- (更新:2023年12月05日)
- インターネット
低評価の口コミを書いた人に対して損害賠償請求はできる?
口コミサイトは商品購入やサービス利用の参考として広く活用されていますが、多くの人が利用していることを考えると、低評価の口コミを投稿されてしまっては大損害につながりかねません。
では、低評価の口コミによって売り上げや利用客が減ってしまった場合に、損害賠償を請求できるのでしょうか?
1. 口コミの削除は難しい?
まず知っておかなければいけないのが、口コミサイトの運営者は口コミの削除に消極的であることです。たとえ企業・店舗側にとって不利益となる口コミであっても、請求すれば直ちに削除してもらえるわけではありません。
口コミサイトには、それぞれの運営者が「ガイドライン」を設けています。基本的に、ガイドラインに違反していなければ、運営者による削除は期待できません。
口コミサイトは、商品やサービスを実際に利用した消費者が、客観的な感想を公開する場です。単に「悪い感想を投稿された」「サービスへの不満を投稿された」というだけでは、削除を請求しても応じてもらえないでしょう。
厳しい内容であっても、実際に商品やサービスを利用した消費者が書き込んだ正直な感想だと判断されれば、それは「批評」として保護されることを肝に銘じておく必要があります。
2. 口コミを理由に損害賠償請求ができる可能性があるケース
口コミサイトが「自由な感想を投稿できる場」だとしても、具体的な権利侵害や犯罪にあたる内容であれば、投稿者に対して損害賠償を請求できる可能性があります。
(1)名誉毀損(きそん)罪にあたる場合
口コミサイトは不特定・多数の消費者が自由に情報を閲覧できるので、公然性のある場だといえます。そのため、公然と事実を摘示(てきし)し、他人の名誉を傷つけた場合は、刑法第230条の「名誉毀損罪」が成立します。
名誉毀損罪が成立するのは、事実の摘示によって他人の社会的な評価が低下した、または低下するおそれがある場合です。たとえば、飲食店の口コミサイトで次のような投稿があれば、名誉毀損罪が成立する可能性があります。
- 店主は以前に窃盗事件を起こして逮捕されたことがある
- ○○店の店長はアルバイトの女性と不倫をしている
このような投稿は、たとえその内容が真実であっても他人の社会的な評価の低下につながるため、名誉毀損罪が成立します。
(2)信用毀損罪にあたる場合
うその情報を流して他人の信用を傷つけた場合は、刑法第233条の「信用毀損罪」が成立します。
ここでいう信用とは、支払能力や支払意思に対する信頼に限られず、商品・サービスの品質を含む「経済的な信用」を指すと解釈されています。そのため、商品やサービスの品質をおとしめるような、うその口コミがあれば、信用毀損罪が成立する可能性が高いでしょう。
信用毀損罪が成立する可能性があるのは、次のような口コミです。
- ××店で食事をしたところ、スープに虫が入っていた
- A社の製品は、新品を買っても1週間以内に必ず故障する
信用毀損罪が成立するのは、あくまでも「うその情報」を流した場合に限られます。たとえ不利益につながる内容でも、それが真実であれば信用毀損罪は成立しないので注意が必要です。
(3)偽計業務妨害罪にあたる場合
信用毀損罪と同じく、刑法第233条に規定されているのが「偽計業務妨害罪」です。うその情報によって正常な業務運営が阻害された場合に成立します。
たとえば「B社のサプリメントは成分表示に虚偽がある」という、うその口コミが広まってしまい、嫌がらせやクレームの電話が集中して正常な業務運営が阻害された場合は、偽計業務妨害罪が成立する可能性があるでしょう。
3. 損害賠償を請求するなら投稿者の特定が必須
具体的な権利侵害や犯罪にあたる口コミの投稿者には、損害賠償請求が可能です。ただし、口コミサイトの運営者側は、投稿者の個人情報を把握していないことが多く、たとえユーザー登録時に個人情報を収集していても基本的には開示してくれません。
口コミの投稿者を特定するには、裁判所の手続きを利用した「発信者情報開示請求」や「発信者情報開示命令」が必要です。
発信者情報開示請求とは、二段階の手続きを経て、契約者情報の開示を請求する方法です。まずは裁判所に「仮処分」の申し立てを行い、口コミサイトの運営者から投稿のIPアドレスを開示させます。次に、判明したIPアドレスから投稿者が使用したインターネットプロバイダを調べて、プロバイダに対する訴訟を起こし、契約者情報を開示させます。
発信者情報開示命令とは、令和4年に新設された手続きです。サイト管理者とプロバイダへの契約者の情報開示を求める手続きをまとめて行います。
このように、相手を特定するには法的な知識は必須です。悪質な口コミ投稿者の責任を追及したいと考えるなら、弁護士に相談することをおすすめします。
監修:瀬戸 章雅(弁護士)
- こちらに掲載されている情報は、2023年12月05日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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