Googleで口コミを投稿したら訴えられた! 対処法を解説
Googleに口コミを投稿したら、お店側から名誉毀損(きそん)で訴えられた。そんな事態に直面する可能性は決してゼロではありません。たとえ実際にあったことを書いただけだったとしても、罪になる可能性があります。
本コラムでは、口コミが罪になるケース・ならないケース、訴えられた場合の影響や対処法を解説します。
1. Googleの口コミ投稿が罪になるケースがある
たとえ悪意や虚偽がなくても、Googleに口コミを投稿することが罪になる場合があります。この場合、第一に考えられる罪は、名誉毀損罪です。名誉毀損罪とは、刑法第230条で規定された罪で、法人も含めた他人の社会的評価を下げる行為が該当します。名誉毀損罪の成立要件は、主に以下の3つです。
- 他者の社会的評価を下げる可能性があることを
- 人目に触れる場(公然)で
- 事実を摘示すること
この場合の「事実」とは、真実か虚偽かを問うているのではありません。たとえば、名誉毀損罪と類似した罪に侮辱罪がありますが、これは「バカ」「ブス」などの言葉でも成立します。しかし、こうした罵詈(ばり)雑言は単なる主観的な評価であり、ここでいう「事実」ではありません。
一方、「あいつはテストで何度も落第したバカだ」といった言葉は、テストで何度も落第したことが真実であろうとなかろうと、「事実」を摘示したとみなされます。
(1)名誉毀損罪に該当するおそれがある口コミ
名誉毀損罪の成立要件に照らせば、お店に対して批判的な口コミをした投稿者が名誉毀損罪で訴えられるリスクはゼロではありません。Googleなどの口コミは当然多くの人目に触れ、そこに投稿した批判的な内容(事実)が、お店の社会的評価を下げることは十分にありえます。
たとえば、以下のような口コミは名誉毀損罪に該当するおそれがあります。
-
【飲食店への口コミ】
「注文した料理に虫が入っていた」
「コックが不潔な手で料理をしていた」 -
【病院への口コミ】
「あの医師は医師免許もないヤブ医者だ」
「あそこの病院は医療ミスを隠しているらしくて信用できない」 -
【会社への口コミ】
「あの会社は労働法を無視して従業員をこき使っている」
「あの会社の経営者は詐欺で訴えられたことがある」
これらはいずれも個人の主観的な感想で済ませられるものではなく、真偽が問われるような具体的かつ社会的評価を下げるような「事実」の摘示にあたるため、名誉毀損罪に該当する可能性があります。
(2)名誉毀損罪に該当しない可能性が高い口コミ
他方で、すべての批判的な口コミが名誉毀損にあたるわけではありません。たとえば、「料理のボリュームが少なかった」「待ち時間が長かった」といった口コミは、「事実」ではなく個人の主観的評価とみなされる可能性が高いです。「自分には合わなかった」などの感想も同じです。
また、コメントを投稿せずに低評価のみをつける行為も、具体的な事実の摘示には該当しないため、名誉毀損にはなりません。
さらに、名誉毀損罪の要件を満たすときでも、公共の利害に関する事実を、公益を図る目的をもって投稿した場合で、真実であることが証明可能な内容であれば、名誉毀損には該当しません。たとえば、「あの会社は労働法を無視して従業員をこき使っている」という口コミは、それが本当のことで、転職サイトなどに投稿された口コミであれば、他の応募者への警鐘を目的とした公益性のある口コミと評価される可能性があります。
2. 被害者が行う可能性のある対応
被害者側がその口コミを名誉毀損や営業妨害であると判断した場合、以下の対応をされることが予想されます。
(1)口コミの削除依頼
被害者はまず、プラットホームであるGoogleに対して口コミの削除要請をすると考えられます。たとえ法的に見れば名誉毀損などの罪に該当しなくても、口コミがGoogleの規約に抵触する内容であれば、この削除要請は認められる可能性が高いでしょう。
(2)発信者情報開示請求
もし被害者が、口コミを書いた加害者を特定した上で直接対応を取りたい場合は、発信者情報開示請求を行うことがあります。これは、裁判所を通じて行われる法的手続きであり、認められると加害者の個人情報が被害者側に開示されます。
(3)加害者への影響
上記の対応のうち、口コミを投稿した加害者側に大きな不利益が生じる可能性が高いのは、発信者情報開示請求がされた場合です。自分がした口コミが削除されることは、多少の不快感があったとしても、特に実害はありません。
しかし、被害者が発信者情報開示請求をするのは、基本的に加害者に対して損害賠償請求などの厳しい対応をとるためです。匿名で投稿した口コミでも身元が特定されて、後に法的な責任を追及され、経済的なダメージが生じるおそれもあります。
3. Googleの口コミで訴えられたときの対処法
名誉毀損罪が成立するか否かは、見極めが難しいので、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。弁護士は、口コミの内容や事実確認などを踏まえて、法律の専門家として投稿が名誉毀損にあたるか否か判断し、それぞれのケースに応じて次のように依頼人をサポートします。
(1)罪を認める場合
客観的に見ても口コミが不適切な内容で、本人も自分の非を認める場合、弁護士は問題がなるべく穏便に収拾するように被害者との示談交渉などにあたります。まだ口コミが削除されていない場合は、自ら削除して謝罪するなど、可能な限り誠実な対応をとることが肝心です。なお、口コミが不適切な内容であった場合、加害者は以下のように刑事と民事両方で訴えられるおそれがあります。
①刑事責任
名誉毀損罪で有罪になった場合、法定刑は3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金です。弁護士は、捜査機関からの取り調べに対する助言、検察官や裁判官に対する働きかけなどの活動を通じ、不起訴処分の獲得や刑罰の軽減などに取り組みます。
②民事責任
口コミによって売り上げ低下などの不利益が生じた場合、被害者は損害賠償請求をする可能性があります。弁護士は被害者との示談交渉や民事裁判の弁護などを行い、示談の成立や損害賠償金の減額などに向けて取り組みます。
出典:e-Gov法令検索「刑法」(2)罪を認めない場合
口コミ投稿が公共の利益に資するものや、単なる個人の感想にとどまる場合は、批判的な内容でも名誉毀損に該当しない可能性があります。こうした場合、弁護士は、法的な根拠や過去の判例などをもとに、相手の主張を否定する証拠の提示や立証活動に努めます。その主張が全面的に認められれば、当然罪に問われることはありませんし、損害賠償金を支払う必要もありません。
いずれにせよ、Googleに投稿した口コミで訴えられた場合は、罪を認めるかどうかに関わらず、迅速に弁護士へ相談することがおすすめです。
- こちらに掲載されている情報は、2024年07月17日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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