SNSになりすましアカウントを発見! なりすまし行為の違法性やとるべき対応

SNSになりすましアカウントを発見! なりすまし行為の違法性やとるべき対応

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

老若男女問わず、誰しもがSNSを当然のように利用している現代社会においては、SNS利用時のトラブルに悩まされてしまうケースも少なくありません。

平成27年版の情報通信白書では、SNS上でのトラブル経験についての調査結果が公開されており、発言に関するトラブルや個人情報の暴露のほか、他人が自分になりすまして書き込みをする「なりすまし」の被害を受けた経験がある人も少なくないことが判明しました。

なりすましアカウントを発見した際にはどのように対応すればよいのか、なりすまし犯の特定方法やなりすまし行為の刑事責任について解説します。

1. なりすましアカウントをみつけたときの正しい対応

なりすまし行為をみつけた場合、放置するのは得策ではありません。

乱暴な発言や詐欺的な投稿によって、つながりのあるユーザーとの関係が悪化してしまい、実生活における信頼までも失墜してしまうおそれがあります。単なる個人への攻撃だけでなく、有料サイトへの誘導、ワンクリック詐欺、フィッシング詐欺といった被害の拡大にもつながる危険な行為なので、正しい対応をとることが大切です。

(1)まずは運営者への通報が最優先

なりすましアカウントを発見したら、直ちにSNS運営者に通報して、なりすましアカウントの削除を求めましょう。

Facebook・Twitter・InstagramといったSNSでは、いずれも他人へのなりすましを利用規約などにおいて禁止しています。通報フォームなども用意されているので、対象のアカウントがなりすましであることを説明し、アカウントの停止・削除を求め、これ以上の被害が拡大しないように対策を講じましょう。

(2)つながりのあるユーザーへの注意喚起も必須

SNS運営者に通報しても、なりすましアカウントが即座に停止・削除されるわけではありません。莫大(ばくだい)な人数のユーザーを抱えるSNSでは毎日のように多数の通報がなされているため、素早い対応があったとしても一定の時間がかかるでしょう。

なりすましアカウントが停止・削除されるまでにほかのユーザーが被害に巻き込まれないように、つながりのあるユーザーにメッセージを送信して注意を喚起しましょう。タイムラインなどへの投稿によって広く情報を拡散するのも有効です。

2. なりすまし犯を特定する方法

なりすまし犯が誰なのかを、閲覧可能なアカウントの情報から特定するのは、ほぼ不可能です。仮になりすまし犯の心当たりがあったとしても、予想の域を超えません。

なりすまし犯の責任を問うためには、客観的な証拠をもって個人を特定する必要があります。

(1)発信者情報開示請求による特定が必要

なりすまし犯の特定には、書き込み・投稿の際のIPアドレスの開示と、IPのアドレスにひも付けられた契約者情報の開示という、段階的な情報開示を求める必要があります。

手間が多いように感じるかもしれませんが、このような手続きを踏まなければ、なりすまし犯の特定は難しいでしょう。

具体的には、次のような手順で進めることになります。

  1. SNS運営者を相手に、IPアドレスの開示を請求する仮処分を申し立てます。
  2. 開示を受けたIPアドレスをもとに、なりすまし犯が利用したインターネットプロバイダを特定します。
  3. インターネットプロバイダを相手に、契約者情報の開示を求めた訴訟を提起します。

SNS運営者・インターネットプロバイダは、自社が保有する情報を厳格に管理しているので、なりすましの被害に遭ったユーザーからの請求を受けたからといって、むやみに情報を開示はしません。そのため、裁判所の命令によって強制的に開示させる手段をとることになります。

3. なりすまし行為は犯罪?

なりすまし行為をはたらいた加害者が特定できた場合は、悪質な行為の責任を追及したいと考えるのが当然です。

では、なりすまし行為は犯罪にあたるのでしょうか?

(1)なりすまし行為の違法性

なりすまし行為が、真っ当な行為でないのは明らかです。

ところが、なりすまし行為そのものは、現在の法律において定められている犯罪にあたりません。

もっとも、たとえばなりすました人が、なりすまされた人(あなた)の名前を使って、犯罪行為や品位を害する発言などを繰り返した場合、あなたの社会的評価を下げる行為として、名誉毀損や信用棄損、侮辱などの犯罪が成立する可能性はあります。

(2)不法行為による損害賠償請求の可能性

なりすまし行為自体は、犯罪にはあたりません。

しかし、名誉権やプライバシー権への侵害があったということで違法性が認められ、本来のユーザーが被った精神的損害に対する慰謝料や、実際に発生した損害に対する賠償金を請求できる可能性はあります。

損害賠償を請求するためには、相手の特定、事実の立証が必要です。段階的な裁判手続きに加えて、特定されたなりすまし犯への請求や交渉、損害賠償請求訴訟の申し立てなど、法律の知識や経験を要する場面も少なくないでしょう。

個人での対応は難しいので、なりすましをはじめとしたITトラブルの解決実績を豊富にもつ弁護士へ、相談されることをおすすめします。

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法的トラブルの解決につながるオリジナル記事を、弁護士監修のもとで発信している編集部です。法律の観点から様々なジャンルのお悩みをサポートしていきます。

  • こちらに掲載されている情報は、2022年02月13日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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