- (更新:2023年12月05日)
- インターネット
ネットでの風評被害による悪影響とは。投稿の削除依頼方法も解説
最近は、誰でもSNSで気軽に情報を発信することができます。以前は泣き寝入りしていたようなことでも、SNSに書き込むことで世論が味方になってくれることもあれば、口コミによって商品が売れたり、顧客が増えたりすることもあります。
他方、商品に対する悪口や会社の労務環境がブラックであるなどと書き込みがなされると、商品が売れなくなる、採用することが難しくなるといった悪影響を受けることもあります。
もし、自分の会社が書き込みによって風評被害に遭ってしまった場合、どう対処すればよいのでしょうか。
本コラムでは、インターネットにおける風評被害への対応方法について解説します。
1. 風評被害は企業にとって死活問題
風評被害とは、一般的に根拠のないうそや誤った情報、事実が不確かな情報をきっかけに、経済的な損害を受けることを言います。
具体的には、商品や会社の体制についての悪評、会社の経営者や従業員個人の悪評などを書き込まれるケースなどがあげられるでしょう。風評被害による影響としては、企業の信用低下、株価の下落、取引先との取引停止、採用活動への影響、売り上げ低下などが考えられます。
悪質な書き込みなどを見つけた場合、会社としては事実関係を確認し、事実と異なるときは放置すればよいと思うかもしれません。しかし、インターネット上の書き込みを放置することはおすすめできません。悪質な書き込みの内容が事実であろうとなかろうと、それらは事実として捉えられる可能性が高く、風評被害につながるおそれがあるからです。
また、インターネット上の情報は拡散力が強いため、一度マイナスのイメージがついてしまうと、それを払拭(ふっしょく)するのは簡単なことではありません。そのため、速やかに対策を講じることが重要です。
2. 風評被害の原因になった投稿や書き込みは削除するには
風評被害の原因となる書き込みをした相手が特定できている場合には、直接削除を要請します。話し合いによって相手が納得し、削除してくれるのであれば解決します。しかし、これらの書き込みは往々にして匿名で行われ、相手がわからないケースの方が多いでしょう。
相手がわからない場合は、どのように対応するべきなのでしょうか。
(1)運営者へ削除依頼
相手がわからない場合は、具体的な書き込みがされたウェブサイトや掲示板の運営者へ削除を要請します。削除フォームが用意されている場合や削除に関する規定を設けていることも多いので、確認しながら進めることが重要です。
ただし、削除要請をしたからと言って簡単に削除してもらえないのが現実です。また、そもそも運営者がわからないケースも想定されます。運営者に応じた対応方法については、風評被害や誹謗中傷の事件を多く扱っている弁護士ほどよく知っているため、削除要請を依頼してみるのも一案でしょう。
(2)ガイドラインに基づく削除依頼
サイト運営者がわからない場合や、削除要請に応じてもらえない場合は、ガイドラインに基づく削除依頼を検討できます。
ガイドラインとは、「一般社団法人テレコムサービス協会」が作成している、プロバイダ責任制限法に基づく運用のことを指します。具体的な方法としては、テレコムサービス協会が用意している書式を用いて、「送信防止措置依頼書」を運営者へ送付するだけです。
ただし、最終的に削除するかの判断をするのは運営側に委ねられるため、必ずしも削除されるとは限らないでしょう。
(3)法的手段による削除依頼
ガイドラインに基づく削除にも応じてもらえない場合は、法的な措置を検討します。
まずは、投稿内容の削除を求める仮処分を用いるのが一般的です。その上で、相手を特定したい場合は、発信者情報開示請求や発信者情報開示命令という方法を用い、発信者を特定します。
発信者情報開示請求とは、サイトの管理者に仮処分を申し立ててプロバイダを特定し、次にプロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟を提起し、プロバイダに名前や住所の開示を求める方法です。2つの手続きを経て、相手がどのような人物なのかを調べます。
発信者情報開示命令とは、令和4年10月1日から新設された方法です。この方法は、サイト管理者とプロバイダに発信者の情報を開示するようまとめて請求します。発信者情報開始請求では複数必要だった手続きを、まとめて行えるのが特徴です。
これらの方法を用い、相手の情報を開示するよう請求し、その請求が認められ相手が特定できたときは、不法行為に基づく損害賠償請求などを行うことを検討できるでしょう。
これらは法的請求として行っていくため、法律の専門家である弁護士の助言を得る方が有効な形で進められると考えられます。
なお、削除や相手の特定には時間を要する可能性が高いため、並行して、会社のホームページなどで声明を発表し、事実と異なる点については、しっかりと主張していくことも重要です。
3. 風評被害対策業者または弁護士、どちらに依頼するべきか
風評被害対策業者の多くは、ネガティブな情報を検索上位に表示させないようにするなどの対策を行います。これは事実上、書き込みの削除と同じ効果を得ることができます。
ただ、たとえ効果が出たように見えたとしても、削除しない限り情報は残り続けてしまいます。また、別の書き込みがなされれば、さらなる対策が必要になるなど、いたちごっこになる可能性も否定できません。
根本的な解決を求める場合には、弁護士に相談して法的対応をしてもらうのが確実です。弁護士に依頼すれば、状況に応じた迅速な対応が期待できるほか、相手の特定や裁判などに至った場合も、トータルで任せることができるので安心でしょう。
監修:瀬戸 章雅(弁護士)
- こちらに掲載されている情報は、2023年12月05日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
お一人で悩まず、まずはご相談ください
インターネットに強い弁護士に、あなたの悩みを相談してみませんか?
関連コラム
-
- 2024年04月12日
- インターネット
-
- 2024年03月27日
- インターネット
-
- 2023年12月04日
- インターネット
インターネットに強い弁護士
-
安井 之人 弁護士
安井・好川・渡辺法律事務所
現在営業中 9:30〜18:30- 当日相談可
- 夜間相談可
- 24時間予約受付
- 電話相談可
- ビデオ相談可
- メール相談可
タイムチャージ4万4000円(税込)/時間となっております。