アメリカ人の夫や妻が浮気をしたら、慰謝料を請求できる?
  • 2021年07月30日
  • 国際・外国人問題

アメリカ人の夫や妻が浮気をしたら、慰謝料を請求できる?

弁護士JP編集部 弁護士JP編集部

配偶者が浮気をした場合、離婚とともに慰謝料を請求したいと考える方は少なくありません。日本人同士の夫婦であれば、慰謝料の請求手続きについてもイメージしやすいですが、配偶者が外国人である場合にも慰謝料請求をすることができるのでしょうか。

今回は、アメリカ人の配偶者が浮気をした場合における慰謝料請求について解説します。

1. アメリカ人との離婚。どの国の法律が適用される?

外国人の配偶者と離婚をすることを一般的には「国際離婚」といいます。アメリカ人の配偶者と離婚をする場合には、日本とアメリカのどちらの法律が適用されるのでしょうか。

(1)国際離婚と準拠法の関係

国際離婚をするにあたっては、まずは、どこの国の法律に従って離婚問題を処理していくのかを決めなければなりません。国際離婚においてどこの国の法律を適用するのかを「準拠法」といいます。国際離婚では、この準拠法を決めることが離婚への第一歩となります。

国際離婚の準拠法については、「法の適用に関する通則法」第27条によって規定されています。具体的には、以下のような基準に従って、適用される法律を判断します。

  1. 夫婦の本国法が同一であるときはその共通本国法
  2. 共通本国法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときは共通常居所地法
  3. 共通本国法と共通常居所地法がないときは夫婦に最も密接な関係にある地の法律(密接関連地法)
  4. 夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは日本法

(2)日本人とアメリカ人夫婦の離婚の場合

日本人とアメリカ人の夫婦が国際離婚をする場合には、日本人配偶者がどこの国に居住しているかが適用される法律を判断する上で重要なポイントとなります。

日本人の国際離婚が問題となるケースでは、当事者の一方が日本に居住する日本人であることが多いといえます。そのため、ほとんどのケースで日本人配偶者の常居所法である日本法が準拠法として適用されます。

(3)不貞慰謝料と準拠法の関係

離婚時に生じる問題は、前記の通り、「法の適用に関する通則法」27条に基づいて判断されることになるのが通常ですが、同法は不法行為に関する準拠法を決めるルールを、17条にも設けています。
そのため、離婚とは独立して不貞行為そのものを問題にする場合は、17条に基づいた準拠法選択をしているケースもあるようです。

そもそも、どこの国の法律が適用されるかという点から、専門的な判断が必要になってきます。

2. アメリカ人に浮気(不貞)の慰謝料は請求できる?

アメリカ人の配偶者が浮気(不貞)をした場合には、日本人の配偶者と同様に慰謝料請求をすることができるのでしょうか。以下では、準拠法として日本法が適用される場合とアメリカ法が適用される場合に分けて説明します。

(1)日本法が適用される場合

国際離婚において、日本法が適用される場合には、配偶者がアメリカ人であっても不貞の慰謝料を請求することができます。

不貞の慰謝料自体は不法行為に基づく損害賠償請求として、単独で訴訟提起も可能ですし、離婚の手続の中で、財産分与に含む形で話を進めて行くことも可能です。

慰謝料を請求しようと考えている場合には、不貞があったことを裏付ける証拠が必要になってきます。不貞をした配偶者が不貞を認めていればよいのですが、多くのケースでは、自分に不利になる不貞行為を認めることはありませんので、配偶者が否定してもそれを覆すことができるだけの証拠を準備してから請求するようにしましょう。

(2)アメリカ法が適用される場合

アメリカでは、州ごとに適用される法律が異なってきます。そして、アメリカの多くの州では、不倫に対する慰謝料請求が認められていません。

アメリカでは、配偶者以外の異性と性交渉をしたとしてもその時点で既に夫婦関係が破綻していたものと判断されるためです。
そのため、アメリカ法が適用される場合には、配偶者が不貞をしたとしても、それに対する慰謝料を請求することはできません。

また、離婚をする方法も週によって異なり、「書面による合意によって1年以上別居をしたとき」、「裁判所の命令によって1年以上別居をしたとき」に離婚が認められる州もあれば、離婚にあたって具体的な理由がいらない無過失離婚が認められる州もあります。

なお、以上が原則の話となりますが、各国の文化を強く反映した家庭のルールは、法の適用に関する通則法42条によって、例外的に法を適用しない結論を取ることもありえます。

このように外国法が適用される離婚手続きは、非常に複雑となりますので、具体的な離婚手続きは、国際離婚に詳しい弁護士に相談するとよいでしょう。

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  • こちらに掲載されている情報は、2021年07月27日時点の情報です。最新の情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。