結婚前にプレナップ(婚前契約)をスムーズに締結する方法

結婚前にプレナップ(婚前契約)をスムーズに締結する方法

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

欧米では、富裕層やハリウッドセレブなどの間で、プレナップを締結することが広まっています。欧米では、一般的な制度だと認識されていますが、日本ではまだなじみの薄い制度であり、利用している方はごくわずかです。

しかし、日本の夫婦であってもプレナップ(婚前契約)を締結することで将来のトラブルを回避することが可能になる場合があります。

今回は、結婚前にプレナップ(婚前契約)を締結する方法について解説します。

1. 結婚前に締結するプレナップ

プレナップとは、どのような制度のことをいうのでしょうか。以下では、プレナップについての基本的事項について説明します。

(1)プレナップとは

プレナップとは、婚姻しようする男女が、婚姻前に家事の分担、離婚後の財産分与、財産の管理方法などについての取り決めをすることをいいます。「婚前契約」や「夫婦財産契約」と呼ばれているものです。

欧米では、契約社会であるため、結婚する際に離婚後の財産分与などについて取り決めをすることになってもあまり抵抗がないかもしれません。しかし、日本では、結婚する際に離婚を想定して契約をするということはあまり好ましくないと考えられており、このような欧米との慣習の違いから日本ではあまり普及していない制度です。

しかし、プレナップを利用することによって、以下のようなメリットを享受することができます。「婚姻前」しか利用することができない制度ですので、これから婚姻をする方は、円満な夫婦生活を送るためにも一度検討してみるとよいでしょう。

(2)プレナップのメリット

日本でプレナップを利用する最大のメリットは、離婚時の財産分与に伴うトラブルを回避することができるという点にあります。

民法762条の原則では、「夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産」については特有財産となり、「夫婦のいずれに属するか明らかでない財産」については共有財産となります。離婚時には、財産分与として夫婦の共有財産を分けることになりますが、実際の財産分与では、当該財産が共有財産か特有財産かで争われることがあります。
その場合には、特有財産であると主張する側で、当該財産が特有財産であることの立証をしなければなりませんが、この作業が容易ではありません。

プレナップを利用して、あらかじめ共有財産と特有財産の範囲を明確にしておくことができれば、上記のような財産分与に関するトラブルを回避しやすくなります。

このようなメリットがありますので特に資産家の方は、将来の保険としてプレナップを検討する価値は十分にあるといえるでしょう。

2. プレナップの具体的な進め方

では、実際にプレナップを利用する場合には、どのように進めていけばよいのでしょうか。

(1)プレナップで主に取り決める内容

前記のような特有財産の特定といった財産に関するものに加え、結婚生活に関する内容を定めたとしても夫婦間の合意としては有効です。そして、それらの合意に違反があった場合、「その他婚姻を継続し難い重大な事由がある」として、離婚を認める根拠としていくことも考えられます。その他、浮気したときの慰謝料の金額などを定めることも考えられます。
ただし、公序良俗に反する内容については無効となりますので、その点には注意が必要です。

(2)プレナップの進め方

プレナップを利用する際には、婚姻前にお互い話し合いを行い、プレナップの内容を決めていきます。

なお、特に財産が誰に帰属するかについては、具体的な内容が決まった後は、婚前契約書(結婚契約書、婚前合意書)を作成し、夫婦の住所地を管轄する法務局で登記申請を行うことで、第三者からの取得主張に対しても備えることができます。

登記をしなくてもプレナップの有効性には影響はありませんが、プレナップの登記をしておくことで、婚姻後配偶者が勝手に財産を処分するといった場合にも、対応可能になるのです。

その他、合意が確かに相互の意思に基づいていたことをより担保するなら、公証役場で公正証書を作成するという方法もあります。

どのような内容を合意するか、それにどの程度の手続を踏むかについては、コストとの関係も考えながら選択する余地があるため、弁護士に相談することで、より良い選択が見つかることもあるでしょう。

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  • こちらに掲載されている情報は、2021年07月28日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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