日本人の夫(妻)と離婚した後も外国人配偶者は日本で暮らせる?

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弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

日本人の配偶者として日本に在留している外国人の方が、配偶者と離婚した場合、在留資格の変更などの対応が必要となるので注意が必要です。

今回は、日本人配偶者と離婚した場合の在留資格に関する注意点を解説します。

1. 日本人配偶者と離婚した場合、日本に居られなくなる?

日本人配偶者と離婚をしても、すぐに日本から追い出されるわけではありません。

しかし、一定期間が経過すると在留資格の変更が必要になるので、早めに準備しておきましょう。

(1)離婚後6か月間は日本に居られる

日本に在留する外国人の方は、法務大臣によって在留資格を取り消されるまでは、日本に滞在することが可能です。

「日本人の配偶者等」の在留資格(配偶者ビザ、結婚ビザ)を持っている方が、在留資格を取り消される場合のひとつとして、以下の事由が定められています。

「その配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6月以上行わないで在留していること」(入管法第22条の4第1項第7号)

日本人の配偶者と離婚した場合、「配偶者の身分を有する者としての活動」はできなくなりますので、離婚後6か月が経過すると、在留資格取消しの対象になってしまいます。

逆に言えば、離婚後6か月間は在留資格が取り消されないので、日本に滞在することができます。

(2)離婚後6か月経過後は、在留資格の変更が必要

離婚後6か月が経過した際に、在留資格の取り消しによって日本を追い出されないようにするためには、経過前に在留資格変更の手続きをとる必要があります(入管法第20条第1項)。

詳細については後述しますが、ご自身の状況に応じて取得できる在留資格を選択して、取得の準備を進めましょう。

在留資格変更の申請方法がわからない場合は、弁護士や行政書士にご相談ください。

2. 日本人配偶者と離婚した場合に必要な手続き

「日本人の配偶者等」の在留資格を有する中長期在留者が、日本人の配偶者と離婚した場合、離婚した日から14日以内に、その旨を出入国在留管理庁長官に届け出なければなりません(入管法第19条の16第3号)。

離婚の届け出を怠った場合、「20万円以下の罰金」が科される可能性があるうえ(入管法第71条の5第3号)、在留資格の変更が認められなくなるおそれがあるので要注意です。

届出の方法については、以下の出入国管理庁のHPを参考にしてください。
(参考:「配偶者に関する届出」(出入国在留管理庁))

無事上記の届出が済んだ段階で、適宜弁護士や行政書士などと相談のうえ、在留資格変更に向けた準備を整えましょう。

3. 日本人配偶者との離婚後に変更できる在留資格の例

日本人配偶者と離婚した方が、引き続き日本に滞在するために取得できる在留資格としては、主に以下の3つが挙げられます。

(1)定住者

定住者の在留資格(定住者ビザ)を取得すると、定期的に在留資格の更新は必要となるものの、就労範囲の制限がなくなるので、日本での活動範囲をより広く確保できます。

定住者の在留資格審査においては、画一的な基準は存在せず、地方入国管理局長が以下の要素を総合的に考慮して許可するかどうかを判断します。

  • 当該外国人の行おうとする活動
  • 在留の状況
  • 在留の必要性

など

「日本人の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更が認められた事例・認められなかった事例が法務省によって公表されているので、参考にしてください。

(参考:「「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更許可が認められた事例及び認められなかった事例について」(法務省入国管理局))

(2)各種の就労ビザ

職業や活動の内容ごとに設けられている各種の就労ビザも、それぞれの取得要件に当てはまれば、「日本人の配偶者等」からの在留資格変更が認められます。

就労関連でどのような在留資格があるかについては、出入国在留管理庁が公表している一覧表をご参照ください。

(参考:「在留資格一覧表」(出入国在留管理庁))

なお就労ビザの場合、特定の業種への就労のみが認められる反面、アルバイト等の単純労働に従事することはできない点に注意しましょう。

(3)留学

学費を工面できる場合には、日本の大学等に入学・編入することを理由として「留学」へ在留資格を変更することも考えられます。

「留学」の在留資格を取得して、資格外活動許可を得れば、就労時間に制限が加えられる一方で、アルバイト等の単純労働に従事することができます。

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