まずは、加害者に内容証明郵便を送付するのが一般的です。苦痛な作業ではありますが、被害を客観的に判断できるよう、画像や動画を証拠化しておいてください。加害者が証拠隠滅を図るために画像・動画を削除する可能性も高いので、スクリーンショットを撮ることをおすすめします。その際は、内容やURLが確認できるようにしてください。
また、加害者が公開を否定する場合に備えて、SNSなどの管理者側に情報開示請求を行い、加害者の特定を行いましょう。管理者側が開示請求に応じない場合、裁判所に申し立てを行います。その後、任意交渉を行います。
(2)刑事事件化し示談交渉
一般的には、刑事事件化してから示談交渉をするほうが、より高額な賠償額で合意しやすくなります。なぜなら、すでに刑事事件化している場合、加害者は早期の釈放(逮捕・勾留されている場合)・不起訴処分を得ようと躍起になっていることが少なくないためです。
加害者側に決して重いとは言えない刑事罰が科されて終わるよりも、ご自身の被害の回復のために、より高額な賠償金を得たいと考えるのはごく自然なことです。そのため、刑事事件として告訴し、自分に有利なように交渉を進めるのもひとつの方法です。
(3)民事訴訟提起
任意交渉や示談で話がまとまらない場合、裁判所に訴訟を提起して、損害賠償を請求することも可能です。請求が認められれば、加害者が支払いを拒否した場合、預貯金や給与、不動産などの資産を差し押さえできます。
4. リベンジポルノで弁護士ができる弁護活動
リベンジポルノの被害を受けた場合は、弁護士に依頼することで、より高額な賠償金を速やかに勝ち取りやすくなります。被害者に代わり、弁護士が加害者との交渉に対応するため、加害者との接触による精神的苦痛を軽減できるはずです。また、画像・動画の削除申請をはじめ、裁判手続きなどの煩雑な作業も一任できます。
リベンジポルノ被害で生じる精神的苦痛は大きく、賠償金によって、その苦痛が解決するわけではありません。しかし、加害者を法によって罰し、より多額の賠償金を得ることで、少しでも精神的苦痛はやわらぐ可能性があります。弁護士に相談し、適切なアドバイスを得てください。
- こちらに掲載されている情報は、2024年06月04日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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