誹謗中傷の具体例とは? 逮捕や慰謝料請求が実現した具体例6つ

誹謗中傷の具体例とは? 逮捕や慰謝料請求が実現した具体例6つ

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

インターネットで誹謗中傷を受けた場合、情報の削除はもちろん、相手を法的に訴えたり、慰謝料を請求したりしたいと考える方もいるでしょう。その場合、相手が匿名であっても諦めることはありません。手続きを踏めば相手を特定して、罪に問うことも、慰謝料請求することも可能です。ここでは、どのようなケースで逮捕、もしくは損害賠償請求が実現したのかを具体的に紹介していきます。

1. 誹謗中傷を理由に逮捕等の刑事手続きを受けたケース

まずは誹謗中傷を理由に逮捕、送検、有罪判決を受けた具体例を見ていきましょう。

(1)名誉毀損で逮捕されたケース

令和2年7月、50代の男性がアイドルグループのメンバーが覚せい剤を使用しているという書き込みをSNSで行い、名誉毀損罪(きそん)で逮捕されました。

名誉毀損罪は刑法第230条1項に定められており、以下の要件を満たすと成立します。

①公然と

不特定、または多数の人間に知られるように

②事実を適示し

一定の事柄を事実として他人に伝えることです。なお、内容が真実であるかは問わないため、虚偽の内容でも該当します。

③人の名誉を毀損する

社会的な評価を下げることです。

容疑者は、アイドルのイメージダウンを狙って不特定多数が閲覧できるSNSで名誉を毀損する書き込みを行ったことから、逮捕となりました。

(2)侮辱罪で送検されたケース

令和2年3月、タレントがインターネット上の掲示板に本人や家族に対する誹謗中傷を行った女性を刑事告訴し、犯人が書類送検されていたことが報道されました。

侮辱罪は刑法第231条に定められており、以下の要件を満たすと成立します。

①公然と

不特定、または多数の人間に知られるように

②侮辱する

事実を適示することなく、相手をおとしめたり、恥ずかしがらせたり、名誉感情を傷つける行動を指します。言葉だけではなく、ジェスチャーなども該当します。

このケースでは事実の適示がなかったため、名誉毀損罪ではなく侮辱罪にあたるとして書類送検されました。

(3)脅迫罪で有罪判決を受けたケース

令和2年10月、とある事件の当事者のSNSに「殺しに行く」などと書き込んだ男性が脅迫罪で有罪判決を受けました。

脅迫罪は刑法第222条に定められており、以下の要件を満たすと成立します。

①生命、身体、自由、名誉または財産に対し

生命、身体、自由はもちろんのこと、名誉や財産も対象になります。

②害を加える旨を告知

脅迫行為は、相手に害を加えることを告知するだけで成立します。

このケースでは、「殺しに行く」などと生命、身体の危険を脅かすような内容のメッセージを送信したため、脅迫罪で有罪になりました。

2. 慰謝料請求が認められた具体例

ここでは、慰謝料請求が認められた具体例を見ていきます。

なお、損害賠償は加害者に対し発生した損害を請求することですが、慰謝料とは、そのうち、精神的な苦痛に対して請求する賠償金のことをいいます。

(1)名誉毀損で慰謝料請求が認められたケース

令和2年8月、元市議という立場にある人物が、ある事件の犯人だと信じて、実際には無関係である一般の女性を糾弾する記事を、女性の顔写真付きでSNSに投稿しました。情報は瞬く間に拡散し、当該女性はさまざまな誹謗中傷を受けました。

このケースでは虚偽の内容が拡散されたケースですが、裁判では女性に対する名誉毀損が認められ、慰謝料の支払いが認められました。

(2)別人へのなりすまし行為で損害賠償が認められたケース

平成29年8月、インターネット上の掲示板で別人になりすまして他人を罵倒した行為が、本人に対する名誉毀損等にあたるとした裁判がありました。判決では、肖像権侵害のほか、本人の社会的評価を低下させ、名誉権を侵害したとして名誉毀損の成立を認めて損害賠償請求が認められました。

このように、直接本人を誹謗中傷するのではなく、なりすまして行動した結果、本人の名誉を傷つける行為も名誉毀損や肖像権侵害として認められています。

(3)示談が成立したケース

令和元年7月には、有名俳優がSNSで誹謗中傷を書き込んだ人物を提訴し、示談を成立させたニュースが話題になりました。
名誉毀損罪は殺人などの罪とは違い、被害者の告訴を必要とする親告罪です。
このケースでは、被害者が名誉毀損にあたるとして刑事告訴をしたほか、損害賠償請求も裁判で争っていました。示談額は約315万であったと言われており、刑事事件と民事事件の両事件を示談により解決したものになります。

以上述べたように、インターネット上で行われる誹謗中傷は、匿名であっても特定されて罪に問われることがあります。また、慰謝料請求が実現しているケースもあることを理解していただけたと思います。したがって、インターネットで誹謗中傷を受けた場合は泣き寝入りせず、毅然と立ち向かいましょう。

しかし、相手を特定して犯罪者として告訴する、もしくは裁判を起こして慰謝料を請求するには時間もかかり、専門的な知識も必要になりますので、素人がすべてを自分の手で行うことは難しいのが現状です。自分の誹謗中傷をネットで見つけて対処方法に悩んでいる方は、すぐに弁護士に相談したほうがいいかもしれません。

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  • こちらに掲載されている情報は、2021年08月25日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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