在留資格変更するには? 必要書類と手続きの進め方

在留資格変更するには? 必要書類と手続きの進め方

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

日本の文化や学問を学ぶために日本に留学に来る外国人の方も増えてきました。観光目的で日本を訪れる場合と異なり、留学や就職などで外国人が日本に在留するためには、一定の資格を有していることが必要になります。それが「在留資格」というものです。
そして、当初取得した在留資格に変更が生じた場合には、新たな在留資格を取得する必要があります。
今回は、在留資格の変更に伴う在留資格の変更許可制度について解説します。

1. 在留資格の変更とは?

以下では、外国人が日本に在留するために必要となる在留資格とその変更について説明します。

(1)在留資格とは

外国人が日本に在留するためには、在留資格を有していることが必要です。在留資格は、国内で行おうとする活動に基づくものや、身分または地位に基づくものとして多くの在留資格が細かく規定されています。

よく日本に在留する外国人について「ビザがない」、「ビザが切れた」などということがあります。しかし、ビザとは法律上は「査証」のことを指しますので、「ビザがない」などという場合には、実態としては「在留資格」のことを指すことが多いといえるでしょう。

国内で外国人が行うことができる活動も、就労については、在留資格により制限があり、在留資格を有しないで日本に滞在している場合には、退去強制の対象となります。

(2)在留資格の変更とは

現在の在留資格が予定している活動を終了して別の活動に移行したり、身分または地位が変わったりした場合には、新たな在留資格を得る必要があります。日本に在留したまま、別の在留資格に変更して引き続き在留することを可能にするのが、在留資格の変更許可制度です(入管法20条)。
たとえば、外国人留学生は、「留学」の在留資格によって日本に滞在することが認められていますが、留学を終え、日本の企業に就職することになった場合には、「留学」の在留資格のままでは不法滞在となってしまいます。そのため、「技術・人文知識・国際業務」などの就労の在留資格に変更する必要があるのです。

2. 在留資格の変更に必要な手続き

在留資格に変更が生じた場合には、在留資格の変更手続きを行わなければなりません。以下では、外国人留学生が日本で就職する場合を例として説明します。

(1)在留資格変更の要件

在留資格の変更が認められるためには、①新たに取得しようとする在留資格の在留資格該当性と②変更を認めるに足りる相当な理由があることが必要です(入管法20条3項)。

具体的な審査内容としては、たとえば「技術・人文知識・国際業務」のような仕事の内容に基づく資格だと、以下の点を考慮して判断されます。

  • 本人の学歴その他の経歴から相応の技術または知識などを有すること
  • 従事しようとする職務の内容が本人の有する技術または知識などを生かせるものであること
  • 当初の在留時同様、上陸基準を満たすこと
  • 素行が不良でないこと
  • 企業の規模などから安定性や継続性が見込まれ、本人の職務を生かせる機会が提供されること
  • 本人の雇用・労働条件などが適正であること
  • 納税義務をちゃんと履行していること

(2)在留資格変更の必要書類

在留資格の変更をすべく、たとえば前記の考慮要素について疎明するためには、就職先、大学などから以下の書類を取得する必要があります。

①本人が用意する書類

  • 在留資格変更許可申請書
  • パスポートおよび外国人登録証明書(在留カード)
  • 申請理由書(任意提出)

②就職先から取得する書類

  • 雇用契約書のコピー
  • 法人の登記事項証明書
  • 法人の決算報告書(損益計算書)のコピー
  • 会社案内(就職先企業のパンフレットやホームページを印刷したもの)
  • 雇用理由書(任意提出)

③大学から取得する書類

  • 卒業証明書(卒業見込証明書)

(3)在留資格変更手続きの流れ

在留資格変更許可申請手続きは、弁護士による代理などの場合を除いて、本人が居住地を管轄する地方入国管理局に出頭して申請書を提出しなければなりません。
上記の必要書類を参考にして、在留資格変更の要件を満たすことを証明できるに足りる書類を提出するとよいでしょう。

申請後は、原則として2か月以内に結果が通知されますので、4月から就職予定の新卒者は、就職日までに結果がでるように就職活動を終えた後早めに申請するようにしてください。

なお、在留資格変更許可申請中は、申請後の従前の在留資格の在留期間が経過した場合であっても、審査期間中または在留期間満了時から2か月を経過する日のいずれか早い日までの間は、引き続き従前の在留資格で日本に滞在することができます(入管法20条5項)。

在留資格が満たされるかについて不安がある方、あるいは申請に際して思ったように手続が進まなかった方は、弁護士などの専門家への依頼を検討しても良いでしょう。

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